『断酒が作り出す共同性――アルコール依存からの回復を信じる人々』
葛西 賢太 20070520 世界思想社,221p.
last update:20110825
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■葛西 賢太 20070520 『断酒が作り出す共同性――アルコール依存からの回復を信じる人々』,世界思想社,221p. ISBN-10:4790712605 ISBN-13: 978-4790712602 \2100
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■内容
内容(「BOOK」データベースより)
アルコール依存症は治らない。何十年、酒を断っても、一口飲めば元どおり。米国生まれの断酒セルフヘルプグループ「アルコホーリクス・アノニマス」の仲間たちは、そこから、回復へと踏み出す。
著者からのコメント
飲酒運転の問題がたびたび話題にされ、そして、しばらくする
と忘れられます。事故が起こると、厳罰を与えよという声は高まりますが、
飲酒運転者の多くがアルコール依存症者であって治療が必要なこと、また本人や
家族の社会的・経済的な苦しみについてきちんと議論されることはあまりありま
せん。飲酒運転の対処は厳罰化だけではなく、その背景にある依存症を見つめ治
療することで、ほんとうの根絶につながるのではないでしょうか。
本書は、米国発祥の匿名断酒自助会「アルコホーリクス・アノニマス」の研究
です。ここは、普通に飲める人が禁酒するのではなく、飲んではいけない人が
酒をやめるための、断酒自助会です。本書は、断酒自助会にどのような人が
来て、どのようにして酒をやめ続けていくのかを、わかりやすいストーリーで例
示するところから始まります。ごく普通のサラリーマンが、アルコールに依存す
るとどうなるかを見ると、こうなるのか、と、まずは気づいていただきたいので
す。
一人でやめられない酒を、仲間とならやめられると、彼らはいいます。それは
なぜか。どのような背景で、「仲間とやめる」という形ができあがったのか。仲
間がそばにいることは、心理学的にどのような意味をもっているか。そして、仲
間とやめるという実践のもつ宗教的意味は?
(断酒自助会は宗教ではありません。しかし、私は、新しい仲間を助けて、酒を
やめる力を得るところに、宗教的なものを感じています)
アルコール依存症の医学的側面についての本はいろいろありますが、断酒自助
会の背景となる思想を詳細に追った初めての本となっています。
酒によって生き方を問い直されているあらゆる人に読んでいただくために、ソ
フトカバーでコンパクトに作りましたが、実は元は学位論文です。理論的考察の
部分は、しんどい方は飛ばしてお読み下さい。
表紙の写真は、断酒自助会の雰囲気を伝えるものです。コーヒーで迎えられ、
そして断酒を続けた記念日が来れば、みんなで喜んでお祝いをしてくれます。
是非本書を手にとって、その雰囲気をご覧になって下さい。
本書は、読めば酒がやめられるといった本ではありませんが、断酒自助会の
思想の全体像を伝えた本だといえるでしょう。
■目次
第1章 アルコール依存症とその治療
第2章 セルフヘルプグループとしてのAA
第3章 AAはどのように描かれてきたか
第4章 AAの成立と宗教性をめぐる葛藤
第5章 経験の方向づけ
第6章 語りとサポートの共同体
第7章 “重要な他者”によるサポートの意味
第8章 AAにおける「霊性」
第9章 AAの現在と未来
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:永橋 徳馬