『「自由」の条件』
大澤 真幸 20080513 講談社,443p.
■大澤 真幸 20080513 『「自由」の条件』,講談社,443p. ISBN-10:4062105160 ISBN-13:978-4062105163 \2940 [amazon]/[kinokuniya] ※ l03
■出版社からの内容紹介
大澤社会学の集大成。堂々の1000枚! 肥大化する「選択の自由」と「自己責任」。自由でありすぎることの息苦しさが意味するものは? もはや自明ではない「〈自由〉の条件」を問い直す、必読の書!
内容(「BOOK」データベースより)
他者がいなければ“自由”なのか?他者がいればこそ“自由”ではないのか?毎日出版文化賞受賞『ナショナリズムの由来』に続く大澤社会学の集大成。
時間論、資本主義、死の欲動……自由の本質的困難を巡る考察から、初めて導かれる。<自由>の<公共性>とは?約10年の時を経て成る、著者待望の“ライフワーク”
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大澤 真幸
1958年長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専攻は社会学。2007年『ナショナリズムの由来』(講談社)で、毎日出版文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
I 自由と時間
1 開封前に舌打ちするひと
自由と因果関係の間のアンチノミー
スピノザとマルブランシュ
開封前の舌打ちするひと
因果関係の規定としての自由
2 祈りの時間性
過去を借定する
矛盾としての時間
3 二つの名前
選択の神秘
フレデリックとアルマン
待つり
4 触るとき
発生の儀礼
水と女の触覚体験
衣
神の顔
時間の発生と「第三者の審級」
5 男と女
数学的/力学的アンチノミー
女の定義
男の定義
四種類の他有
Ⅱ 現代社会における自由の困難
6 消極的自由
バーリンの「消極的自由」の擁護
「消極的自由」概念への諸疑問
「積極的自由」へ
7 積極的契機の追補
小括
名前の効果
消極的自由への積極的な契機の追補
8 蓋然性について
個人主義的自由主義批判――ハイエクを媒介に
偶然的かつ必然的な行為
蓋然性の直知――ケインズを媒介に
9 江夏の「この一球」と予期の階級的構成
江夏の「この一球」を待つこと
予期の階級的構成
10 資本の原理
異人殺しの伝説
資本の原理
階級分化の必然性
11 不確実性を裏打ちする確実性
(機会主義的な)予期の自己破綻
プロテスタンティズムの予定説
「有効需要の原理」と「友/敵理論」
確実性と不確実性
12 そして知っている者はどこにもいなくなった
キリスト教信仰の両義性――法則と奇跡
第三者の審級の不在
第三者の審級を消耗する機制
リスク社会
13 リベラリズムの不可避の変質
リスク社会における「自由な選択」の空虚
リベラリズムとアメリカ社会
リベラリズムの変質とコミュニタリアンの登場
14 回帰する超越性
多文化主義とエスニック・ナショナリズム
オウム真理教を素材にして
第三者の審級の逆説的回帰
キリスト教における奇跡、「主人と奴隷」
Ⅲ 記憶の困難
15 私は伝送された?
現代社会における責任概念の失効
私の伝送をめぐる思考実験
人格の同一性の条件
16 分身
人格の同一性と名前の同一性
名前の識別機能
〈同一性〉と根源的遇有性
17 スキゾは本当にやってきた
スキゾの現実化としての多重人格
資本主義とヒステリー
現代社会における多重人格
18 記憶の困難
五〇年代と八〇年代のフィルム・ノワール
歴史的語りの構造
記憶の困難の原因
19 死の欲動
展開された価値形態と一般的な等価形態
死の欲動
第三者の審級による存在の許可
Ⅳ もうひとつの“自由”
20 キリストの贖罪
本源的偶有性と形而上の罪
キリストの贖罪び自己言及的性格
キリストの受難=われわれの贖罪
21 “自由”のもうひとつの可能性へ
自由の繁栄による敗北
自由そのものを命令する第三者の審級
キリストの犠牲の意味と「隣人愛」
22 不確定性の効用
法を否定する権利としての人権
究極の価値を託された対象の不確定性
第三者の〈他者〉への還元
23 マゾヒズム的転回
レイプの悪
死者のまなざし
未来の〈他者〉
24 〈公共性〉に向けて
普遍的公共性の不可避性
「この〈私〉ではないかもしれない〈私〉」
根源的偶有性に基づく〈公共性〉
補遺 自由意志と因果関係
サイボーグ化した身体と哲学的問い
量子力学は自由意志を救出するか?
先験的過去
ストローソンの「責任」概念
あとがき
■書評・紹介
*作成:鹿島 萌子