『日本人はどこへ行くのか――ふたつの戦後と日本』
姜 尚中 20070215 大和書房,288p.
last update:20110621
■姜 尚中 20070215 『日本人はどこへ行くのか――ふたつの戦後と日本』,大和書房,288p. ISBN-10:4479300791 ISBN-13:978-4479300793 \780 [amazon]/[kinokuniya] ※ 0502ty01 0210oe
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
戦後六〇年を過ぎ、いったい日本はどうなってしまったのか。歴史の記憶を隠蔽することにより、朝鮮(韓国)・中国との関係は脆く不安定なまま。また、冷戦の崩壊は「北朝鮮危機」をもたらした。人々は逼迫感と閉塞感の漂う「希望格差社会」のなかで追いつめられている。この先に何が待ちかまえているのか!?日本という国のかたちが見えてくる本。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
姜 尚中
1950年、熊本県に生まれる。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程を修了。ドイツ・エアランゲン大学に留学の後、国際基督教大学準教授などを経て、1998年から東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学、政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
第一章 「戦後」と昭和の終わり
日本的オリエンタリズムの遺産
1 昭和の終わりで問われているもの
自尊心をくすぐる成功物語
度しがたい「忘亜症」
国民意識の深層を映し出すアジア観
歴史認識の形成に大きな役割を果たす教科書
2 「偏見のカタログ」のもとで
第四の「開国」
アジア諸国への屈折した地理的覇権
福沢調「野蛮の博物誌」
性差別の形をとった帝国意識の優越感
根を下ろした地理的野望
「類焼予防論」という論法
軍事力と愛国教育
3 アジアの痛みを忘れて
「記憶殺し」の歴史
近代の始まりにズレ
近代日本最大の国際問題
歴史教育の重大な瑕疵
地政学的な覇権の追究
「朝鮮不在」のままに
触れられていない「甲午農民戦争」
4 天皇制シンドローム
象徴天皇制の役割
「天皇現象」のゆくえ
第二章 冷戦の終わりと「戦後」のゆらぎ
加速するゆらぎ
1 「第二の大転換」の始まり!?
ハヴェルの警告
国民国家のほころび
2 「世界戦争」の終焉を経て
おぞましい「社会小児病」
残されたふたつのモデル
3 国民国家システムのきしみ
国民国家の虚構性
想像の共同体
4 戦時体制と日本的システム
「日本的システム」の原型
新たなナショナリズムか、新たなシステムか
検証「天皇報道」
1 公論(パブリック・オピニオン)の空洞化
国民を映し出す鏡
〈戦後パラダイム〉出生の秘密
「客観報道」の問題点
「発表(待ち)ジャーナリズム」
2 マスメディアの物語づくり
ほころびの予感
「昭和」の野辺送り
「アジア報道」に巣くう偏見の体質
3 公論なき「ザ・システム」の致命的欠陥
麻痺する政治的意思決定
既存の枠組みにもたれかかって
韓国ジャーナリズムの関心
「第二の戦後」改革
1 湾岸戦争が問いかけたこと
勝利なき戦争の意味
惰性の政治
2 ふたつの戦争と孤絶の平和
ふたつの戦争の接点
「平和の配当」
3 参加なき民主主義のジレンマ
「あれもこれも」の平和主義
市民的公共性の無力化
4 〈戦後パラダイム〉はよみがえるか
取りつくろえないほころび
〈戦後パラダイム〉の再生に向けて
第三章 アジアから問う戦後日本
「歴史との闘い」は終わったか
1 空白の放置
ぼかしてきたこと
「十五年戦争」への問いかけ
2 戦後「日本人物語」
シナリオの意図
「戦後物語」の完結
「日本人の物語」の復活
3 新たな受難
癒されることのないトラウマ
語られ始めた「恨の物語」
4 終わっていない闘い
疑念は晴れない
戦後日本への批判
アジアとの断絶、歴史との断絶
1 アジア不在のアジア政策
PKOと「公害輸出」
深まる軋轢
2 アジア不在の戦後処理
手つかずの国内改革
日本の作為的な無作為
3 「一国平和主義」と「一国依存主義」
平和憲法も自衛隊も
両頭支配への傾斜
4 さらなる断絶へ?
見えない軍縮
広がる摩擦
アジアからみた改憲論
1 「普通の国家」へ!?
求心力を失う信頼のメカニズム
平和憲法への重大な試練
2 憲法の「空洞化」と新たなナショナリズム
現状維持を願いつつ変化を待望する心理
自主憲法制定を目指す動き
3 戦後日本の「特殊な道」
「占領・吉田時代」に原点がある
吉田政治の逆説
現状を打ち破る平和の思想を
第四章 岐路に立つ「戦後」
「戦後・後」に向けて
1 沖縄が体験してきたこと
目に見えない国境線
沖縄の怒り
「歴史の解凍作用」が始まる
「妄言」の系譜
2 「国民幻想」に代わりうるもの
「国民的なるもの」再生のきざし
歴史への新たな暴力、「内的国境」線
あとがき
初出誌一覧
文庫版あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志