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『労使紛争処理制度――新局面への軌跡』

村田 毅之 20070326 晃洋書房,235p.


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■村田 毅之  20070326 『労使紛争処理制度――新局面への軌跡』,晃洋書房,235p. ISBN-10: 4771018499 ISBN-13: 978-4771018495 ¥3150 [amazon][kinokuniya] w0112

■内容

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 村田 毅之
1957年青森県生まれ。1980年明治大学政治経済学部卒業。1980年東京都職員。1988年明治大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得。 1989年日本学術振興会特別研究員。1990年東京都立短期大学講師。1993年明治大学法学部講師。2000年松山大学法学部講師を経て助教授。 2006年松山大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
はしがき
第T部 我が国の個別的労使紛争処理制度の概観
 第1章 我が国における個別的労使紛争処理
 第2章 愛媛県における個別的労使紛争処理
第U部 司法機関における労使紛争処理
 第3章 民事調停としての労働調停の導入
 第4章 労働審判制度の導入
第V部 行政機関における労使紛争処理
 第5章 労働委員会における個別的労使紛争処理
 第6章 労働組合法の改正
 第7章 労政主管事務所における労使紛争処理
 第8章 都道府県労働局における紛争解決援助制度
 第9章 都道府県労働局における個別的労使紛争処理
 第10章 社会保険労務士法の改正
第W部 民間機関における労使紛争処理
 第11章 弁護士会紛争解決センターにおける労使紛争処理
第X部 展望
 第12章 労働審判制度運用後の個別的労使紛争処理制度
初出一覧

■引用
「労働審判制度は,個別的労使紛争について,全国50カ所の地方裁判所(本庁)に設置される労働審判員会が,申立てがあれば相手方の応諾の意思に関係なく事件を審理し,和解による解決の見込みがある場合には調停を試み,和解に至らない場合には労働審判委員会の合議に基づく和解案である労働審判を下す制度である。」(p.221)


■個別労使紛争処理=「複線的なシステム」(第1章)
◆裁判所
・個別的労使紛争に関して最終的解決を強制的に導いてくれる唯一の制度
・地方裁判所における民事訴訟
・簡易裁判所における140万円以下の民事訴訟、60万円以下の金銭の支払に関する少額訴訟、民事調停、支払督促も利用されている
・労働審判法にもとづく労働審判制度(2006年4月開始)
 個別労働関係の民事紛争を迅速に解決することを目的

◆労政主管事務所
・労政主管事務所は地方自治法附則4条2項にもとづく都道府県知事の任意設置機関
 東京での名称は「労働相談情報センター」、神奈川は「(商工)労働センター」、大阪は「総合労働事務所」、福岡は「労働福祉事務所」である。
・労働相談のみならず「斡旋」も行っている

◆地方労働委員会
・労働委員会は労働組合法にもとづき設置されている
・従来は集団的労使紛争のみを処理してきたが、2001年4月より個別的労使紛争の斡旋(・相談)を開始

◆都道府県労働局(厚生労働省)
・1998年10月1日から「紛争解決援助制度」を行ってきたが、個別労働紛争解決促進法(2001年10月1日施行)にもとづき、総合労働相談、労働局長による助言・指導(・勧告)及び紛争調整委員会による斡旋(・調停)を開始

***

◆弁護士会紛争解決センター(第11章)
・民間の裁判外紛争解決機関(ADR:Alternative Dispute Resolution)

***

■労働審判(第12章)
労働審判法にもとづき2006年4月1日より運用を開始
日本で初めての裁判所に設けられた労使紛争解決のための特別の手続き

基本的な特徴
@労働審判委員会
 事件を整理し、調停、審判を行う。
 裁判官が務める労働審判官1名と、労働関係に関する専門的な知識経験を有する者として労働者側と使用者側から各1名ずつ選出される労働審判員2名によって合計3名で構成される。
A迅速な手続
 特別な事情のないかぎり3回以内の期日で終結するものとされる(労働審判法15条)
 3〜4ヵ月での解決を想定
 第1回期日(申立の日から40日以内の日に指定される)
  「利益調整型調停」「判定的調停」
 第2回期日(第1回期日から「2、3週間から1ヵ月程度」の後に開かれる)
  調停成立=「裁判上の和解」と同一の効力を有する
  調停案が拒絶された場合は審理を終結し、調停案とほぼ同一の内容の「労働審判」を下す
 第3回期日(調停作業の続行や調停受託のための考慮期間が必要であると判断したとき、第2回期日から「1、2週間程度」の後に開催)
 調停案が受託されないときは審理を終結し「労働審判」を下す
B柔軟な手続
 委員会は、審理が終結するまでは必要に応じていつでも調停による解決を試みることができる
C訴訟手続への連携
 2週間以内に適法な異議申立を起こった場合、労働審判は効力を失い訴訟手続に移行する

「制度は,それ自体改変されることや,その運用が変わることにより,進化(改善)ないしは,退化する可能性もあることを認識しながらも,現在の運用を前提として,労働審判制度を簡潔に表現すると,アクセス・ポイントの少ない地方裁判所(本庁)に設置される,公正で,申立から3回の期日,4ヵ月程度以内という迅速処理の個別的労使紛争事件専門の司法型ADRであり,裁判官1名と労働問題専門家2名の3名により構成されることで労働事件に対応する専門性が制度的に確保された委員会が,和解による解決を目指し,和解に至らない場合には解決案をも示してくれる,民事訴訟よりは低廉であるが有料で,原則として弁護士費用もかかる制度である,ということができる。」(p.229)


*作成:橋口 昌治
UP:20081130 REV:
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