『フィロソフィア・ロボティカ――人間に近づくロボットに近づく人間』
櫻井 圭記 20070725 毎日コミュニケーションズ,248p.
■櫻井 圭記 20070725 『フィロソフィア・ロボティカ――人間に近づくロボットに近づく人間』,毎日コミュニケーションズ, 248p. ISBN-10: 4839923760 ISBN-13: 978-4839923761
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■内容
(「amazon」より)
人間はなぜかくもロボットに惹かれるのか。
気鋭のSF脚本家、櫻井圭記が「人称代名詞」をキーワードに読み解く、現代日本ロボットの最前線。
これまでアニメーション作品「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズでタチコマやアンドロイドなど、ロボットにまつわるシークエンスを多く執筆してきた著者が、「人称代名詞」という独自の視点からロボットを論じます。
本書では、AIBO、ASIMO、HRP-2、ビル清掃ロボット、ロボットスーツHALなど約30のロボットに言及。マルクス、黒崎政男、マクルーハン、ウェーバー、加藤尚武、オング、ミード、ブーバー、ドーキンス、ラヴロック、大澤真幸らの議論を参照しつつ論を展開します。
サイエンスとフィクションの狭間に位置する本論考は、「攻殻」マニア、「ロボット」マニアにとどまらず、人間とロボットの関係を考えるすべての人に有益なものとなるでしょう。
(「BOOK」データベースより)
気鋭のSF脚本家(攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEXほか)が「人称代名詞」を切り口に説き明かす現代日本ロボットの最前線。人文系ロボット文化論。
■著者略歴
(「amazon」より)
脚本家。プロダクションI.G所属。東京大学経済学部卒業。2002年3月 東大大学院新領域創成科学研究科修了。
修士論文は「他我を宿す条件 ~人間・ロボット間コミュニケーションの行方~」。同大学院在籍中に日本のアニメとメディアに関する論文を発表し、「情報通信論文ISID」「JMF日本マルチメディア大賞」で最優秀賞を受賞する。これがきっかけとなって『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のアニメシリーズに参加し、脚本家としてデビューを果たす。2002年にプロダクション I.Gに入社し、それ以降、『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』『お伽草子』などの脚本を手がける。
人間とロボットを「オリジナルとコピー」という観点から問い直す瀬名秀明氏との対談(東京大学)や、NTTコア技術シンポジウムでの講演「人とロボットはどのようにつながっていくのか」など、独自の視点からロボットの世界に切り込む活動を精力的に展開。
(「BOOK著者紹介情報」より)
脚本家。プロダクション・アイジー所属。「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」などの脚本を手がける。東京大学経済学部卒業。2002年3月東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。修士論文は「他我を宿す条件――人間・ロボット間コミュニケーションの行方」。人間とロボットを「オリジナルとコピー」という観点から問い直す瀬名秀明氏との対談(東京大学)や、NTTコア技術シンポジウムでの講演「人とロボットはどのようにつながっていくのか」など、独自の視点からロボットの世界に切り込む活動を精力的に展開。
■目次
SとFの狭間で〜前書きに代えて〜 7
第一章 ロボットの立ち位置 13
1-1 人間に近づくロボット 14
未来の世界のイヌ型・ネコ型ロボット
奇怪な感情移入
感情移入の機会
「義務」と「権利」の転嫁
アンドロイドの胎動
1-2 ロボットの立ち位置 28
さまよう定義
忘れられたイメージ
手足の生えたコンピュータ
身体への漸近を続けるケータイ
言葉遊びの裏側
二人称としてのロボット
逆説の他者
環境倫理における「外部」と「内部」
1-3 ロボットに近づく人間 52
現代版ロボット工学三原則
錯誤の魅力
「他者」認識の逆輸入
コピーを模倣するオリジナル
第二章 ロボット(へ)の歩み寄り 61
2-1 「自我」の置換 63
ロボットの歩み寄りとロボットへの歩み寄り
人称代名詞という切り口
客我からのアプローチ
中国語の部屋
無根拠な賭け
無意識のアナロジー
デカルトの亡霊
コギトとシグマ
ロボットにとっての「自我」
2-2 会話する機械と会話すると… 88
既存のモデル
「ルール」と「プレイ」のパラドクス
身体なき者たち
おそらく人間?
仮想のハードル
「自然な」不自然
2-3 身体がある場合 114
物理的身体の有無
視覚の補完
補完を促すファクター
ヒト型であることの意味
理由のない理由
派生効果
不気味の谷
最適なデフォルメ
CGキャラクターという先達
第三章 姿を消すロボット、残されたデルタ 141
3-1 四人称の可能性 142
WiiとYouTube
三人称という宇宙
「我と汝」と「我とそれ」
主語の不在、人称代名詞の不在
特殊な人称
クラゲは合体して…クラゲになる
ドーキンスの生存機械
ラヴロックのガイア
ミクロな主体、マクロな主体
3-2 サイボーグ化とユビキタス化 163
人称の新フェーズ
YouTubeの可能性
サイバースペース
ブレイン・マシン・インターフェイス
接続される脳と脳
生理的忌避感?
電脳の誕生
スタンド・アローン・コンプレックス
「村」化するネットワーク
義体化、あるいはサイボーグの可能性
ユビキタス化、あるいは環境に溶け込む方向性
姿を消すロボット
3-3 デルタに逃げ込むゴースト 188
残された差異
殻の中の「ゴースト」
「ゴースト」の発動
リスト化できない残余
深い青
定義の更新
幸せの青い鳥
付録年表・ロボットとフィクションの関わり 207
理想と現実の隙間で〜後書きに代えて〜 239
参考文献 242
*作成:植村 要