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『精神科のくすりを語ろう――患者からみた官能的評価ハンドブック』

熊木 徹夫 20070915 日本評論社,203p.

last update:20110616

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■熊木 徹夫 20070915 『精神科のくすりを語ろう――患者からみた官能的評価ハンドブック』,日本評論社,203p. ISBN-10:4535982694 ISBN-13: 978-4535982697 \1890 [amazon][kinokuniya] ※+[広田氏蔵書] m d07

■内容

出版社/著者からの内容紹介

薬を飲んだとき、あなたはどう感じますか。
薬効や副作用などの主観的服薬体験を読み解く、患者さん主体のまったく新たな提言。

内容(「BOOK」データベースより)

“精神科医にもらった薬がわかる本”では決してわからないことがある――あなたが自分の飲んでいる薬の効き方を感じとり、主治医に伝えるための手引き。

■目次

序章 精神科薬物の官能的評価、活用のすすめ
第1章 抗不安薬(デパス;リーゼ ほか)
第2章 睡眠導入薬(ロヒプノール、サイレース;レンドルミン ほか)
第3章 抗うつ薬(パキシル;デプロメール ほか)
第4章 抗精神病薬(リスパダール;ドグマチール ほか)
第5章 感情調整薬(リーマス;デパケン ほか)
終章 精神科医からみた官能的評価

■引用

 1 官能的評価のうちなる発見

 現在の精神科医療ではさまざまな治療法が施されいますが、そのなかでもとりわけ大きな二本の柱が存在します。それは、精神療法と薬物療法です。
 「えっ」と驚かれる方それはきっとまだ精神科にかかったことのない方でしょう。そのような方は、精神科治療の大部分がカウンセリング(すなわち、広い意味での精神療法)で成り立っていると考えておられると思います。しかし現実には、薬をまったく使用せずに治療が行われることはほとんどをないと言ってよいでしょう。でも、精神療法と薬物療法という、お互いまったく相容れないような冶療法を両立させることが可能なのでしょうか?
 この状況にある種の違和感を覚えるのは、何も患者さんやご家族といった精神科ユーザーにとどまらないでしょう。専門家、とくにその卵である初学者も、最初期に、少なからず同様の違和感を有していたはずなのです。
 同じ精神科臨床という場におしで、同一の心身に加えれる、まったく位相の違うニつのカ。これらがハーモニーを形作ることの衝撃と意味について、私はかつて拙著『精神科医になる一患者を〈わかる〉ということ亅(中央公論新社、2004年)において論じました。それは、精神療法と薬物療法のいずれも、患者という"存在構造"に働きかけるカであると見なすことにより、そのハーモニー形成の意味は了解可能だとするものでした。
 さらにその中で、精神科薬物の官能的評価(以下、官能的評価)という概念を提唱し、それを集積することの意義について説きました。本書では、患者を"存在構造"としてとらえる方法については再論せず、官能的評価という概念を平たく論じなおし、その具体例を示すことにしましょう。そして、読者の皆さん(ひいては患者さん)が官能的評価の必要性を感じ、それを日常臨床や日常生活で活<0007<用しようと思えるようになるなら、本書の目的は達せられたことになります。
 ここでは、私がみずからのうちにおいて、薬効のイメージ、そしてひいては官能的評価というものを作り上げてきたプロセスを、端的に示すことにします。
 私はこれまで十数年間、精神科医として臨床の現場に立ち合ってきました。
 精神科臨床の世界に飛び込んだばかりの頃、先輩医師による投薬の結果、患者さんの容態が劇的に改変する様子を目の当たりにして、投薬の技術を身につけることの重要性を早々に実感しました。それから、時々刻々変化する患者さんの様子を飽くことなく眺め、カルテに克明に記載しました。とりわけ、先輩医師の投薬したあとの変化の質の違いを、注意深く見守りました。そして、その薬が患者さんにもたらした身体変化のべクトルを抽出することに躍起になりました。
 同じようにみえる症状に同じ薬を用いても、まるで違った効果がみられる場合があります。そのたびに、その薬について私のうちに作り上げてきた薬が患者さんにもたらした身体変化のべクトルを抽出することに躍起になりました。
 そうして教カ月経ち、はじめてみずからが投薬決定したときの武者震いを、今し覚えています。患者さんに強大なカを加える責任をひしひしと感じまし」し。も。の後も、投薬の結果をみては、ときに安堵し、ときに落胆し、なぜそのようになったかを考え、薬効のイメージの再構築を際限なく繰り返しました。そして、その再構築は、現在もまだ進行中なのです。


ーナt.」-a n、一元f gm諌かh,、ノぱーけを矛n18土壱々受しK1ト、八士上がってきたものです。その薬効のイメージをそのまま澄然冫抱いたまま放置しでいると、たまたま有効な治療を行えたとしても、それは一度きりのものでぐ、,かなか再現することができません。さらに、薬効のイメージ自体はそ伊は時間的・空間的に1に他者に伝播することができずー体験を精神神科医療全体で集積することもかないません。

そのためどうしても、投薬・服薬体験の感覚的な部分を、言語化・小概厩念化し)三うと目論まないわけにはいかなくなり、いつの間にか、おのずと言葉を搾搾り出すよラにをっでいたーすなわちこれが、私のう也なろ官能的評価の発鳳です。2官能的欝価とは何か

ーい何でし上咋八でぱ、官能的評価たはいったい何でしょうか。具体的には、処方あるいけは服用した薬について、患者さんあるいは精神科医の五感を総動員して浮かび上がらせたもの(薬の"色・味わい"といったもの)や、実際に使用してみた感触(薬効)、治療戦略における布置(他薬物との使い分巾といったものです。
しかしこのような規定は、官能的評価というものを認知してもらい、議論の俎-ー土.iaaW-U-x pニ?穂よl qt、t官*的葬価ンは巣アれ。ほゲ単紬日日騒斯わよ、た+也1ん,パ、ー外,よセh -、t- ,来これほど単純明晰なかたちをしたものでぼありま廿/
来これほど単純明晰なかたちをしたものではあり圭せん。では、本来の官能的評価とはざういうもの町1,

では、本来の官能的評価とはどういうものでしょうみましょう。

先述しました通り、現在の精神科医療において、薬物療法はほとんど不可欠なものとなってきています。精神科医は患者さんに出会い、その患者さん自身の発しロし、その患者さんが楽になるために最適と考えられる薬を処方するのです。

当たり前であるはずのこの行為、実は、言うは易く行うは難いのです。それは、精神科薬物(向精神薬)の特性を理解すること、患者さんの病状を掌握し、/クさサステト早Ott.、+a Iーハい一o *tw-Iエ"特有の難しさがあるためです。

薬物処方前に精神科医にまず与えられるのは、精神科薬物の薬理学的作用についての説明、そして、疫学的(統計学的)データの2つです。これらの情報は重要に違いありません。しかし、精神科薬物の薬理学的作用には、まだ未解明なつが多く、患者さんに用いられた結果から割り出された仮説の域を出ないものも多くあること、疫学的データは疾患別・症状別グループごとに調べられたもので、その結果を個々の患者さんの病状にただちに当てはめられるかどうかは来知Pあることなども、踏まえておかなくてはなりません。

すなわち実際は"使ってみなければわからない"のです。

そのことには、精神科医であればキャリア自小北一一咲」ハずム(怯油壬壮嘩(三茸の机方を試行錯誤し々がム。うちムろ葵う)。そこでそれぞれの精神科医が、薬の処方を試行錯誤しながら、うちなる薬効のイメージを変遷させてゆきます。そんななかで、精神科医のうちから官能的評価があぶくのように湧き出ることがあります。それは、症例検討会の1シー4 ^ー台位曲1垂」拓[十パ千、の一瞬であって、その官能的評価はパチンぷ1十}。,ユの一瞬瞬であって、その官能的評価はパチンとぱどけ、雲散霧消してし達咋ー、い

多いのです。
このように官能的評価は、薬物療法の経験を積めば自動的に作り上げらちれれていくというものではありません。うちなる官能的評価を発見するためには、相当意識的に薬効のイメージを言語化しようとする営みが求めちれるのです

■書評・紹介・言及

◆立岩 真也 2013 『造反有理――身体の現代・1:精神医療改革/批判』(仮),青土社 ※


*作成:永橋 徳馬
UP: 20110616 REV:
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