『置き去り社会の孤独』
大津 和夫 20080720 ,日本評論社,242p.
■大津 和夫 20080720 『置き去り社会の孤独』,日本評論社,242p. ISBN-10: 4535585407 ISBN-13: 978-4535585409 \1890 [amazon]/[kinokuniya] p0206
■内容(「MARC」データベースより)
ニート、フリーター、ワーキングプア…“現代の貧困”を打開する道は、これだ。
■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大津 和夫
読売新聞東京本社・社会保障部記者。1993年、読売新聞東京本社編集局に入社。政治部(首相官邸クラブ、旧労働省クラブなど)を経て、2000年12月より現職。2004~05年、米コロンビア大学院客員研究員。財務省の「多様な就業形態に対する支援のあり方研究会」委員(2006年)など、雇用・少子化問題について、政府の研究会で有識者委員を務める。現在、厚生労働省の「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」委員。雇用、少子化、年金が取材テーマ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■引用
「同省によると、@の若者を就業させるために必要な一人当たりの政策費用は、「カウンセラーによる個別指導などでおよそ一〇万円」(幹部)という。Aへの費用は、@の一〇万円に加え、若者一人を雇い入れる企業への助成金が約二〇万円かかることを追加して約三〇万円と見積もった。
Bのニート支援は、三ヶ月程度の合宿生活をおくってもらうことで生活訓練から始めて最終的に就労までつなげる「若者自立塾事業」が柱だ。その費用は「塾生一人当たり約五〇万円」(関係者)という。これに、@、Aで示した、カウンセリングや企業への雇い入れ助成金で必要な計三〇万円を追加。さらに、「相場三〇万円」という入塾に必要な自己負担額を軽減する目的で、国が最大二〇万円補助する施策を新たに打ち出すとし、計一〇〇万円と見積もった。
@、A、Bの類型別に推計された一人当たりの政策費用に、対象者数(二〇〇七年の数値)を掛け合わせた総額は、合計約一兆四二〇〇億円にのぼる。この額は、二〇〇七年現在の失業者、フリーター、ニート、の該当者すべてに、現行の支援策を講じた場合に必要な額だ(表9)。
ただ、この額は、あくまで現行制度の枠内での見積りにすぎない。わが国の若年支援は、就労政策に偏重しており、住宅支援や学歴を身につけさせるための費用、さらには、一部でめだつ精神疾患への対応、親へのカウンセリング――など、先行する欧州では”常識”の対策を講じていくとなれば、必要な財源は膨らむ。また、雇用情勢が悪化すれば、該当者もそれだけ増えることになる。この試算は現在の低失業率を前提としているもので、同省では「失業率は今後欧州並みに五%になる」との見方がもっぱら。以上のことから、約一兆円は「最低ライン」という見方ができる。」(p.187-188)
「ちなみに、第三章で紹介したイギリスのニート対策「コネクションズ」では、一人のニートに対して少なくとも二三〇〇万円の費用が投じられている。」(p.191)
■紹介・言及
橋口 昌治 200908 「格差・貧困に関する本の紹介」, 立岩 真也・村上 慎司・橋口 昌治 20090910 『税を直す』,青土社,350p.