『法理学と経済学――規範的「法と経済学」の再定位』
常木 淳 20080620 勁草書房,173p.
■常木 淳 20080620 『法理学と経済学――規範的「法と経済学」の再定位』,勁草書房,173p. ISBN-10:4326402466 ISBN-13:978-4326402465 \3150 [amazon]/[kinokuniya] ※ e05
■出版社からの内容紹介
法学にとって、経済学に何ができるか。規範的な「法と経済学」研究の可能性を問い、法学研究における経済学の位置を見極める試論。解雇規制や司法の規制緩和を例に。
過剰な期待の時期も感情的な反発の時期も過去のものだとし、より生産的な「法学にとっての経済学の活用」を問う「法と経済学」研究。複雑で微妙なアートの側面をもつ法解釈学方法論・法的思考を、経済学者の立場から視覚化し、法学研究と経済学研究の相互フィードバック関係の確立を訴える。結局、法学にとって、経済学に何ができるのか。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
常木 淳
1959年福井県生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程中退、1987年ブリティッシュ・コロンビア大学Ph.D.(経済学)。大阪大学社会経済研究所教授。法の経済分析、公共経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに
第1部 「法と経済学」の法理学的基礎
第1章 リチャード・ポズナーの規範的「法と経済学」
1 ポズナーの挑戦
2 富および富最大化の定義
3 富最大化基準はいかなる意味で功利主義の限界を克服するか?
4 境界問題への対応
5 富最大化基準の技術的利点と欠点
6 富最大化基準の倫理的位置づけ
7 富最大化基準の法的位置づけ
8 ポズナーの隘路
第2章 キャプロー・シャヴェルの厚生経済学的「法と経済学」
1 規範的「法と経済学」の復権
2 社会厚生の概念
3 効率性と公平性
4 ポズナーのアプローチとの相違
5 フェアネスの概念
6 フェアネスか厚生か?
7 フェアネスと社会規範
8 ドゥウォーキン批判
9 厚生経済学的アプローチと法的正当化
10 結語
第3章 法学研究における経済学の位置
1 「法と経済学」の方法論
2 フェアネスの概念をめぐる論争の日本における妥当性
3 法学における経済学の利用
4 存在と当為
5 効用の個人間比較
6 経済モデルの実証的不確定性
7 経済モデルの理論的抽象性と非現実性
8 合理性の限界と法的パターナリズム
9 結論──結局、法学にとって経済学に何ができるか?
第2部 実定法への視座
第4章 不完備契約理論と解雇規制法理
1 課題の設定
2 法学と経済学の規範的対立
3 不完備契約理論による解雇規制の正当化
4 日本的雇用システムと日本の労働法制との相互関係
5 解雇規制の経済効果
6 内田貴教授による長期継続契約保護法理の擁護について
7 長期継続契約保護法理の思想的正当化について
8 日本の労働法制の将来像
第5章 司法の規制緩和と弁護活動の理念
1 司法改革理念の錯綜
2 国民主権と司法の自律性
3 人権概念の変容と司法の応答性
4 司法改革をめぐる理念的対立の構図
5 弁護士サーヴィス市場の規制緩和の必要性
6 弁護士サーヴィス市場の規制緩和の経済社会的効果
7 規制緩和の影の部分
8 規制緩和と弁護士モラルの変質
9 規制緩和と「法のもとにおける平等」
10 結語
第6章 平等と平等化の倫理的基礎
1 序論
2 事実と価値
3 平等と自由
4 厚生と権利
5 効率と公平
6 政治と道徳
7 正義と美徳
8 要約と展望
用語説明
文献表
あとがき
索引
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:鹿島萌子