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『労働の人間化とディーセント・ワーク――ILO「発見」の旅』

牛久保 秀樹 20070318 『労働の人間化とディーセント・ワーク――ILO「発見」の旅』,かもがわ出版,255p.


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■牛久保 秀樹 20070318 『労働の人間化とディーセント・ワーク――ILO「発見」の旅』,かもがわ出版,255p. 1800+税 ISBN-10: 4780300746 ISBN-13: 978-4780300741  [amazon]

■内容(「BOOK」データベースより)
職場では、グローバリゼーション・規制緩和のもと、「自律的労働」を名目に労働時間制を根本から外す動向、解雇の自由、非正規雇用の増大など、人格破壊が横行している。この本は、この国のこの「異常な働かせ方」が、21世紀の国際的ルール(基本原則)としてILOが提唱する“ディーセント・ワーク”の視点から見直され、是正されることをめざしている。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
1947年12月札幌生まれ。1973年3月東京大学法学部卒業。1976年4月弁護士登録、東京法律事務所所属。1990年7月新宿総合法律事務所設立。ILO条約の批准を進める会代表。全日本教職員組合(全教)常任弁護団/JRの1047名の採用拒批撤回を求めるILO連絡会世話人/郵政事業研究会代表/世界の子どもにピース・アニメを贈る会代表など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


はじめに――本書の構成

I ILOとの出会いについて
Box 1
 ジュネーブの街の案内

II 今日の日本の労働者の現状・問題点とILOの活用
1、ILOから見た働き方の実態と問題点
2、第三段階のILO発展の歴史
3、ILO活用の意義
4、ILO活用の実践例・獲得したもの
5、改めてILOの原点の確認――戦争と平和と国際労働基準

III 野村證券事件の解決報告とスウェーデン訪問
1、解決の報告を受けてILOはとてもうれしい
2、「国際基準は企業活動の前提」――ILO・スウェーデン訪問の旅
Box 2 ニヨンの町

IV ILOとの学習・交流の旅
1、平和を望むなら社会正義を求めよ
2、ILOはいま日本に関心を持っている
Box 3 アヌシーへの道
3、新世紀に船出するILO
Box 4 モネのアトリエ
4、ILOはディーセント・ワーク実現をサポートする
5、「オランダ病」から「オランダの奇跡」への転換
Box 5 パリ・コンミューン

V 分野別ILOとの交流
第1章 ILOの存立に関わる国鉄問題
1、一〇四七名解雇解決の要請
2、政令二〇一号体制
3、第六次勧告を求めて
4、シャモニーでの確認

第2章 教員のユニークな交流の実現――ILO・ユネスコ勧告をとおして
1、歴史的な一歩
2、三度目の交流
3、アリゲーション(申し立て)の要請
4、ILO・ユネスコ共同専門家委員会(CEART)勧告の交付
5、日本の教員の長時間労働
6、パネルディスカッション
7、教員のストレス
Box 6 武川村、甲斐駒ケ岳山麓

第3章 郵政民営化とILO・国際基準
1、ILO・郵政国際監視団
2、イギリス郵政の民営化
3、追いつめられた小泉郵政改革
4、フランスの郵政自由化
Box 7 マルクスの墓

第4章 金融部門での合併・買収と雇用問題の国際基準
1、合併の三分の二は失敗している
2、合併が失敗する原因
3、M&Aはストレスを生み出し意欲を喪失させる
4、社会的対話の努力
5、三者構成会議の成果

VI 「もう一つのEU」、そして「もう一つの日本」
1、ILO、公務セクターとの意見交換
2、イギリス労働運動の新しい流れ
3、フランスのEU憲法批准阻止
4、若者にこころ優しい政治を



 ディーセント・ワークをどう訳すのか。
 ワークは「労働」「仕事」でいいとして、ディーセントにいい言葉がなく迷っていた。検討の結果、私たちは「人間らしい労働」と訳している。ディーセントという言葉自体でいうと「こざっぱりとした」という感じの言葉で、そうすると、こざっぱりした労働。
 ジュネーブの地元の人たちと話をして「ディーセントというのはどういうところでよく使われますか」というと、「ディーセント・レストラン」と使われるという。贅沢で高いレストランではないけれども、通ったときに、そこでちょっとひと安心することができ、家族でそれなりの食事ができる店となる。
 そういうこざっぱりとした、それなりの、落ち着いていられる労働、しかも本人だけでなくて、両親、子どもたち、世代を超えてディーセントということを目指す見地があるもの、このことを日本社会に当てはめると「人間らしい労働」という言葉が一番合うのではないかと訳してみた。(p.34)


*作成:北村健太郎
UP:20090419
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