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『家で死ぬための医療とケア――在宅看取り学の実践』

新田 國夫 編 20070920 医歯薬出版,178p.


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■新田 國夫 編 20070920 『家で死ぬための医療とケア――在宅看取り学の実践』,医歯薬出版,178p. ISBN-10: 4263719344 ISBN-13: 978-4263719343 2940 [amazon] ※

■医歯薬出版のHPより
 http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.cfm?bookcode=719340

 在宅での看取りのあり方について医療とケアの視点から懇切に解説した新刊!

 新田國夫 編著/芝祐信・葛田衣重・山田圭子・秋山正子・佐藤美穂子・芝裕美子・山寺博史・苛原実・清水俊夫・五島朋幸・竹田幸彦・三上はつせ・小笠原一夫・箕岡真子・林大樹・山路憲夫 著

○介護保険法の改正,診療報酬の改定にともなう「在宅療養支援診療所」の制定など,在宅ケア新時代を迎えて,在宅での看取りが問われている.本書は,医師・歯科医師・看護師・ケアマネジャーなど,各職種のエキスパートたちが在宅での看取りのあり方を懇切に論述!
○在宅での看取りの考えかたからはじまり,看取りの実践方法,家族への対応,看取りの現状と課題,看取り事例など,今日からできる“家で死ぬため”の医療とケアを,多角的にわかりやすく解説!
○医師,看護師,介護福祉士,ホームヘルパー,ケアマネジャーなど,在宅ケアに携わる方にとって,医療・ケアの質を高めるための必読の一書!

■目次
 http://www.ishiyaku.co.jp/search/details_1.cfm?cid=1&bookcode=719340

第1章 在宅での看取りの考えかた
 1)家で死ぬということ (新田國夫)
  なぜ在宅か
  在宅医療のあり方と概念
  終末期医療費は病院医療より在宅医療が経済的か
  在宅医療に必要な条件
  終末期患者を抱えた家族とは
  家族との連携
  訪問看護・訪問介護のコツ
 2)看取りの考えかた (新田國夫)
  日本におけるターミナルケアの由来
  ターミナルケアの基本的な考えかた
  マズローの欲求段階説からみた終末期
  QOLとは何か
  信頼を得るターミナルケアとは
 3)看取りの歴史に対する一考察 (新田國夫)
  中世から近代までの看取り
  明治時代の看取りの考え
  谷保村(現在の東京都国立市)の看取りに関する医療史
第2章 在宅での看取りの実践
 1)在宅に向けての退院支援 (芝 祐信)
  これから求められる病院医療者とは
  病院の役割
  病院における退院支援の過程
  在宅導入の条件について
  在宅継続のための条件
 2)病院と地域連携の重要ポイント (葛田衣重)
  在宅に向けた病院の役割
  退院支援の実際
  地域連携の重要ポイント
 3)ケアマネジャーの役割 (山田圭子)
  ケアマネジャーの基本的な考えかた
  ケアマネジャーは何をすべきか
  看取りにおけるケアチーム
  利用者・家族に信頼される関係づくり
  ケアプラン作成の留意点(在宅移行期から終末期,看取りまで)
 4)看取りまでに発生する諸問題とその対応 (秋山正子)
  患者の心理(マインド)を汲み取りながらケアにあたるには
  症状の変化に対する不安とその対応
  ストレスケア
 5)訪問看護の役割 (佐藤美穂子)
  在宅での看取りをめぐって
  訪問看護の活用
  訪問看護における看取りの看護(シンプルケア)
 6)訪問介護の役割 (山田圭子)
  利用者への直接的な介護の実践
  家族に対する介助方法の伝達
  家族を支える精神的な支援
  事例をとおして訪問介護の役割を考える
 7)緩和ケア・ホスピス (新田國夫)
  緩和ケアとは
  今日の緩和ケア
  緩和ケアの実際
 8)がん患者の疼痛ケアと薬物療法 (芝 裕美子)
  痛みの評価
  痛み止めの使いかた
  鎮痛補助剤
  患者への注意として
 9)終末期の精神的諸問題 (山寺博史)
  うつ病とその診断
  うつ病の治療
  せん妄
 10)がん性疼痛以外の諸症状とその管理 (芝 祐信)
  管理の原則
  がん性疼痛以外の諸症状
 11)認知症の看取り (新田國夫)
  認知症とがんの終末期医療の違い
  認知症高齢者の終末期とは何か
  アルツハイマー病のステージ分類
  「認知症高齢者の終末期」の医療
 12)長期療養患者への対応と看取りまで (苛原 実)
  ○看取り症例の検討
   検討の目的と対象
   結果と考察
  ○長期療養患者の訪問上の注意点と工夫
   家族支援
   定期検査の必要性
   看護・介護職との連携
   施設入所の考えかた
 13)在宅栄養管理 (清水俊夫)
  嚥下障害と栄養障害
  経管栄養
  経静脈栄養
  在宅における栄養状態の評価
  運動障害患者における必要カロリー量
  経腸栄養による栄養管理上の注意点
  栄養サポートチーム(NST)の役割
 14)口腔ケアと看取り (五島朋幸)
  口腔ケアの3つの意義
  誤嚥性肺炎予防のための口腔ケア
  摂食・嚥下障害と口腔ケア
  口腔ケアの実際
  義歯の役割とケア
  QOL向上のための口腔ケア
 15)在宅救急時の対応 (竹田幸彦)
  緊急時の対応
  トリアージの実際
  在宅で頻度の多い緊急事態とその対応
 16)臨終の対応 (三上はつせ・新田國夫)?
  臨終においての心得
  家族に悔いがないように
  臨終時の立ち会い
  苦しまない死
  死後の処置(エンゼルケア)
  死亡診断書と葬儀
第3章 看取る人へのケア
 1)在宅看取りへのコンセンサス (芝 祐信)
  ○家族の同意と告知
   患者と家族
   がん告知のあり方
   治療方針に対する患者の意思の反映
  ○デスエデュケーション
   日常ではない人の死
   在宅導入までの手続き
   人の死は特別なこと
   医療者と死の準備教育
   4分割法の活用
   在宅ターミナルケアの発展を阻む医療者
 2)利用者家族へのケア-医師の役割 (小笠原一夫)
  「家で亡くなってもよい」という選択肢を伝える
  「限られた時間であること」を伝える
  どのような援助ができるかを伝える
  「家でも苦しみなく最期を過ごすことができる」ことを伝える
  夜間や休日などに対する不安に対応する
  看取りに至るまでのいくつかの波を把握し対処すること
  ともに死を受け入れていくこと
  主介護者を支える
  家族イコール介護者ではない
  価値観を押しつけてはならない
  死の受け入れの準備
  臨死期の説明
 3)利用者家族へのケア-看護師の役割 (佐藤美穂子)
  家族に安心感を与える看取りとは
  肉体的・精神的疲労への対応
  死のプロセスと家族支援
 4)亡き後への支援-グリーフケア (佐藤美穂子)
  グリーフケアとは
  遺族の立ち直りを支援した事例
 5)亡き後への支援-喪失感と看取りの満足度 (箕岡真子)
  「看取り」の満足度を高めるための5つのファクター
  看取りの満足度を高めるために医療ケアスタッフができること
  介護スタッフへの支援
  「看取りの満足度」=「終末期ケアの質を高めること」
第4章 在宅の看取りにおける現状と課題
 1)医療・保健・福祉の連携の課題 (林 大樹)
  在宅医療の政策動向と連携システムの課題
  在宅での看取りを支える医療・保健・福祉連携システムの形態
  有効な連携システムに必要な情報の共有とICFの視点
  有効な連携システムに必要な援助型リーダーシップ
  在宅ケア連携ファシリテーターの提案
 2)看取りに関連する倫理的な問題 (箕岡真子)
  安楽死と尊厳死
  終末期の緩和ケア(延命治療の差し控え・中止)
  倫理的に区別しにくい医療行為
  延命治療を差し控え・中止する(=看取り)ための条件
  成年後見制度
  尊厳ある看取りを実践するために
 3)守秘義務と個人情報保護 (箕岡真子)
  守秘義務
  守秘義務の解除
  個人情報保護
 4)看取りにおける社会的状況 (山路憲夫)
  在宅での看取りへ加速する改革
  先送りされてきた医療制度改革
  安心して死ねる条件づくりとは
  介護保険の役割と限界
  地域ケア整備構想
 5)在宅療養支援診療所の役割 (新田國夫)
  在宅療養支援診療所の要件
  介護療養病床の廃止の影響
  看取りの文化
  24時間対応と主治医の役割
第5章 看取り事例から学び,実践につなげる
 事例1:がん末期の看取り(1)
 事例2:がん末期の看取り(2)
 事例3:がん告知の可否の事例
 事例4:認知症の看取り(1)
 事例5:認知症の看取り(2)
 事例6:疼痛に対する緩和医療の看取り
 事例7:家族関係が困難な看取り
 事例8:在宅医療環境に問題のある看取り

■はじめに p.iii
 http://www.ishiyaku.co.jp/search/details_1.cfm?cid=2&bookcode=719340
 http://www.ishiyaku.co.jp/search/details_1.cfm?cid=2&bookcode=719340

 現在,日本において在宅で亡くなる方は20%に過ぎない.在宅死が80%超えていた1950年代以降,医療制度の変更,核家族化などによる家族環境の変化,さらには住居問題などの社会制度の変遷が生活を大きく変えていった.
 そして病院死が80%の現在,死は私たちの前から遠ざけられ,日常生活のなかでの死は忘れさられてしまっている.病院では家族介護の必要性がないため,医師によって死を告げられることを家族は不安げに待つのみであり,こうした生活環境の変化が生そのものも希薄化させているような気がしてならない.
 2006年の介護保険法改正や診療報酬改定にともなう在宅支援診療所の制定は,在宅重視の流れをさらに拡大させることは確実である.制度問題の良し悪しはともかく,死を含めた生のありさまが私たちの生活の近くに戻ることにより,自分の生きる意味を見出し,さらにはそれを語り合えることによって,価値ある生を復活させるに違いないと思う.
 そのようななかで,自宅で死を迎えるためには何が必要であろうか.いわゆる老衰をはじめ,がん,認知症など終末期の状態像はさまざまである.高齢者医療,緩和医療を含めた医療の問題,利用者だけでなく家族も含めたケア,さらには尊厳死や延命治療の打ち切りといった倫理的な問題を含めて考えていくことも日常的に重要になってくる.
 また在宅ケアは,病院医療から生活を中心とした医療を求めることによってはじまっているが,医療・看護・介護は,疾病や障害,住む場所の違いなどがあっても,差がなく供出されることが重要である.誰もがいつまでも住み慣れた家に住んでいたいと思うことは当然であり,外的因子がそれを許さないとしても,私たちはそれぞれの価値ある生を守るために,どこにおいても十分な支援体制をとる努力をしていかなければならない.
 在宅医療は家族を含めてのチームケアである.医療・ケア従事者だけでなく,家族も含めて終末期における共通の意識をもつことが大切になる.ぜひとも本書によって,このチームに共有した終末期の意義を考えていただきたい.
 最後に,本書を通じて看取りにおける問題をともに考える機会をつくることができたことに感謝を申し上げたい.
 2007年9月
 医療法人社団つくし会 新田クリニック 院長 新田國夫


UP:20071117 REV:2007
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