『経済倫理のフロンティア』
柘植 尚則・田中 朋弘・浅見 克彦・柳沢 哲哉・深貝 保則・福間 聡 20070525 ナカニシヤ出版,175p
last update:20100712
■柘植 尚則・田中 朋弘・浅見 克彦・柳沢 哲哉・深貝 保則・福間 聡 20070525 『経済倫理のフロンティア』,ナカニシヤ出版,175p. ISBN-10: 4779501474 ISBN-13: 978-4779501470 1950 [amazon]/[kinokuniya] ※
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内容(「BOOK」データベースより)
経済の様々な領域における倫理的問題を正しく理解するために、基本を概説。経済と倫理を理念のレベルで抽象的に論じるのを避け、現実のレベルで具体的に考えた。経済倫理の主要なテーマを広く取り上げるように配慮している。
■著者紹介
柘植尚則[ツゲヒサノリ]
1964年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。倫理学・思想史専攻。博士(文学)。慶應義塾大学准教授
田中朋弘[タナカトモヒロ]
1966年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。哲学・倫理学専攻。博士(文学)。熊本大学教授
浅見克彦[アサミカツヒコ]
1957年生まれ。北海道大学大学院経済学研究科博士課程修了。社会理論、メディア・カルチャー専攻。経済学博士。和光大学教授
柳沢哲哉[ヤナギサワテツヤ]
1962年生まれ。東北大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学史専攻。埼玉大学教授
深貝保則[フカガイヤスノリ]
1954年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学史専攻。横浜国立大学教授
福間聡[フクマサトシ]
1973年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。社会哲学専攻。博士(文学)。東北大学大学院専門研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
まえがき
第I部 労働はどうあるべきか
第1章 歴史のなかの労働
1 労働の現在
労働をめぐる現代の状況/労働社会、労働中心主義
2 労働観の変遷
労働の地位の向上/労働に対する神聖視/人間の本質としての労働
第2章 労働の可能性と限界
1 労働の理念
労働とは/労働に求めるもの
2 労働の行方
労働の開放/労働からの解放/人間の生活における労働
第II部 企業は何のために
第3章 企業と個人
1 営利組織における個人の役割
2 就職活動における個人の自由と責任
就職協定と内定辞退/職業選択における相互了解
3 解雇と雇用の維持
サービス残業/過労死・過労自殺と「忠誠」
4 サービス残業・過労死・過労自殺
第4章 企業と社会
1 企業の影響力
2 企業の道徳的義務
企業は道徳主体か/企業の道徳的義務とは何か
3 企業と社会貢献活動
企業の社会貢献/慈善的行為の意味
4 企業風土
企業不祥事と企業風土/企業風土を改革する試み
第III部 消費の底にあるもの
第5章 消費社会の構造
1 「際限なき」消費のシステム
大量消費・大量廃棄/文化的な差異化には「際限がない」
2 消費の文化とコミュニケーション
文化的な記号を交換する情報環境/
マス・コミュニケーション=差異的な文化価値を刷新する動力/
コミュニケ―ションを「戯れる」消費の文化
3 消費を「戯れる」主体
「限界的差異化」と「他者指向」/
相互的差異化の「遊動」とコミュニケーションの自己目的性/
演技的な自己とアイデンティティの放棄/
第6章 消費の倫理
1 消費を「戯れる」主体の倫理問題
責任主体の構えを棚上げする演技的主体/消費の倫理的統制と文化的理想象性の萎縮
2 個体としての自律を宙づりにする文化の求め
個体の不安と「連続性」への憧憬/独立と自律の鎧を着た個体の「開かれ」
個体制を超える「聖なるもの」の希求/消費「戯れ」を通じた現代の「蕩尽」/
「蕩尽」の焦点としての身体
3 倫理に堪える「戯れ」の主体
「物理的」な個体制の持続と文化的な自律性の誤解/
「個性」の幻想から解放された消費の「戯れ」
第IV部 市場を再考する
第7章 市場へのまなざし
1 市場の倫理的規制
市場の倫理的な規制/意図せざる結果
2 国家と経済
マルクス/国家による再分配/厚生経済学とケインズ
3 政治哲学と市場
ハイエク/ロールズ
第8章 有機的な社会ヴィジョンと経済倫理
1 市場をめぐる原子のイメージと有機体のイメージ
2 有機的な社会ヴィジョンの三類型
社会を有機体として捉える/有機的社会ヴィジョンの特徴
3 分業社会と規範、ルール
市場万能論の欠点/「共感」を基にした秩序/循環型社会と有機的社会
自生的秩序と残された問題
4 経済社会の進化と対価のヴィジョン
変化の可能性を重視するヴィジョン/革新的手法のもたらす深化と退化の可能性
退行的局面における選択の厳しさ
第V部 経済システムを支える倫理
第9章 市場と信頼関係
1 見えざる手の費用
市場の没倫理的性格/取引費用の節約/短期の取り引きと長期の取り引き/
競争的市場と信頼関係
2 慣習から制度へ
インフォーマルな制約/制度の形成
3 社会資本
信頼関係の好循環/企業間の信頼関係/社会資本と経済効率
4 市場における倫理
第10章 企業の社会的責任と株主
1 企業の社会的責任と「株主主権」
2 「企業の社会的責任」とステイクホルダー
メセナを支える思考/「ステイクホルダー」の拡充
3 アメリカにおけるビジネス・エシックスの伝統とバーリ&ミーンズ
一九二〇年代のビジネス・エシックス/株式会社制度と社会的責任論
4 出資者の投資行動と社会的な役割
株式会社制度の社会的な機能/「株主主権」論登場のバックグラウンド/
株式投資のパターンとその社会的な意味
5 おわりに
第VI部 新たな福祉をめざして
第11章 福祉国家の原理と課題
1 福祉国家とは
福祉国家の定義/二十世紀型福祉国家の破綻
2 シティズンシップと福祉
民主的シティズンシップ/正義の二原理/福祉と自尊の基礎/財産所有の民主制
第12章 福祉社会の可能性
1 社会的ミニマムとしての基礎所得(basic income)
普遍的基礎所得/非排除性と基礎所得の役割
2 基礎所得の問題点
余暇/互恵性/全活動の肯定
3 民主主義と福祉
あとがき
事項索引
人名索引
*更新:三野 宏治