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『リバタリアニズムと最小福祉国家――制度的ミニマリズムをめざして』

橋本 祐子 20080125 勁草書房,254p.+18p. ISBN: 4326153946 2940


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■橋本 祐子 20080125 『リバタリアニズムと最小福祉国家――制度的ミニマリズムをめざして』,勁草書房,254p.+18p. ISBN: 4326153946 ISBN-13: 978-4326153947 2940 [amazon] ※ l04

■内容紹介
リバタリアニズムは「市場原理主義」に尽きるものではない。人間にとって必要最小限の法=制度をめざす古典的自由主義の立場から、あるべき「最小・福祉国家」を描く。
市場における自由を重視し政府は不要だとする無政府資本主義と、分配における平等主義に基き再分配を目的とする拡大福祉国家論の双方を退け、「プロジェクト追求者としての人間」の権利論を対置する。市場も国家もともに統制しうる、制度的ミニマリズムの理念とは何か。穏健なリバタリアニズムから、原理的に福祉国家論を再構築する。
[関連書] 森村進編著 『リバタリアニズム読本』 (勁草書房刊)

■目次

序章  リバタリアニズムと最小福祉国家
第一章 福祉国家批判からの出発
 第一節 福祉国家をめぐる現代正義論の展開
 第二節 福祉国家批判からの出発
第二章 なぜ、制限された政府なのか
 第一節 公共財と政府の正当化
 第二節 アナキズム批判
 第三節 制限された政府
第三章 最小福祉国家の法秩序
 第一節 古典的自由主義の法理論−複雑な世界のための単純なルール
 第二節 最小福祉国家におけるサンクション−刑罰から損害賠償へ
第四章 平等主義を問いなおす
 第一節 平等主義の見解
 第二節 平等主義再考
 第三節 福祉国家と平等主義
第五章 最小限の福祉への権利
 第一節 最小限の福祉への権利の否定
 第二節 社会保障制度を肯定する理由
 第三節 最小限の福祉への権利の基礎
終章  制度的ミニマリズムへ向けて
あとがき
索引/文献


■引用
「注意したいのは、筆者はここにいう「プロジェクト」を非常に広い意味でとらえていることである。すなわち、人々はすべてそれぞれのプロジェクトを追求すべきだ」と述べることによって、一定の「生き方」を押しつけるわけではない。筆者のいうプロジェクトとは、道徳的に立派で積極的な活動である必要はないし、他人と関わり社会に貢献する活動である必要も全くない。怠惰な生き方を貫徹することもその人の立派なプロジェクトであるし、社会的にみて価値が237>238あるとは言えないようなプロジェクトであっても一向に構わない」(pp.237-238)
「筆者は、ランドらのように独立独行の強靭な精神を備えた人物や企業家精神溢れた人物を望ましい人間像として想定してはいない。むしろ一定の人間像を想定しないことにこそ、人をプロジェクト追求者として捉える意味があると考える。なぜなら、プロジェクト追求者という場合、肝要なのは、プロジェクトの形態や内容ではなく、そのプロジェクトを本人が追求するということにあると考えるからである。自らのプロジェクトを本人が追求するということこそ、人が自らの生を生きるということである。プロジェクトがどのようなも238>239のであれ、個人がそれを追求するということ自体が人間の別個性を体現したものであり、ここにこそ自由を尊重すべき理由が存在するのではないだろうか」(pp.238-239)
「最小限の福祉とは、人が生存するために必要な最小限のものである。それ以上を超えるもの、239>240例えば、その人が善き生を送るための御膳立てをすることは最小限の福祉の供給ではない。福祉への権利が最小限でなければならない理由は、他人から干渉されないという消極的権利を侵害する程度を最小限にとどめなければならないからである」(pp.239-240)

■言及・紹介
・橋本の主張:「人が(その人である生き方を選ぶように)生きる」ということをひとつの「プロジェクト追求」とみなすことにより、経済的に干渉されない(分配による平等を正義とみなすことへの批判:リバタリアン)という立場を取りながら、なおかつ最小限の福祉への権利を正当化できる。(文責:野崎)
・「人が生存するために必要な最小限」は人によって違うだろうし、そもそも、「最小限」の福祉を実証的に測定することは可能なのか? 論理的には、最小限の福祉が与えられずに死ぬことによって、「最小限」がわかる、すなわち、それは事後的に、かつ反証される形によってしか示し得ないのではないだろうか。だとすれば、橋本の論の立て方そのものから再考せねばならないだろう。(文責:野崎)

cf. Friedman, Milton
  Hayek, Friedrich A.

作成:野崎泰伸
UP:20080305 REV:
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