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『成果主義の新展開――人と組織の持続的成長を実現する』

日本能率協会 編 20061115 日本能率協会マネジメントセンター,254p.


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■日本能率協会 編 20061115 『成果主義の新展開――人と組織の持続的成長を実現する』,日本能率協会マネジメントセンター,254p. ISBN-10: 4820743945 ISBN-13: 978-4820743941 ¥1680 [amazon][kinokuniya] w0106

■内容(「MARC」データベースより)
成果主義を機能させるため最低限必要な基本原則を打ち出し、企業の成長性と持続性を軸に置いた新しい人事革新への試みを示す提言書。JMA2006年経営革新提言の趣旨等を詳解、企業ヒアリング事例集ほかを収録する。

■目次
まえがき
第1部 持続的成長につなげる成果主義の実現のために
 序章 成果主義の実像に迫る
 第1章 基本原則(1)成果主義の土台(OS)を築く
 第2章 基本原則(2)トップが「軸」を作り行動で示す
 第3章 基本原則(3)―ヒトの成長を柱に据えなおす
 第4章 基本原則(4)―人事部主導からライン(現場)主義へ
 第5章 基本原則5―成果主義の補強施策を整備する
 終章 第1部のまとめ
第2部 持続的成長に向けた新たな取り組み
 第1章 持続的成長へ向けた人事革新の再構築
 第2章 人事革新基盤となる3つのアクション
 第3章 共創と多様性尊重を実践する知力マネジメント
 第4章 持続的成長インディケーターと人事革新
 終章 第2部のまとめ
第3部 成果主義に関する先進企業調査研究
第4部 企業アンケートの調査結果と提言本文
 第1章 『成果主義に関するアンケート』調査結果からの分析
 第2章 提言本文『人と組織の持続的成長を実現する成果主義の新展開』

あとがき

■引用
「2004年の成果主義アンケート時点で、成果主義導入後3年を経過した企業のうち、実に70%が職能資格制度を並存させていた。これは、成果主義導入の際にも、全制度のよいところを取り入れつつ変化させるという手法が発揮されていると考えられる。そうであれば、日本企業の目指す成果主義は決して従業員切り捨て型のものではなく、資本の論理と人の成長を融和させる人事改革となるであろう。」(p.21)

「成果主義による人材マネジメントは、企業が求める価値の中で「従業員のやりがいや達成感」を重視したものでなければならない。組織において、やりがいを感じ達成感を得るのは、「従業員一人ひとりが仕事を進めることを通じて成長を実感したとき」である。
 人の成長には時間がかかる。長期的な視点を持ち、計画・継続的な人材の成長を図っていくこと、それが組織能力の向上、そして企業の成長に必須なのである。
 従来、企業は人を大切にし、人の成長を人事管理の一つの柱に据えてきたはずである。成果主義の時代を迎え、もう一度、人の成長を人材マネジメントの柱に「据えなおす」ことが求められている。」(pp.36-37)

「今回の研究を通じて、多くの企業が、人材を資本として捉えた活用に注力している一方で、人材を資源として捉えた成長の実感を重視した取り組みも確実に行っていることに着目した。
 ここで重要なのは、資源としての人材が持つ能力の無限性を尊重することである。」(p.47)

「年功主義時代は、平等と共働というファクターが会社への強い帰属意識をもたらし、社員は終身雇用が一般的であった。
 ところが、今や企業サイドが社員に自立や自律を促す時代である。働く個人は、企業の構成員であると同時に社会の構成員であり、企業も社会も個人の人生の一部に位置づけられるという見方が強まってきているのである。
 価値観が多様化している社会は、既に現実のものとなっている。今の企業で働く理由は人それぞれで、表面的には見えないものである。企業は優秀な人材の獲得競争に追われているが、せっかく苦労して採用した人員さえ、育成コストに関わらず流出してしまうリスクを背負っている。この問題から目をそむけてはならない。」(pp.110-111)

「例えば、よく見かける「自立」や「自律」など自己責任を促す人材像の場合でも、企業サイドが十分な支援策を講じていない場合、単純に社員が賛同する可能性は低い。自立や自律を求められる社員側は、方向性が理解できたとしても、今確立しているわけではなく、企業・社員双方が努力して実現するものと受け止めるだろう。サポートのない自己責任の要請は、社員の不安をあおるだけである。」(p.113)

「1990年代に行われた人員削減は、雇用維持の困難さから自己責任を個々人に要求し、半ば強引な手法で進められてきた。これが逆に作用し、早期退職者の募集に企業が予定する以上の希望者が出るなど、個人が企業に見切りをつけて有能な人材が流出するケースも現れるようになった。「人がもたらす成果」ばかりを追いかけ。人を見つめない企業で働いても、やりがいや充実感が得られないからであろう。
 今後は自己責任を煽るのではなく、個の自律性を基盤とした成長プロセスを支援する「学び働く環境づくり」を進める必要がある。」(p.237)


*作成:橋口 昌治
UP:20081130 REV:
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