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『高齢者リハビリテーション医療のグランドデザイン』

日本リハビリテーション病院・施設協会 編 20080110 青海社,114p.(365p.)


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日本リハビリテーション病院・施設協会 編 20080110 『高齢者リハビリテーション医療のグランドデザイン』,青海社,114p. ISBN-10:4902249308 ISBN-13:978-4902249309 \2310 [amazon][kinokuniya] ※ a06 r02

■内容

■目次
1 医療制度改革について  石川誠
A 医療制度改革に関する経緯
B 医療機能の分化と連携について

2 リハビリテーション医療について 石川誠
A 高齢者リハビリテーション医療のグランドデザインの必要性
B リハビリテーション医療の概念整理 
C 医療制度改革に伴なう高齢者リハビリテーション医療

3 高齢者リハビリテーション医療の現状と今後の展望 石川誠
A 高齢者リハビリテーション研究会報告書と診療報酬・介護報酬改定 
B 今までとこれからの高齢者リハビリテーション医療

4 急性期リハビリテーション(急性期病床におけるリハ) 栗原正紀
A 急性期病院における「寝たきり」発生過程
B 急性期病院におけるリハビリテーションの現状
C 急性期リハビリテーションの課題

5 回復期リハビリテーション(回復期病棟におけるリハ) 栗原正紀
A 回復期リハビリテーション病棟の現状 
B 回復期リハビリテーション病棟の課題

6 維持期リハビリテーション 斎藤正身
A はじめに
B 慢性期における「寝たきり」発生過程
C 慢性期における「寝たきり」予防対策

7 通所リハビリテーション 斎藤正身
A はじめに
B 通所リハビリテーションの現状
C 通所リハビリテーションの課題

8 訪問リハビリテーション 石川誠
A 訪問リハビリテーションの現状
B 訪問リハビリテーションの実態調査
C 訪問リハビリテーションの課題

9 短期入所によるリハビリテーション 浜村明徳
A 短期入所リハビリテーションの現状
B 短期入所リハビリテーションの課題

10 慢性期における入院もしくは入所によるリハビリテーション 浜村明徳
A 老人保健施設入所におけるリハビリテーション
B 医療療養病床・障害者施設など一般病棟のリハビリテーション

11 在宅におけるリハビリテーションの普及 浜村明徳
A 在宅リハビリテーションの適切な普及のための
B 在宅リハビリテーションセンターとその要件案

12 地域リハビリテーション支援体制 浜村明徳
A 地域リハビリテーションの考え方と課題
B 今後の地域リハビリテーション推進システム図

13 リハビリテーション前置の構築と今後の高齢者リハ医療 浜村明徳
A リハビリテーション前置の構築
B 今後の高齢者リハビリテーション医療サービスシステム

<付録>
1.「高齢者リハビリテーション医療のグランドデザイン」に対する諸意見
2.障害者自立支援法について
<参考資料>
高齢者リハビリテーション医療の現状と今後の展望(2007年暫定版)/リハビリテーション医療関連5団体連絡協議会

■引用

序文
ここに、日本リハビリテーション病院・施設協会にて1年余りにわたって検討してきた高齢者リハビリテーション医療のあり方に関する「高齢者リハビリテーション医療のグランドデザイン」を発表する。
先般、埼玉で行われたリハビリテーション・ケア合同研究大会にて暫定版を紹介し、澤村誠志先生・米満弘之先生はじめ、長期間検討に加わり、ご指導いただいたリハビリテーション医療関連5団体連絡協議会(日本リハビリテーション医学会、日本リハビリテーション病院・施設協会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会)、日本医師会などからもご意見をいただいた。
 [略]
 グランドデザインの検討に当たっては、1つに、急速に高齢化が進む社会の中で、リハビリテーション医療サービスへの期待が高まり、患者・家族が納得できるリハビリテーション医療のあり方が問われていると、次には、医療費適正化、医療提供体制の確立等の医療制度改革において、効率的で効果的なリハビリテーション医療を確立することが求められていることなどを前提とした。
また、リハビリテーション医療のあり方に関しては、短期的なものから中・長期的なものまで多くの課題があるが、遠くを見通すことの難しさもあり、今回は、2015年を目途に、特に高齢者におけるリハビリテーションのあり方を中心に整理した。今後、障害児(者)、難病、認知症、内部障害等に関するリハビリテーション医療についても検討を重ねなければならないと考えている。
また、多くの方から、リハビリテーション医療だけでなくリハビリテーションそのもののあり方を示すべきであるというご意見もいただいた。当協会も同様の考えで検討を始めたところであったが、それをまあとめるには力量が足りず、当面課題となる高齢者医療のリハビリテーションを整理することにした次第である。
なお、リハビリテーション医療関連5団体連絡協議会において合意された内容は、別途、「高齢者リハビリテーション医療の現状と今後の展望」(2007年暫定版)として公表されており、本書でも紹介させていただいた。
[略]

3 高齢者リハビリテーション医療の現状と今後の展望 石川誠
A 高齢者リハビリテーション研究会報告書と診療報酬・介護報酬改定 

「最大の改定内容は急性期・回復期は医療保険、維持期は介護保険と整理されたことであるが、診療報酬では、@リハ施設基準を疾患別体系へ再編、A疾患別リハの算定日数上限と除外規定の新設、B急性期・回復期のリハ実施単位数を1.5倍に増加、Cリハ従事者11人・1日当たりの実施単位上限の緩和、D回復期リハ病棟入院料の見直し、E退院後早期の訪問リハ評価、F障害児・者リハ料の新設、G摂食機能療法の評価がなされた。
一方、介護報酬では短期集中リハ加算、リハマネジメント加算が新設され、訪問リハに言語聴覚士(ST)も評価対象となったが、訪問看護7(訪問看護ステーションからの理学療法士・作業療法士・STの訪問)は1例ごとに看護婦の訪問件数を超えてはならないとされた。しかし、介護保険の非適応者や難病などの慢性進行性疾患のリハが継続できないことが問題となり、2007年に診療報酬再改定に至った」18

5 回復期リハビリテーション(回復期病棟におけるリハ) 栗原正紀
B 回復期リハビリテーション病棟の課題

「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会による調査結果(2006年9月)からも、人員配置や入院患者の疾病構造からも、病棟間で大きな較差が生じているのが現状である。今後、回復期リハ病棟においても急性期病院同様に入院患者の疾病・障害構造に応じて"効率的かつ質の高いリハサービスを確実に提供していく"ことが重要となる。それを適切に実現していくためには、医師・看護師・PT・OT・ST・社会福祉士などの人員を強化した回復期リハ病棟の制度化が必要である」37

6 維持期リハビリテーション 斎藤正身
A はじめに

「高齢者リハビリテーション研究会では[略]今後のリハビリテーションの柱となるべきものであると位置づけている。そして、「現行の通所リハビリテーションは、利用者の年齢層や介護が必要となった原因疾患、生活機能低下の状態がさまざまであるなど幅広いニーズに対応しているため、@日常の継続した健康管理(医学的管理)、Aリハビリテーションそのものの提供、B介護者の休息、C閉じこもり対策、として行われている」とその役割を再確認している。
また、その課題として、「これまで必ずしもその効果について十分に評価がなされないまま実施されてきたという側面がある。今後は、真に有効なリハビリテーションを提供していく観点から、日常生活動作の自立と社会参加の向上を支援するリハビリテーション機能そのものについては強化するとともに、必要な時期に期間を定めて提供するなど、その機能のあり方を検討する必要がある」とし、「介護者の休息や閉じこもり対策などの通所介護と同様の機能の提供にとどまっている通所リハビリテーションについては、見直しを検討する必要がある」とも提言している。
高齢者リハビリテーション研究会の提言を受けた形で、2006年の診療報酬・介護報酬の同時改定が行われたが、その結果は必ずしも改善には結びつかず、未だに大きな課題が山積している」48

「現在、リハ特化型の短時間通所リハの整備に向けて研究班が立ち上がっているが、PT、OT、STなどの専門職の評価は、医療保険と介護保険の報酬に大きな開きがあることも要因となって、実現するためにはかなり高いハードルがあるといわざるをえない」50

8 訪問リハビリテーション 石川誠

「維持期リハのあり方が問われるようになり、現在、介護保険における訪問リハの量的・質的充実に向けた検討が始まっている」56
「最大の問題点は制度上からも医師との連携であるが、医師との連携は希薄となっており、今後の課題となっている」56

「在宅主治医と訪問リハの直接指示する医師の2名の医師が必要となる仕組みである。このシステムが簡単でないことから、適切な医師との連携が不十分となっている。したがって、より明快なシステム整備をはかるべきと考えられる」57

9 短期入所によるリハビリテーション 浜村明徳

「短期入所においても、レスパイト目的だけでなくリハ目的の入所を促す必要がある」60

10 慢性期における入院もしくは入所によるリハビリテーション 浜村明徳
A 老人保健施設入所におけるリハビリテーション

「老人保健施設には長期の入所者が漸増し、特別養護老人ホームとの差異、介護療養施設の老人保健施設転換による機能のあり方なども議論となっている」62

「家庭復帰・生活機能向上を目的とする入所リハを中心に、現在、実施されている通所リハに加えて、訪問リハの積極的な取り組み、前述した短期入所のリハ活用、加えて後述する在宅リハビリテーションセンター(案)としての機能が果たせると在宅生活支援機能は強固なものになる。リハの流れからは、維持期リハの中心的な役割が期待される」64

「回復期リハ病棟と老人保健施設などにおけるリハ量の比較調査(2006年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金「リハビリテーションの効果的な実施に関する検討事業」」では、利用者一人にリハ専門職が関わった日の時間は、介護保険では回復期リハ病棟のおよそ4分の1(約50分)であった。しかし、医療保険と介護保険のリハの実施頻度が異なるため、1週間のリハ提供量から換算すると、1日平均リハ提供量は、老人保健施設で回復期リハ病棟の約5分の1(ちなみに、通所リハで約10分の1、訪問リハで約14分の1)であった。以上のように、介護保険のリハ提供量は医療保険に比べて圧倒的に少ない結果となっていた。このような生活支援では、慢性期の生活機能を向上させることは容易でないと考える。したがって、短期間は適切なリハが実施できる報酬体系などの整備、リハ専門職の充実や維持期リハの技能向上など老人保健施設におけるリハの質の向上などが課題となる」65

*全国老人保健施設協会:平成16年度介護老人保健施設のケアの質の向上に関する検討会報告書.2005
*全国老人保健施設協会:介護老人保健施設における要介護高齢者(障害・認知症)の病態像に合わせた短期集中リハビリテーションのあり方に関する試行的事業報告書.2006

10 慢性期における入院もしくは入所によるリハビリテーション 浜村明徳
B 医療療養病床・障害者施設など一般病棟のリハビリテーション

「適切なリハは、QOLの向上、生命の維持にも貢献できる。したがって、重医療で重障害の場合でも適切なリハが欠かせない」69

11 在宅におけるリハビリテーションの普及 浜村明徳
B 在宅リハビリテーションセンターとその要件案

「かかりつけ医(在宅主治医)のリハ機能強化と適切な在宅リハ提供のための在宅リハセンターを提案する。現在、在宅リハの提供はケアプラン、すなわちケアマネジャーの紺とロール下にあり、生活機能の低下に臨機応変な対応ができにくい制度となっている。加えて、ケアプランの中で、生活機能改善の可能性、目標、リハの計画が十分に検討され、統合的にサービスが実施されることは少ない。単発的なサービス提供になっていることが多い。今後は、外来リハ、通所リハ、訪問リハなどの提供においては、「コントロールされたリハサービス」として提供されることを目標としたい。「必要な時、必要な要量を、必要な期間」「迅速に」「チームで」提供できる体制を目指したい」74-75

12 地域リハビリテーション支援体制 浜村明徳

「2006年の介護保険制度の見直しで、介護予防への取り組みが強化された。その時点で、地域リハの推進は介護予防の諸活動を支えるべきであるという議論がなされ、推進の基本構造も図5のように提案された。ここでは地域包括支援センターを広域支援センターが支える事業が地域リハ推進活動の中心になるような図となっている。しかし、地域によっては地域リハと介護予防は別物という考え方もあり、地域リハ推進の第一課題ではない地域もある。また、介護予防から地域リハ推進の方向性が見えにくいという意見も少なくない」82

13 リハビリテーション前置の構築と今後の高齢者リハ医療 浜村明徳

「維持期リハには、通院・通所・訪問リハの充実や老人保健施設など施設リハの強化、その他の数多くの課題がある。多くは介護保険のリハサービスの充実として整理される。今後は、在宅障害高齢者の増加に伴う在宅医療、在宅ケアのさらなる充実に向け、診療所・かかりつけ医(在宅主治医)のリハ機能の充実とそれを支える在宅リハセンター(案)の創設に大きな期待がかかる」87

■書評・紹介

■言及



*作成:田島 明子 
UP:20080821 REV:
リハビリテーション  ◇老い  ◇身体×世界:関連書籍 2005-  ◇BOOK
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