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『年金問題の正しい考え方――福祉国家は持続可能か』

盛山和夫,20070625,中公新書 273p.


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■盛山和夫,20070625,『年金問題の正しい考え方――福祉国家は持続可能か』中公新書 273p.ISBN-10: 4121019016 ISBN978-4-12-101901-1 [amazon][kinokuniya]

◆目次
プロローグ 福祉国家の持続可能性という視点

第1章 年金に加入するのは損か得か
  1保険料と年金額 2厚生年金も個人ベースでは得

第2章 世代間格差はなぜ生じたか
  1世代間格差の実情 2ズサンな制度設計 3格差が生じる構造上の欠陥

第3章 格差と負担増をめぐる二つの誤解
  11973年スキームの問題 2検証・賦課方式犯人説 3検証・少子高齢化犯人説

第4章 年金会計の基本
  1「100年安心への冷ややかな目」 2現時点での年金収支の実態 3シュミレーション@経済成長がない場合

第5章 年金の収支バランスを維持するには
  1シュミレーションA経済成長がある場合 2マクロ経済スライド調整率の導入 3収支がバランスするための基本条件

第6章 相対的年金水準とは何か
  1もう一つの世代間格差 2可処分所得の「50パーセント水準」の意味 3相対的年金水準は低下せざるをえない 4現役世代と高齢者世代の公平な負担

第7章 未納は本当に問題なのか
  1未納問題と基礎年金の収支構造 2未納の解消は将来の収支改善に役立たない 3未納は「社会的な悪」ではない

第8章 基礎年金の消費税化を検討する
  1消費税化が主張される理由 2「未納問題」をなくす三つの方法 3消費税化は世代間格差を是正するか 4企業と個人における負担の変化

第9章 年金の一元化とは何か
  1一元化の望ましさと困難さ 2専業主婦の年金 3厚生年金に統合するいくつかの案

第10章 税方式あるいは積立方式への転換論について
  1完全消費税化は問題が大きい 2保険方式としての税支援拡大化 3積立方式や民営化論の誤り 4公的年金が担っている社会的意義

終章 安心して信頼できる年金をめざして

 あとがき
 参考文献一覧



◆引用

プロローグ 福祉国家の持続可能性という視点
 ……本当はここのところが、年金制度をおかしくしている最大の原因だと私は思っている。つまり年金のしくみと数理を正確に理解するのは難しいという先入 観があるために、一方では厚労省の役人といわゆる専門有識者だけからなる小さな集団に実質的な政策決定権がゆだねられ、他方では、多くのその他の人々は最 初から「正確な理解」をあきらめて、せいぜい直感と常識(と思われるもの)だけから発言するという二極化が生まれてしまっているのである。このため、年金 制度がかかえている問題について、公共的に議論する空間が形成されてこなかった。この状況こそが是正されなければならない。/ここで重要なことは、年金制 度は現代福祉国家の存続可能性に関わっているということである。第一に、公的年金は社会的弱者だけにとっての社会福祉だけはなく、すべての国民を対象に、 その生活基盤を安定化することをめざした包括的な制度であって、現代の国家が果たしている基幹的機能の一つである。……しかも、年金制度は、ある短い時代 や限られた世代を超えて、異なる世代がお互いに協力し合いながら、永遠に続いていくことを前提にしている。それは、超長期的な社会的協働の制度である。 (盛山 2007: 8-9)

 本書は二つの目的をもって書かれている。第一の目的は、年金の諸問題の構造について、さまざまな誤解を解消し、多くの人に正しい理解をもってもらうこと である。たとえば、よくいわれる世代間格差や未納の問題が本当は小さな問題であって、大きな問題は別のところにある、ということを知ってもらうことであ る。/第二の目的は、その上で安心して信頼できる年金制度とはどういうものであるかを明らかにすることである。問題の構造がわかったら、どこをどう直せば いいかもわかってくる。(盛山 2007: 10)

第1章 年金に加入するのは損か得か
 年金への不信感といえば、まず「苦労して保険料を納めたとしても、老後になって見合う年金はもらえないのではないか」という損得感がある。……/本当に 破綻してしまうのなら、年金に入ることには何の意味もない。しかし、年金にはいろいろ問題があるのは確かだが、……公的年金は絶対につぶれない。少なくと も、戦争か何かで日本国家がつぶれないかぎりはそうだ。それに、多くの一般の人にとっては、国民年金も厚生年金も入って損はしないようにできている。(盛 山 2007: 12-13)

第2章 世代間格差はなぜ生じたか
 世代間格差が生じた原因について、専門家からは、「少子高齢化が予想以上に進んだからだ」とか、「日本の年金制度が積立方式ではなく賦課方式をとってい るからだ」という説明がよくなされる。しかしこれらは間違いだ。少子高齢化や賦課方式は、世代間格差の主原因では決してない。根本的な原因は、1960年 代から70年代にかけての高度経済成長期に構築されていった年金制度のスキームが、当時の現役世代に対して、収支のバランスの合理性を大盤振舞いをするし くみになっていたことである。/日本の年金制度の基本的な形は、1961(昭和36)年の国民年金の発足によって「国民皆保険制度」が確立したときにほぼ 定まったといえるが、今日、問題となっている「収支バランス」や「世代間格差」が生じることになったのは、1973年の改正によるところが大きい。この改 正こそが、問題を深刻化させた最大の原因だといっていい。(盛山 2007: 31-32)

第3章 格差と負担増をめぐる二つの誤解
 年金制度には、よく知られているように、積立方式と賦課方式の二種類がある。……日本だけでなくほとんどの諸国の公的年金制度は、「高齢者への年金給付 財源のほとんどが、その時点で現役世代が納めている保険料や税金からなっている」という意味で、基本的に賦課方式で運営されている。その一方で、「公的」 ではない年金、つまり民間の保険会社が提供している「年金保険」や、民間企業が従業員に提供している企業年金などは、積立方式で運営されているものが多 い。……公的年金は絶対につぶれさせてはならないが、私的年金はつぶれることがありうる。……/つぶれない年金制度のためには、年金の支払いの原資は過去 の積立金ではなくて、同じ時期における人々の経済活動の成果に頼った方がいい。……/ただし、政治的には現役世代からの拠出を無条件で「強制」するのは難 しい。拠出によって将来の給付が約束されるからこそ、人々は、現役時代の負担を引き受けるのである。これが、公的年金に保険方式が採用されている一つの理 由である。(盛山 2007: 44-45)

第4章 年金会計の基本
 ……経済成長がない場合には、年金会計の収支は恒常的な赤字に見舞われ、急速な高齢化のもとで限りなく転落していくことになる。実際には、累積赤字がた まるまでに、年金制度が崩壊するか、もしくは支給率の大幅引き下げや保険料の大幅な引き上げが起こるにちがいない。これは、成長がなければ2004年改正 の年金スキームが維持できないことを意味する。(盛山 2007: 94)

第5章 年金の収支バランスを維持するには
 ……経済成長は必ずしも収支の改善には寄与しない。……/正確にいえば、経済成長の効果はゼロではない。成長がないときはたちまち赤字に転落していたの に対して、多少の経済成長があれば、しばらくは収支の黒字が続く。成長率が高いほど、黒字の期間が長い。これは主として、積立金の運用収益が増えることに よる効果である。/しかし、長期的には経済成長の効果はほとんどない。効果は「賃金と物価の上昇率ギャップ」に依存する。このギャップが大きければ、相対 的年金支給水準が低いレベルでしか上昇していかないので、収支バランスが維持される可能性が生じてくる。(盛山 2007: 103-104)

第6章 相対的年金水準とは何か
「世代間格差」という言葉は、現役世代に拠出した保険料の総額と高齢になってからの年金受給額の総額との比率を、世代間で比較するときに使われることが多 い。……/しかし注意しなければならないが、こうした世代間格差は異なる世代の異なる体験を比較したものだ。……生活水準が大きく異なる時代を生きた人々 のあいだで、単に負担と給付の表面的な比率の格差だけを問題にするのはどうかと思われる。……/さて、本章で検討しようとしているのは、それとは別の世代 間格差である。それは、負担と給付の関係のように異なる世代のあいだで比較するのではなく、同じ時点での異なる世代の生活水準を比較するものだ。年金制度 が確立した社会では、どの時点をとっても、年金を受け取ってそれで生活している高齢者世代と、給与などを自分で稼ぎながらそれで生活しつつ、一部を税や保 険料として支払っている現役世代とが共存している。同じ時点では、物価水準や経済状況は同一だ。同一の時代と社会を生きている人々のあいだで、極端な生活 水準の格差が存在するのは望ましいことではない。(盛山 2007: 121-123)

 もともと公的年金の制度は、自前で稼得能力を失った高齢者の人々の生活保障を目的とするものだ。……/年金制度によってどの程度の生活水準が保障されて いるかは、まず、たとえば166万円というような年金額が表している。しかし、それだけではこの166万円という年金によって、社会の中でどの程度の生活 が保障されることになるのかは明らかではない。それには、社会の中の平均所得などと比較した「相対水準」の観点が必要になる。/この相対水準の観点からみ た年金の支給水準を表すものとして、従来から、高齢者の年金受給額が「現役世代の平均給与」に比べて何%の水準にあるかという指標〔所得代替率〕が用いら れてきた。たとえば、2004年改正の年金支給水準は、長期的に現役世代の可処分所得の50%強を維持するように設定されたといわれている。……このよう な水準を設定することで、高齢者の生活を現役世代のそれと比べて見劣りのしないものに確保することが、年金制度の重要な目的の一つ……「最大の目的」とい うべきかもしれない。少なくとも、負担と給付の格差の問題よりは重要性の高い問題である。なぜなら、第一に、ある同時点での高齢者の生活と現役世代の生活 というのは、具体的に目に見える問題である。……/第二に、異なる時点での負担と給付の関係を制御するよりも、同時点での現役所得に対する年金水準を制御 する方が、政策として比較的容易である。(盛山 2007: 123-124)

 ……本章では、現役所得に対する年金額の相対水準という観点から世代間格差を考えてみた。……これについて、だいたい以下のことが明らかとなった。

(1) 現役所得に対する相対的な年金水準は、……「成人人口比」と「保険料率」とによって規定されている。この基本的な制約を無視した高い相対的年金水準は実現 不可能である。
(2) 「賃金再評価制」のもとでは相対的年金水準は維持される。しかし、多少の賃金上昇や経済成長があっても、年金収支は赤字になってしまう。したがって、年金 制度を維持しようと思ったら、2004年の改正で導入された「マクロ経済スライド調整率」を活用しなければならない。この調整率の適用は、厚労省のいう 「50%水準」よりも相対的年金水準を実際にはかなり低く押し下げることになる。
(3)本当は、人口の高齢化のために年金水準を引き下げなければならないときでも、一方的に年金水準を引き下げるのではなくて、現役世代の保険料率の方も 引きあげて、世代間の公平を保つのが望ましい。それは、可処分所得をベースにした相対的年金水準を一定に保つことである。残念ながら、2004年の改正ス キームには、この観点は取り入れられていない。(盛山 2007: 139-141)

第7章 未納は本当に問題なのか
 未納がなくなればむしろ収支が悪化する。それは、基礎年金は構造的に赤字体質だからである。基礎年金への拠出額は2017年以降、国庫負担を含めて一人 40万5600円である。これによって高齢者に79万2000円の年金を支給するためには、20〜59歳人口比率が1・95以上なければならない。ところ が、この比率は2025年でもすでに1・71へと落ち込んでしまう。したがって、収入増があれば、それだけ支出増が起こる。……したがって、年金会計の観 点からすれば、未納を悪玉視するのは間違っている。常識には反するかもしれないが、これが真実である。(盛山 2007: 155-156)

 未納はよくないというもう一つの理由は、未納者は将来の無年金の老人になるので、生活保護費などの国庫負担金が増大するということである。……/まず、 注意しておきたいのは、今日の未納者のすべてが、一生涯未納を続けるわけではないということだ。未納率は20代で50%と若年層で高く、中高年層では低 い。……しかし、20代で無職やパート・アルバイトであっても、30代になって定職について二号保険者になる可能性や、結婚して三号保険者になる可能性は 少なくない。……一つの極端な可能性は、同じ人々がずっと保険料を支払わないで老人になり、結果として、老人のうちの14%が無年金者になるということで ある。しかし、これは可能性のうちの一つの極端なケースにすぎない。もう一つの極端なケースは、この14%は人生の途上でランダムに入れ替わるという可能 性である。……この第二の極端なケースでの問題は小さい。……/他方、第一の極端なケースでは、老人のうちの14%が無年金者となる。……しかし、この場 合でも、無年金者のすべてが生活保護の対象になるとは限らない。……/今日では、すべての人々が強制的に(広義の)国民年金に加入している。この中で生じ ている「未納」は、おそらくかつてよりも少ない。したがって、無年金や少額の年金にしかならない割合は、今の高齢者よりも将来の方が少なくなるだろ う。……/もう一つ、将来世代の負担という点からすれば、高齢者の生活保護費を負担するのも年金を負担するのも、負担としては同じだということを考えなけ ればならない。(盛山 2007: 156-160)

第8章 基礎年金の消費税化を検討する
 基礎年金の消費税化は、漠然と、それが年金会計の安定化につながると考えている人が多い。……/この見方は、あながち間違いでもない。たしかに、基礎年 金部分の会計は現在、しだいに逼迫してきており、早晩、国庫負担(=税)を増やさざるをえない。……/ただ、この問題を考えるときに見落とされているの が、基礎年金の「消費税化」と「税支援拡大化」はまったく異なるものだということである。「消費税化」というのは、国民年金や基礎年金部分の保険料徴収を 全廃して、基礎年金支給のすべてを消費税からの収入でまかなうという方式である。それに対して「税支援拡大化」は、保険料の徴収を基本的に残しながら、支 給に足りない分を消費税などからの税収でカバーしようとすることである。この二つの違いで重要なのは、保険料の徴収が残るか残らないかということではな い。そうではなくて、保険料の支払い(拠出)と年金受給資格や額とが関係づけられているかどうか、ということである。つまり、「消費税化」というのは、保 険料の拠出がないのだから、一定の年齢になったすべての国民に一律にある定額の基礎年金を無条件で支給することになる。それに対して、「税支援拡大化」の 方は、たとえば保険料を納付した期間の長さに比例するような形で、年金を支給するものだ。/財源の安定化のためなら、消費税化でなくても税支援拡大化で十 分である。消費税化が避けられないと考える必要は何もない。(盛山 2007: 168-170)

 単純にいえば、基礎年金の消費税化は、企業減税をしてその分を消費税アップで広く国民が負担する、ということに等しい。これが企業とってプラスであるこ とは明らかだが、国民経済全体にとっては必ずしもそうではない。経済にとって、企業減税が望ましいかそれとも個人消費拡大が望ましいかは、時と場合によ る。一般的に消費税を上げて企業減税をした方がいい、ということはまったくない。(盛山 2007: 186)

第9章 年金の一元化とは何か
 一元化に期待されるのは、「不公平の解消」と「制度の透明化」である。収支バランス問題を解決するものではない。それでも、一元化のこうした効能は、非 常に重要なものなので、一元化が望ましいというのは正しいといえる。(盛山 2007: 193)

 さまざまな「一元化」のしかたがありうるが、受け入れられうる一元化には、一定の条件がある。それは次のように整理することができるだろう。(a)無職 や低収入の人も無理なく加入できること。(b)「同一拠出‐同一受給」の原則が守られること。(c)現状と比べて、年金受給水準の大幅な低下が起こらない こと。(d)現状と比べて、年金会計の収支バランスが悪化しないこと。(盛山 2007: 218)

第10章 税方式あるいは積立方式への転換論について
 積立方式は保険方式ではあるが、やはり世代間の対立や格差が生じやすい。なぜなら、積立方式というのは、年金会計が世代単位で分離されているので、世代 ごとに運・不運が生まれてしまうからである。/それに対して、賦課方式のもとでの保険方式とは、現役時代の「貢献」を一種の「権利証書」のような形で、老 後に年金を受給する権利に対応させるしくみである。この対応によって、世代間の対立や運・不運の格差は、世代間の協働へと転換される。なぜなら、現役時代 の負担は老後の権利取得を意味することになり、ある世代の権利行使は次世代の権利取得と結びついているからである。(盛山 2007: 255)

終章 安心して信頼できる年金をめざして
 ここで、一般論として年金制度にどういう望ましさの基準を設定すべきなのかをまとめてみよう。まず最大にして絶対的な基準が次のものであることは、いう までもない。基準1 持続可能であること。……次に重要なのが「公平性」の基準である。基準2 それぞれの世代内では、同一拠出に対して同一の給付が対応 すること。この基準が満たされていないのではないかという疑いは、年金制度への信頼を脅かすことになる。/ただし、この基準を異なる世代間に当てはめて、 「異なる世代のあいだで、受給/拠出比率は等しいこと」という基準を重視することは適切なことではない。……世代間の公平性に関しては、むしろ次の基準が 重視されるべきである。基準3 異なる世代のあいだで、相対的年金水準ができるだけ一定に保たれること。……なお、この基準3によって、次の準則が含意さ れている。準則 現役世代の負担率が一方的に上昇していったり、逆に高齢者世代の給付水準だけが一方的に削減されたりすることがないこと。……最後 に、……次の「予測可能性」の基準も重要だと思われる。基準4 将来の拠出負担(年金のための税を含む)と将来の年金給付水準とは、人口変化と経済変化に 左右されるとはいえ、それらの変化に応じてどのように決まるのかについて、明確で確実な予測が提示されていること。/この基準は、たとえば「この年金ス キームは、合計特殊出生率が1.37以上で経済成長率が2%以上あったら大丈夫だ」というようなことを求めているのではない。そうではなくて、「合計特殊 出生率がxで、経済成長率がyであったとしたら、このxとyの関数として、保険料率はこれこれに変化し、年金給付水準はこれこれに変化する」というような 言明が提示されることを求めているのである。(盛山 2007: 259-262)

 公的年金制度とは、各人が自分の才覚と運によって老後の生活資金を用意する私的年金とは根本的に異なるものだ。それは、社会の協働のしくみによって、す べての人に一定以上の老後の生活資金の用意を確実に保証しようとする制度である。そのしくみは、当然、国家の枠組みにおいて、政府が責任をもって運営する ものでなければならない。そして、その対象は国民全体であり、国民には、いま生きている人たちだけでなく、これから生まれてくる(あるいは移住してくる) であろうすべての人々が含まれている。公的年金制度とは、そのように包括的でしかも永続的な制度である。……/年金制度の適切な運営は、いまや国防や警察 や教育と並ぶ、政府の重要な機能の一つである。財政的には、それらをはるかに上回ってさえいる。したがって、効率的で公平な年金制度を安定的に運営するこ とは、今日の政府の最重要課題の一つなのである。……/年金制度というものは、人口構造と経済状況を制御するものではないし、その動向に責任をもつもので もない。高齢化が進んだからといって、それは年金制度の責任ではないのである。人口構造と経済状況は、年金制度とは無関係に動いていく。年金はそれによっ て影響を受けるという一方的な影響関係があるだけだ。/逆にいえば、年金制度は「特定の」人口構造や経済状況を「前提」にしてはいけないのである。(盛山 2007: 263-265)


UP:20070717 REV:20100219
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