『自閉症の僕が跳びはねる理由――会話のできない中学生がつづる内なる心』
東田 直樹 20070228 エスコアール,175p.
■東田 直樹 20070228 『自閉症の僕が跳びはねる理由――会話のできない中学生がつづる内なる心』,エスコアール,175p. ISBN-10: 4900851388 ISBN-13: 978-4900851382 1680 [amazon]/[kinokuniya] ※ a07.
■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
東田 直樹
千葉県君津市在住。1992年8月生。1998年3月児童相談所にて「自閉傾向」と診断を受ける。2005年4月千葉県立君津養護学校中学部入学。第4回・第5回「グリム童話賞」中学生以下の部大賞受賞をはじめ、受賞歴多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
第1章 言葉について――口から出てくる不思議な音
第2章 対人関係について――コミュニケーションとりたいけれど…
第3章 感覚の違いについて――ちょっと不思議な感じ方。なにが違うの?
第4章 興味・関心について――好き嫌いってあるのかな?
第5章 活動について――どうしてそんなことするの?
短編小説 側にいるから
■引用
第2章 対人関係について――コミュニケーションとりたいけれど…
「24 自閉症の人は普通の人になりたいですか?
僕らがもし普通になれるとしたら、どうするでしょうか。
きっと、親や先生や周りの人たちは大喜びで、「普通に戻してもらいたい」と言うでしょう。
ずっと「僕も普通の人になりたい」そう願っていました。障害者として生きるのが辛くて悲しくて、みんなのように生きて行けたらどんなにすばらしいだろう、と思っていたからです。
でも、今ならもし自閉症が治る薬が開発されたとしても、僕はこのままの自分を選ぶかもしれません。
どうしてこんな風に思えるようになったのでしょう。
ひと言でいうなら、障害のある無しにかかわらず人は努力しなければいけないし、努力の結果幸せになれることが分かったからです。
僕たちは自閉症でいることが普通なので、普通がどんなものか本当は分かっていません。<0062<
自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらでもいいのです。」(東田[2007:62-63])
第4章 興味・関心について――好き嫌いってあるのかな?
「44 走る競争をするのが嫌いなのですか?
[…]
意識すると走れなくなるのは、緊張するからではありません。
速く走ることを意識すると、手や足をどう動かせば速く走れるのかということを考えてしまいます。考え始めたとたん、体の動きが止まってしまうのです。
速く走れないもうひとつの理由は、人に勝つことの喜びがよく分からないことです。<0108<
みんながそれぞれ自分の力を出し切ることは、とてもすばらしいと思います。
それで順位が決まることは理解できますが、それと人に勝つということは、別のことのような気がするのです。だから、運動会などでは楽しい気持ちの方が先にあり、僕はいつも、るんるん野原をスキップするように走ってしまうのです。」(東田[2007:108-109])
「45 お散歩が好きなのはなぜですか?
[…]
みんなが緑を見て思うことは、緑色の木や草花を見て、その美しさに感動するということだと思います。しかし、僕たちの緑は、自分の命と同じぐらい大切なものなのです。
なぜなら、緑を見ていると障害者の自分も、この地球に生きてい<0110<て良いのだという気にさせてくれます。緑と一緒にいるだけで、体中から元気がわいて来るのです。
人にどれだけ否定されても、緑はぎゅっと僕たちの心を抱きしめてくれます。
目で見る緑は、草や木の命です。命の色が緑なのです。
だから僕らは、緑の見える散歩が大好きなのです。」(東田[2007:110-111])
■言及
◆立岩 真也 2008- 「身体の現代」,『みすず』2008-7(562)より連載 資料,
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◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon]/[kinokuniya] ※