HOME > BOOK >

『うつ病が日本を滅ぼす!?』

香山 リカ 20080520 創出版,253p.


このHP経由で購入すると寄付されます

香山 リカ 20080520 『うつ病が日本を滅ぼす!?』,創出版,253p. ISBN-10:4924718866 ISBN-13:9784924718869 \1500 [amazon][kinokuniya] 

■内容
2008年はうつ病の時代…?
うつ病が広く一般に認知されるようになった昨今の時代状況を、精神科医のかたわらサブカルライターを続けてきた香山リカが、鋭くかつわかりやすく論じる! 月刊『創』での人気連載を、「うつ病はなぜ増えているのか」「スピリチュアルブームとニセ科学」「若者と格差社会」などのテーマに沿ってまとめた、《「こころの時代」解体新書》シリーズ第3弾。
世間をにぎわせた重大事件にも鋭く言及! 秋田児童殺害事件の畠山鈴香被告、タリウムで母親殺害を企てた女子高校生、「監禁王子」、バラバラ殺人事件の歯科一家次男/三橋香織被告など、彼/彼女たちと社会の精神とは…?

■目次
はじめに
第一章 うつ病はなぜ増えているのか
第二章 スピリチュアルブームとニセ科学
第三章 事件を読み解く1
第四章 事件を読み解く2
第五章 若者と格差社会
第六章 日本人は劣化しているのか
第七章 精神科医という“お仕事”
あとがきにかえて

■引用
・うつになって得する人、損する人
うつ病であることが、マイナスにならない社会。誰もが気軽に「私、うつ病。精神科に通って薬を飲んでるんだ」と言える社会。これは一見、病のひとにもやさしい、とても開かれた社会のようにも思える。しかし、果たして本当にそうなのか。「私、うつ病」と気軽に言う人が増えていることで、どこかに得をしている人がいるのではないか、とつい勘ぐりたくなるのだ。p.18

もちろんこういった啓蒙活動(作成者注:精神科受診)で本当に必要な人に適切な薬が行きわたることには、何の異論もない。
ただ、増加する「私もうつ病」と自認する人には、先の芸能人のような本当の意味ではうつ病とは言えない一過性の適応障害やパーソナリティ障害、あるいは“単なる落ち込み”の人から、うつを“隠れみの”にしようとする人も多く含まれており、いろいろな問題や混乱が生じていることも否定できない。p.20

うつ病の見かけ上の増加で“得をしている人”は、本格的なうつ病ではないのにそう告げて注目を集める芸能人、バカンスのような長期休暇を取る人、それから一部の製薬会社や医療機関。“損をしている人”はもちろん、本当のうつ病で苦しんでいる人や“損をする人”に振り回される人だ。私自身、医療機関にいて、どちらかといえば“得をする側”なので大きなことは言えないが、「8人に1人」はやっぱりちょっと違うんじゃないの、と思うのである。p.21

・私ってアスペルガー症候群ですか?
2000年ごろまでは「私はアダルトチルドレンでしょうか?」とクリニックに確かめに来るケースが目立ったが、その後の2〜3年は「私はADHD(注意欠陥多動性障害)ではないでしょうか?」と来院する人が急激に増えた。
その多くはいわゆる「片づけられない女たち」で、2000年にWAVE出版から翻訳が出てベストセラーになった同名の解説書をどこかで知り、「私のことだ!」と精神科外来を受診するのだ。p.180
「片づけられないだらしない女」とレッテルを貼られがちな彼女たちだが、その背景にはADHDという発達障害が隠されていた……というのが本書の主張だ。つまり、「片づけられない」のは性格や意思の問題ではなく、神経系の疾患のためだったのだ。p.180-181

モラトリアム、ピーターパン症候群など、これまでも若者を中心に彼らが漠然と抱えている“生きづらい感じ”を社会にそして当人に解説するような概念が多数、登場した。しかし、それらはいずれも「要は心の問題なんだから解決できる可能性もある」という救いの余地を残していた。
それが、ADHDやアスペルガーの“流行”に至って事情は変わった。これらは器質的な発達障害、つまり“脳の問題”であるにもかかわらず、「この際、その病気だと言ってもらったほうがよほど得心が行く」というところまで追い詰められている人が増えている、ということかもしれない。あるいは、「あなたが悪いんじゃない」と自己責任から解放されたがっている人が多い、ということか。
自己責任の時代などと言われるが、「私ってアスペルガーですよね?だから、仕事場でもすぐトラブルが起きて長続きしないんですよね?」と訴える人たちを見ていると、現実は自己責任どころではない、と言う気がする。p.185

■書評・紹介

■言及


*作成:山口 真紀
UP:20090606 REV:
身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)