『「仕舞」としての呆け――認知症の人から学んだことば』
石橋 典子 20071215 中央法規出版,251p.
last update:20110424
■石橋 典子 20071215 『「仕舞」としての呆け――認知症の人から学んだことば』,中央法規出版,251p. ISBN-10:4805829524 ISBN-13:978-4805829523 \1680 [amazon]/[kinokuniya] ※ b01 m
■内容
本書は、認知症患者の心を開き、自身が病に向き合う中で関係性・社会性を取り戻していく実践記録。手記を書き、サイコドラマを演じるという精神科医療としての手法を提示する一方、対症療法に陥ってきた認知症ケアのあり方を問い直し、マニュアル化する現状に警鐘を鳴らす。
■目次
はじめに
第1節 社会の中で生きていく
暮らしの達人/お年寄りが自分を語る/「聴衆」として参加/家族そろって発表/テレビが伝えたお年寄りの笑顔/本人の声を聞こうという流れ
第2節 はじめの一歩
精神科医療の現場で感じた矛盾/「モスグリーンがよく似合うね」/街中に精神科診療所を開設/見えてきた認知症高齢者の心の世界/医療の見えない医療/歌とサイコドラマ/「見ザル、言わザル、聞かザ、覚えザル」でいきましょうや/デンマークで腑に落ちたこと/自分を語れる自分/居場所づくりは自分で/病院でも患者が主人公/自然は無限の仲間
第3節 お年寄りの生きる技
定番の作り話、とっさの作り話/仲間と共に/呆け座談会――発揮されるコミュニケーションの力/究極の問題解決策とは/手記は新しく開発した力/つらさを除くフィルター
第4節 家族の力
歩み寄る/一番得をしたのは介護ができた私です/もう逃げられないと覚悟をしたら楽になりました/姑と嫁物語/様々な家族/唐突に向き合う家族/よみがえり、さらに深まる家族/息子たちの思い/孫世代はじいちゃん、ばあちゃんがだーい好き
第5節 幸運の女神は準備されたところに
幸運は準備があってこそ/モザイク取材はどこかがおかしい/クリスティーン・ブライデンさんとの出会い/オーストリアにクリスティーンご夫婦を訪問/ケアパートナーとしてのポール/翻訳出版記念に二人を日本に招く
第6節 専門性はどこに
これまでの精神医療/つながらない治療目的/夜間せん妄が引き起こす悲劇/三人の子どもと若年性アルツハイマー病の父/不適応反応を乗り越える/一割の専門性/自然回復力を信じて/デイケアでの治療目的/サイコドラマ(心理劇)/ど素人が演出したサイコドラマ/【資料】ピントの合った補助具
第7節 男と女
クリスティーンとポールの愛/夫唱婦随の夫婦愛/素敵な歌姫に呆然/男は男を、女は女を意識できる舞台づくり
第8節 呆けを「仕舞」として
捨て往く命/隠岐のお年寄りの「身仕舞」/はびこる認知症恐怖/人生仕上げの能舞台/この世とあの世の懸け橋
第9節 そして私の父と母
親から息子へバトンタッチ/医療の罠にはまる/自分を見定めていた父/残された母/甦った母/母のプライド/母の選択/納得した人生/日々いとおしく
本書に寄せて
「石橋典子讃」 小沢勲
「石橋典子さんと『仕舞としての呆け』」 クリスティーン・ブライデン
解題
「石橋典子の人と認知症ケアの実践」 石倉康次
おわりに
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:鈴木 耕太郎