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『福祉避難所設置・運営に関するガイドライン』

厚生労働省 200810 p47
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last update:20120130


■厚生労働省 200810 『福祉避難所設置・運営に関するガイドライン』 p47

■目次

はじめに 1
1 ガイドラインの目的  1
2 ガイドラインの活用方法 2
第1章 平常時における取り組み 6
1 福祉避難所の対象となる者の把握 6
 1.1 福祉避難所の対象となる者の概数の把握  6
 1.2 福祉避難所の対象となる者の現況等の把握 8
2 福祉避難所の指定  9
 2.1 福祉避難所として利用可能な施設の把握  9
 2.2 福祉避難所の指定  11
3 福祉避難所の周知  13
 3.1 福祉避難所の周知徹底  13
4 福祉避難所の整備  14
 4.1 福祉避難所の施設整備  14
5 物資・器材、人材、移送手段の確保 15
 5.1 物資・器材の確保  15
 5.2 人材の確保   16
 5.3 移送手段の確保  17
6 社会福祉施設、医療機関等との連携 21
 6.1 福祉避難所の設置・運営にかかる連携強化 21
 6.2 緊急入所等への対応 22
7 福祉避難所の運営体制の事前整備 23
 7.1 災害時要援護者支援班の事前設置等 23
 7.2 福祉避難所の運営体制の事前整備 24
8 福祉避難所の設置・運営訓練等の実施 27
 8.1 訓練、研修等の実施 27
 8.2 知識の普及啓発  27
第2章 災害時における取り組み 28
1 福祉避難所の開設  28
 1.1 福祉避難所の開設及び要援護者の受入 28
 1.2 福祉避難所の開設期間 29
2 福祉避難所の運営体制の整備 30
 2.1 福祉避難所担当職員の配置、要援護者班の設置 30
 2.2 福祉避難所の運営体制の整備、活動支援 31
3 福祉避難所における要援護者の支援 33
 3.1 福祉避難所の避難者名簿の作成・管理 33
 3.2 福祉避難所における福祉サービス等の提供 34
 3.3 緊急入所等の実施 34
4 福祉避難所の解除 35
 4.1 福祉避難所の統廃合、撤収、解除 35
おわりに 36
1 福祉避難所設置・運営に関するマニュアル等の作成 36
2 福祉避難所の指定・整備の推進 36
3 福祉避難所の設置・運営にかかる訓練等の推進 37
資 料 38
既往災害での福祉避難所の設置・運営に関連する事例 38
災害発生時における福祉避難所の設置運営に関する協定(石川県輪島市)41
委員名簿  47

■引用

p3 (参考)都道府県から市区町村への救助の委任について
○災害救助法(抜粋)
(昭和22年10月18日 法律第118号 最終改正:平成18年6月7日 法律第53号)
第30条 都道府県知事は、救助を迅速に行うため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その権限に属する救助の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととすることができる。
2 前項の規定により市町村長が行う事務を除くほか、市町村長は、都道府県知事が行う救助を補助するものとする。

○災害救助法による救助の実施について(抜粋)
(昭和40年5月11日 社施第99号 各都道府県知事宛 厚生省社会局長通知 最終改正:平成13年7月25日 社援発第1286号)
第3 市町村長に対する救助の委任
法第30条第1項の規定により、都道府県知事が救助の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととすること(以下「救助の委任」という。)に関しては、次の点に留意すること。
1 救助の委任は、救助の迅速、的確化が図られ、かつ、市町村において実施し得る範囲に限って行うこと。
2 避難所の設置、炊き出しその他による食品の給与及び災害にかかった者の救出等最も緊急を要する救助並びに学用品の給与等、都道府県において実施することが困難であると認められるものについては、市町村に対し、あらかじめ、救助の委任を受けて救助を実施する準備を求めておくことが望ましいこと。 >4>
3 救助の委任をした場合において、救助の委任をした範囲内において市町村長が行った救助は、都道府県が行った救助として認められることは勿論であるが、救助の委任をしない事項についても災害が突発し都道府県知事の指示を待ついとまがない場合には、市町村長が救助を開始し、事後、すみやかに都道府県知事に情報提供させるとともに、法第30条第2項の規定による補助として実施させるものであること。
4 救助の委任をした場合には、令第23条第1項の規定により、市町村長が行うこととする事務の内容及び当該事務を行うこととする期間を当該市町村長に通知すること。
また、物資や土地の収用等に係る法第24条から第27条までに規定する事務について救助の委任をした場合には、令第23条第2項の規定により、直ちにその旨を公示すること。
5 救助の委任をした場合は、法第44条の規定により救助の実施に要する費用を一時繰替支弁させる場合における当該繰替支弁にかかる費用の範囲及びその精算方法等に関する事務についても遺ろうのないよう万全を期されたい。 なお、救助の委任をしない救助事務についても、迅速、かつ、的確な救助を 実施するため、市町村における救助事務の取扱要領を作成し、的確に技術的助言を行うとともに、被害状況等の情報提供並びに救助の実施にあたる一貫した 組織を確立するよう努めること。

p5 1 福祉避難所の対象となる者の把握
1.1 福祉避難所の対象となる者の概数の把握
 福祉避難所の対象は、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病弱者等避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者とし、その家族まで含めて差し支えない

1.2 福祉避難所の対象となる者の現況等の把握
□ 都道府県、市区町村は、災害時において、福祉避難所の対象となる者を速やかに福祉避難所に入所させることができるよう、平常時から対象者の現況等を把握することが望ましい。[...]
・ 関係部局間等での情報共有にあたっては、福祉避難所の対象となる本人又は家族等の理解を得た上で、どの程度の情報を開示して差し支えないか確認した上で、情報を整理し共有しておく。
□ 災害時において、安否確認、避難情報の伝達、避難誘導支援、福祉避難所の設置等の対策に活用することができ、また、平常時からの対策を検討・実施するために、 把握した情報はデータベースとして整備しておく。

p9 2 福祉避難所の指定
2.1 福祉避難所として利用可能な施設の把握
□ 都道府県、市区町村は、福祉避難所として利用可能な施設を洗い出す。
利用可能な施設としては、以下の施設が考えられる。
・ 指定避難所(小・中学校、公民館等)
・ 老人福祉施設(デイサービスセンター、小規模多機能施設等) 、障害者支援施設等の施設(公共・民間) 、保健センター、養護学校
・ 宿泊施設(公共・民間)
□ 福祉避難所として利用可能な施設について、所在地、名称、所有者・管理者、使用可能なスペースの状況、施設・設備の状況、職員体制などを調査し、整理する。
◆ 実施にあたってのポイント・留意点
○ 福祉避難所として利用可能な施設としては、社会福祉施設等のように現況において要援護者の入所が可能な施設のほか、一般の指定避難所のように、 現況では福祉避難所としての機能を有していない場合であっても、機能を整備することを前提に利用可能な場合を含むものとする。

2.2 福祉避難所の指定
□ 福祉避難所の対象となる要援護者の状態に応じて適切に対応することができるよう、例えば、以下のように、福祉避難所の機能を段階的・重層的に設定することも考えられる。
○ 地域における身近な福祉避難所(としての機能)
・ 災害時にすぐに避難できる身近な福祉避難所として、指定避難所(小・中学校、公民館等)等の中に、介護や医療相談等を受けることができる空間を確保することを想定。専門性の高いサービスは必要としないものの、通常の指定避難所等では、避難生活に困難が生じる要援護者が避難。
○ 地域における拠点的な福祉避難所(としての機能)
・ 障害の程度の重い者など、より専門性の高いサービスを必要とする要援護者で、地域における身近な福祉避難所では避難生活が困難な要援護者を、施設・設備、体制の整った施設に避難させることを想定。
 ・ 老人福祉施設、障害者支援施設等の施設、保健センター等を想定。
□ 福祉避難所の指定目標については、要援護者や同居家族の生活圏やコミュニティとのつながりに配慮し、設定することとするが、少なくとも、地域における身近な福祉避難所については、小学校区に1箇所程度の割合で指定することを目標とすることが望ましい。

4 福祉避難所の整備
4.1 福祉避難所の施設整備
□ 都道府県、市区町村は、施設管理者と連携し、当該施設が福祉避難所として機能するための必要な施設整備を行う。
・ 段差の解消、スロープの設置、手すりや誘導装置の設置、障害者用トイレの設置など施設のバリアフリー化 [...]

p23 7 福祉避難所の運営体制の事前整備
7.1 災害時要援護者支援班の事前設置等災害時要援護者支援班の設置について
課題1 情報伝達体制の整備
1−1 災害時要援護者支援班の設置
(1)災害時要援護者支援班の設置
 市町村は、福祉関係部局を中心とした横断的な組織として「災害時要援護者支援班」を設け、要援護者の避難支援業務を的確に実施すること。

<災害時要援護者支援班のイメージ>
【位置付け】
 平常時は、防災関係部局や福祉関係部局で横断的なPT(プロジェクト・チーム)を設置。 災害時は、災害対策本部中、福祉関係部門内に設置。
【構 成】
 平常時は、班長(福祉担当部課長)、班員(福祉担当者、防災担当者等) 。避難支援体制の整備に関する取組を進めていくに当たっては、社会福祉協議会、自主防災組織等の関係者等の参加を得ながら進めること。 災害時は、基本的に福祉担当部課長・者で構成。
【業 務】
平常時:要援護者情報の共有化、避難支援プランの策定、要援護者参加型の防災訓練の計画・実施、広報 等
災害時:避難準備情報等の伝達業務、避難誘導、安否確認・避難状況の把握、避難所の要援護者班(仮称)等との連携・情報共有 等
資料:「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」 (平成18年3月、災害時要援護者の避難対策に関する検討会)から抜粋

p27 8 福祉避難所の設置・運営訓練等の実施
8.1 訓練、研修等の実施
□ 都道府県、市区町村は、職員、自主防災組織、地域住民、要援護者及びその家族、社会福祉施設等、幅広い関係者が参加し、学ぶ機会を設けるため、要援護者支援対策に関する研修会、勉強会を開催する。
□ まち歩きや防災点検などワークショップや図上訓練を通じて、地域における要援護者支援のあり方などについて検討する機会を設ける。
□ 行政職員、地域住民、要援護者、社会福祉施設等、幅広い関係者が参加する実践型の福祉避難所の設置・運営訓練を企画し、実施する。

p29 第2章 災害時における取り組み
1 福祉避難所の開設
1.2 福祉避難所の開設期間
□ 福祉避難所を含む避難所の開設期間は、原則として、災害発生の日から最大限7日以内である。ただし、やむを得ず7日間の期間内で避難所を閉鎖することが困難なときは、必要最小限の期間の延長を厚生労働省と協議する。
◆ 実施にあたってのポイント・留意点
○ 避難所は、災害に際し応急的に難を避ける施設である。従って、開設期間は災害発生の日から最大限7日以内と定めている。しかし、例えば、都道府県内一円又は1市区町村のほとんどが被害を受けたような大災害の場合で、どうしてもこの7日間の期間内で避難所を閉鎖することが困難なときは、事前に厚生労働大臣へ協議し必要最小限度の期間を延長することができる。

p31 2.2 福祉避難所の運営体制の整備、活動支援
2.2.1 地域における身近な福祉避難所の運営体制の整備、活動支援
○ 大規模災害時、避難所のスペース、支援物資等が限られた状況においては、避難者全員又は要援護者全員に対する機会の平等性や公平性だけを重視するのではなく、介助者の有無や障害の種類・程度等に応じて優先順位をつけて対応する。

p32 2.2.2 地域における拠点的な福祉避難所の運営体制の整備、活動支援
□ 地域における拠点的な福祉避難所の設置及び管理に関しては、施設管理者に委託することになる

p34 3.2 福祉避難所における福祉サービス等の提供
□ 福祉避難所におけるホームヘルパーの派遣等、福祉各法による在宅福祉サービス等の提供は、福祉各法による実施を想定しており、災害救助法による救助としては予定していない。

p39 【事例】福祉避難所の設置実績(平成19年新潟県中越沖地震、新潟県)
新潟県では、平成16年の新潟県中越地震の発生時に、小千谷市において総合体育館に設けられた別室スペース、ケアハウスにおいて、災害時要援護者のための福祉避難所が、必要に後押しされる形で事実上設置された。 しかし、これらは災害救助法に基づく正式なものではなかった。
それらの経験を踏まえ、平成19年の新潟県中越沖地震においては、発災時以降、積極的に福祉避難所の設置を呼びかけ、結果的に、柏崎小学校は空き教室を利用したコミュニティデイホームの部屋及び音楽室を、高校はセミナーハウスを、特養やデイサービスセンターは空きスペースを福祉避難所として利用し、9箇所の福祉避難所が設置された。


■書評・紹介

■言及



*作成:青木 千帆子
UP: 20120130 REV:
災害と障害者・病者:東日本大震災  「福祉避難所」成立の経緯・関連資料  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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