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『税制改革の渦中にあって』

石 弘光 20080125 岩波書店,223p


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石 弘光 20080125 『税制改革の渦中にあって』,岩波書店,223p. ISBN-10: 4000236741 ISBN-13: 978-4000236744 2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

■紹介

危機的な財政状況、少子高齢社会の到来のもとで、社会的インフラストラクチャーたる税制はどうあるべきなのか。低福祉・低負担/中福祉・中負担/高福祉・高負担という国民のいずれかの選択のなかで、今後税制改革を新たな視点でどう進めるかを、長年政府税制調査会会長を務めた著者が明確に答える。

■目次

第1章 増税時代の到来か―パラダイムの転換!
第2章 税制改革の主役交代―官主導から政治主導へ
第3章 国民の理解とマスコミ報道―どう改善しうるか
第4章 政治的にタブー化した消費税―どう克服しうるか
第5章 迫られる所得税の復権―改革の原点
第6章 複雑な法人税の立場―今後の目指すべき方向

■引用

第2章 税制改革の主役交代―官主導から政治主導へ
 「一連の人事を見ると、官邸に異を唱える人はことごとく要職から外されてしまっているという印象が否めません。小泉純一郎施政権から安倍政権に変わって、特にその傾向が強まっているのではないでしょうか。経済分野では、安倍総理と同じ「成長派」ばかりが重用されているように感じます。[…]
 そもそもマスコミは僕を増税派と決めつけ、本間君を成長派に分けるからおかしなことになる。僕だって経済成長を無視しているわけではないし、本間君だって増税を否定しているわけでもない。片方のイメージを決めつけた方が受け手には分かりやすいのでしょうが、そういう報道の仕方は問題だと思います。[…]
 成長派派、増税が悪で歳出カットが善だと言っているようです。けれど、歳出カットというのは経済成長にとって増税以上に害があります。これはマクロ経済学の初歩ですよ。増税以上に歳出カットは経済成長と両立するものではないのに、そこら辺が国民にはきちんと伝わっていない。」(石[2008:69-70])

第5章 迫られる所得税の復権―改革の原点
「二〇〇六年度税制改正において、定率減税の全廃がひとつの焦点になった。源泉徴収制度のしたで、人々がこのような大規模な減税をどれだけ意識し消費を増やし、日本経済の回復に貢献したのかは定かでない。はっきりしていることは、先進国最悪といわれる財政赤字累積を一段と加速化させたことであろう。」(石[2008:154])

■言及

◆立岩 真也 編 200908 『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社


UP:20081107 REV:20081214,20090801
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