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『親子という病』

香山 リカ 20080920 講談社現代新書,194p.


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香山 リカ 20080920 『親子という病』,講談社現代新書,194p. ISBN-10:406287962X ISBN-13: 978-4062879620  \700 [amazon][kinokuniya] 

■内容
「家族よ、ありがとう」「ビバ! 親子」というメッセージが増加する日本社会。 誰もが切実に悩み、求める「幸福な親子関係」はあるのか。 親子の病理の根源を探り、処方箋を提言する。

・(「BOOK」データベースより)
親が子の幸せを願う思いは無償なのか!?子が親を慕う気持ちに偽りはないのか!?すべての親子は、気持ちワルイ。

■目次
第1章 親を殺す子どもたち
第2章 「なぜ生まれたのか」と問い続ける子どもたち
第3章 母に依存する娘、娘を支配する母親
第4章 母の愛は無償なのか
第5章 母性が加害性を持つとき
第6章 理想の家族にひそむワナ
第7章 「親子という致命的な病」への処方箋
第8章 親子という病のために「まだできること」

■引用

「なぜ生まれた」が「なぜ生んだ」となり、産んだ親を激しく追及する動きとなったのが、九〇年代半ばに起きた「アダルト・チルドレン」ブームだったと思う。
この問題の第一人者である原宿カウンセリングセンター所長の信田さよ子氏によるアダルト・チルドレンの定義は、「現代の生きづらさが親との関係に起因すると認めたひと」だ。信田氏自身は当時、自分の生きづらさの原因や責任が自分自身にではなく親にあることに気づいた人が、本当に必要な「自分の背負うべき責任」に目覚められるために、という目的で積極的にこの概念を広めようとしたのだそうだ。ところが、信田氏の目論見に反して、「私が悪いんじゃない、親が悪いんだ」と自分を棚に上げて親を責めるところでストップする人が続出し、またマスコミもそのような例ばかりを取り上げた。信田氏は言う。
「九六年の流行語にまでなったAC(著者注:アダルト・チルドレン)だが、このことばが歓迎され、同時に嫌悪にも似たバッシングを引き起こしたのは、『あなたに責任はない』という免責性(イノセンス)の強調にあった。」p.55
それにかわって登場したのが、今度は「あなたは親が産んだのではない。あなたの魂が今の親を選んで生まれてきたのだ」というスピリチュアルに則った解釈である。p.56

・親子という病の治療法は
結局のところ、完全に健全な親子関係などありえないのだ。
親子である限り、そこには“何かある”、と思ったほうがよい。もっと言えば、あらゆる親子関係は病的なのだ。しかもそれは、子が生まれた時から始まり、永遠に治療不可能な病なのである。
子供は健康な状態で誕生し、その瞬間に親子という病の病原菌に感染し、それで次第に健康をむしばまれて、最終的には死に至る。途中で自分が親になった場合は、その病原菌を次の世代にも感染させながら。人間の一生とは、親子という病に感染し、発病し、重症化して死亡するまでの過程である、といってもよいかもしれない。p.158
では、どうすればよいのか。この病に対する効果的な治療法や、予防のワクチンなどはあるのだろうか。
結論から言えば、「それはない」ということになる。p.159

・子どもたちのために
(1)前提――親は選べないが、人生は選べることを忘れない。
(2)親の問題で悲しみ、怒りなどの感情が襲ってきたら、まずは「私が何とかできる」と自分に言い聞かせよう。
(3)親への不満は、言葉にしないよりしたほうがよい。しかし、限度をもうけるようにしよう。とくに、ネットでの言語化には注意が必要だ。
(4)親からの償いには期待できない。
(5)復讐のための犯罪、自殺などは効果ゼロ。
(6)親に苦しめられている人も、親と離れることはできる。
(7)親を捨てられないという人は、本当は捨てたくないのかもしれない。
(8)とにもかくにも、経済力、孤独力を高めておくべき。


■書評・紹介

■言及


*作成:山口 真紀
UP:20090515 REV:
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