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『さらばモンゴロイド――「人種」に物言いをつける』

神部 武宣(著),竹沢泰子(解説),綾部真雄・山上亜紀(編集・校訂) 20070227 生活書院,172p.


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■神部 武宣(著),竹沢泰子(解説),綾部真雄・山上亜紀(編集・校訂)  20070227 『さらばモンゴロイド――「人種」に物言いをつける』,生活書院,172p. ISBN-10: 4903690059 ISBN-13: 978-4903690056 \1900 [amazon][kinokuniya] ※ er ma

■内容
内容(「BOOK」データベースより)
日本における批判的人種論の先駆者であった著者が遺した、「人種」概念のパラダイム転換を鋭く迫る未完原稿を、故人の遺志をつぐ文化人類学者が綿密な校訂をもとに再構成。待望の書籍化。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
神部 武宣
1940年、神奈川県生まれ。東京大学大学院社会科学研究科文化人類学専攻博士課程単位取得退学。1979年、ハンガリー・エトヴェシュ・ロラーンド大学にて博士号(民族学)を取得。1968年から2000年まで成蹊大学文学部で教鞭をとる。2000年7月、惜しまれながら逝去

竹沢 泰子
兵庫県生まれ。ワシントン大学大学院人類学科博士課程修了、Ph.D.現在、京都大学人文科学研究所教授

綾部 真雄
1966年生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。専門は文化(社会)人類学およびタイ地域研究。成蹊大学助教授

山上 亜紀
1975年生まれ。成蹊大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は、文化人類学、ネパール地域研究。成蹊大学文学部非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
舞台あいさつ  綾部真雄 (3)

前口上
一 サラダボウルのなかの日本 (21)
二 人種と民族の関係をうかがう (24)
三 大学新入生の知識と意識 (28)

第一幕 「人種」の履歴書
一 「人種」のプロフィール (38)
二 「人種」の前身を探る (43)
三 人種(race)はイスラム文明の落とし種か (48)
四 「人種」の七変化 (53)
五 「人種」の正しい用法――「誤用」人類学者の主張 (55)

〈幕間狂言〉 (61)

第二幕 「科学的人種分類」の正体
一 リンネ、怪人に思いを馳せ、ブルーメンバッハ、グルジア人の頭蓋骨に魅入られる (66)
二 キュヴィエ、「三つ揃いの人種」をつくり、ドゥニケ、人種型を三〇に増やす (80)
三 支離滅裂の差別主義者クーンとその仲間 (96)
四 お山の大将おれひとり (100)

第三幕 「人種」と集団遺伝学
一 集団遺伝学の成立 (102)
二 人種と集団遺伝学 (106)

後口上 (108)

付論 さまざまの異人観
一 ヘロドトスと化け物 (114)
二 ヨーロッパ中世の「化物民族誌」とプレスター・ジョン伝説 (121)
三 タルタル人を訪ねた人々 (123)
四 怪物に出会わなかったコロンブスとキリスト教徒に出会ったヴァスコ・ダ・ガマ (131)
五 イブン・バットゥータと世界の美女たち (141)

解説 竹沢泰子 (151)

あとがき 山上亜紀 (171)

■引用
「ここまで繰り広げられたテンヤワンヤの芝居も、そのあらすじをまとめてみれば至極単純なものすぎない。
@現代日本語の「人種」というコトバは非常に広い語義をもっていて、その最大公約数的定義は「人の種類」というぐらいのところである。
Aしたがって、このコトバはいともやすやすと民族、国民、あるシルシで他と区別される人たち、など一定の範囲の人々を指し示すコトバと入れ替わる。
Bこうした事態に異議をとなえ、「人種」とはヒトという動物種の下位区分を意味する学術用語であり、それ以外の使い方は「誤用」である、と主張する一群の人々がいる。それが伝統的な人類学者である。
Cところが、実際に欧米の著名な人類学者の「人種」分類と「人種」についての記述を吟味してみると、自ら定義を下した「学術用語」としての「人種」を定義どおりに用いている学者は皆無であった。つまり、人類学者自身が「誤用」の張本人なのである。
D遺伝学の進歩、なかでも今世紀半ばにおける集団遺伝学の発展は、それまでの形態学中心の研究とは異なる知見をもたらし、「人種」概念の有効性に大きな疑問をなげかけるようになった。そして、一九六〇年代に至ってヒト種のなかでみられる身体的変異を描写するためにも、ましてやその原因を探求するためにも、この概念は障害となっていると考える人類学者が現れてきた。
Eユネスコは一九六七年に人種についての新しい声明を出して、「人種」概念の非科学性を承認した。つまり、「人種」の使い方から「誤用」を追い出すよりも、生物としてのヒトの身体的変異についての科学的研究から「人種」概念を追い出した方が、はるかに明晰かつ有効な知見が得られる、という結論に至ったわけである。
Fこのようにして、リンネから数えて三世紀ちかく多くの人類学者がその究明に携わった「人種」という概念は「ヒトの身体的変異の科学的研究の分野」からは葬り去られた。しかし、よくよく考えてみれば、この地球上の全人類の身体的変異を正確に描写し、かつその原因を明らかにしよう、という壮大な試みと比べれば、いくつかの「人種」を設定してそれですべて賄おう、などというのは、「鶏刀をもって牛を裂く」の類に過ぎないともいえよう。」(神部 2007: 108-110)

■書評・紹介

■言及



*作成:野口 陽平 
UP:20090101 REV:
民族・エスニシティ・人種(race)…   ◇人類学/医療人類学   ◇テキストデータ入手可能な本  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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