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『マルクスの亡霊たち』

Derrida, Jacques 199310 Spectres de Marx, Galiee.
=20070930 増田 一夫 訳,藤原書店,438p.


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Derrida, Jacques 199310 Spectres de Marx, Galiee. =20070930 増田 一夫 訳,『マルクスの亡霊たち』,藤原書店,438p. ISBN-10: 4894345897 ISBN-13: 978-4894345898 \5040 [amazon][kinokuniya]

■内容

(「BOOK」データベースより)
「一つならずに亡霊化したマルクス」「マルクスに取り憑いた亡霊たち」を前にしての、マルクスの「純化」(=アルチュセール)と「脱政治化」(=単なるテクストとしてのマルクス)。これらに抗し、マルクスの「壊乱的」(ブランショ)テクストの「切迫さ」(=マルクスの厳命)を、テクストのあり方そのものにおいて相続せんとする亡霊的、怪物的著作。シェークスピアの真価 (The time is out of joint (時間の蝶番がはずれてしまった)) を知りながら結局は亡霊を厄祓いするマルクスの限界にまで踏み込み、「憑在‐錯時性」にこそ、「遺産相続」「出来事・革命・他者の到来」「法を超えた正義」の条件を見出す、マルクス、そしてハイデガーの「存在‐時間」論との全面対決。

■著者
Jacques Derrida (ジャック・デリダ)
1930年7月15日、フランス統治下アルジェリアのエル・ビアール生まれ。2004年10月8日、パリにて逝去。フランスの哲学者。1964年、エコール・ノルマル・シュペリウールの教員に就任。1984年、社会科学高等研究院教授。国際哲学コレージュの初代校長も務めた。フッサール『幾何学の起源』の仏訳に付けた長大な序文で現象学者としてまず注目されたが、その後は西洋哲学のロゴス中心主義を相手にし、その脱構築を目指す思想家という像が定着する。差延、散種、グラマトロジーなどの概念を駆使した独特の語り口で緻密な読解をおこない、しばしばポスト構造主義の旗手と位置づけられる。晩年は、グローバル化や9・11、イラク戦争に対する積極的な発言などでも注目された
増田一夫(かずだ・かずお)
1954年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はフランス思想。
■目次 ■引用
 マルクスを読まないこと、読みなおさないことは、つねに過失であることになるだろう。それは今後ますます理論的、哲学的、政治的責任に対する違反だということになることだろう。「マルクス主義的」な(国家、党、支部、組合といった)教条機械やイデオロギー装置が消滅過程にある現在、この責任から眼をそむけるときのわれわれに残されているのは、もはや弁明ではなく逃げ口上アリバイのみとなる。この責任なくして、未来はない。マルクスなくして未来はないのである。マルクスの記憶と遺産なくしては。彼の数ある精神エスプリの、少なくとも一つの記憶と遺産を抜きにしては。(……)
 だがマルクスも、幽霊と現実性とのあいだの境界線は、ユートピアそのもの同様、ある現実化によって、すなわち革命によって乗りこえられなければならないと考えていた。現実の境界および概念的な区別としてこの境界線の存在を、彼の方もまた、絶えず信じたか、信じようとしたことになる。〈彼もまた〉だろうか。いや、〈彼のうちの誰かが〉である。誰が、だろうか。「マルクス主義」の名のもとで長きにわたって支配力をふるったものを産み出したあの「マルクス主義者」が。そして、自分もまた排除しようとしていた当のものによって取り憑かれていたあの「マルクス主義者」が、である。(「I マルクスの厳命」より)

■書評・紹介

■言及



*作成:角田 あさな 
UP: 20090930 REV:
Marx, Karl カール・マルクス  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK 
 
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