HOME > BOOK >

『「尊厳死」に尊厳はあるか――ある呼吸器外し事件から』

中島 みち 20070920 岩波新書・新赤版1092,209p


このHP経由で購入すると寄付されます

■中島 みち 20070920 『「尊厳死」に尊厳はあるか――ある呼吸器外し事件から』,岩波新書・新赤版1092,209p. ISBN-10: 400431092X ISBN-13: 978-4004310921 735 [amazon] ※

■岩波書店のHPより
 http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0709/sin_k374.html

 「いのちの線引き」を許さないために―

 2006年3月、富山県の射水市民病院で入院中の末期患者7人の人工呼吸器が取り外され死亡していたことが、明らかになりました。実際にはどのような事態が起きたのでしょうか? 本書は、この問題の報道の後につづいた「尊厳死法制化」をめぐる政府・医療界・メディア等の動きも踏まえて、今、日本の終末期医療に真に求められていることは何かを渾身で問いかけています。(新書編集部 太田順子)

◆著者からのメッセージ
 『「尊厳死」に尊厳はあるか』という書名をご覧になって、一瞬「えっ」と思われた方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。尊厳があってこその尊厳死のはずですから。
 この「尊厳死」にはカッコがついていますが、これは、「いわゆる尊厳死」「いまの世の中で一般に、尊厳死と呼ばれているもの」といった意味を、字数の限られた書名の中で、込めたものです。
 では、「いわゆる」のつかない「真の尊厳死」とは、いったいどういうものなのでしょう。2006年3月、富山県射水市民病院での人工呼吸器外し問題が報道されると、その後、日を経ずして、まだまったく内容も分からぬままに、世に影響力のある人々や関係団体が「尊厳死法制化」「医師の免責」などを口にするという、不可思議な事態となりました。
 こうした事態の推移を見ているうちに、私の中で、尊厳死を論じるのではなく、愚直なまでに足で書くルポによって、「今の世に尊厳死と呼ばれるもの」の実体と、それをめぐる動きのホットな情報を記録し、みなさまに読んでいただきたいという気持ちが湧き上がってきたのでした。
 「真の尊厳死とは何か」―この、漠としてつかみどころのない問題を、思い悩みながら探し求めてこられた方々に、それをご自身で見つけ出していただくための具体的な材料として、この小さな本を捧げます。

◆著者紹介
中島みち(なかじま・みち)
ノンフィクション作家。1953年東京女子大学卒業。TBS勤務を経て、70年中央大学大学院法学研究科(刑事法専攻)修士課程修了、同年乳がん手術。その後、安楽死、生命倫理、医療制度など、医療と法律の接点となる諸問題について執筆を続ける。現在、(財)日本医療機能評価機構評議員、(財)日本訪問看護振興財団理事なども務め、一貫して患者の立場からの医療への提言を行う。94年、第42回菊池寛賞受賞。
 著書に『患者革命―納得の医療 納得の死』(岩波アクティブ新書)、『脳死と臓器移植法』(文春新書)、『がんと闘う・がんから学ぶ・がんと生きる』(『誰も知らないあした』『がん病棟の隣人』等、ロングセラーのがん三部作を1冊に収録)、『がん・奇跡のごとく』(以上、文春文庫)他、著訳書多数。

■目次

はじめに

第I章 「尊厳死」に尊厳はあるか―「射水市民病院・人工呼吸器取り外し事件」から―
 ◆「射水市民病院・人工呼吸器取り外し事件」の概要
 第一節 事件の発覚
真に守らなければならないもの/「事実」を置き去りにはできない/発覚の端緒/「脳死状態」で「回復はありません」/「瞳孔散大」とは/人を集めて呼吸器を外す?/診療停止へ/院長との対話/今なお残る疑問
第二節 七人の患者が死を迎えるまで
 第三節 患者の尊厳を世に問うのなら
医療に絶対はないからこそ/三つの疑問/今一度、「脳死状態」とは/行為の本質は変わらない/インフォームド・コンセントの本質は?/ボーケン手術?/治したいという気合いで……
第四節 覚悟が定まったとき
励ましたい、しかし……/署名運動の実態/最後の電話/「マスコミっていうのは……」/「こんな、誰でもやってることで」/真意はどこに/心を引き締めた夜
第五節 改革への模索
改革の途上で/市民のための病院を目指したい/「いったい何故、何故なんだろう」/命の灯が自然に消えるまで/医師の意識を左右するもの

第II章 終末期医療のこれから―今、真に求められているもの―
第一節  尊厳死法制化への動き
真に尊厳ある死のために/最大の問題は終末期医療の質の格差/急増した日本尊厳死協会会員/リビング・ウイルの効果は/「だれが医療を支配するのか」/法律案要綱(案)について/命に関わる法の規定の難しさ
第二節  「いのちの線引き」への医療界の底流
人工呼吸器のイメージ/脳死論議に共通するもの/一つの懸念/日本救急医学会の反応について/骨抜きが行われないように
第三節  「尊厳死」問題と私
 「尊厳死」問題の始まりから/事実を圧殺する「熱気」/「尊厳死」という言葉が隠蔽するもの/「延命措置の不開始」をめぐる私の経験/尊厳ある生をいかに支えるか

あとがき

【資料】
 終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン
 終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン解説編
 臨死状態における延命措置の中止等に関する法律案要綱(案)
 終末期医療の基本方針・射水市民病院

■紹介・言及

◆四十物 和雄 20071016 「『射水市民病院事件』の事実関係について、中島新著で新たに分かったこと――個人的なもの」
http://www.arsvi.com/2000/0710ak.htm

◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房 文献表


UP:20071104 REV:
射水市民病院での人工呼吸器取り外し  ◇安楽死・尊厳死  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)