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『搾取される若者たち――バイク便ライダーは見た!』

阿部 真大 20061022 集英社新書,157p.

last update:20110610

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■阿部 真大 20061022 『搾取される若者たち――バイク便ライダーは見た!』,集英社新書,157p. ISBN-10: 4087203611 ISBN-13: 978-4087203615 \672 [amazon][kinokuniya] ※ y01 p0206

■内容

搾取される若者たち
「引きこもり」や定職に就かない「ニート」といったイメージが浸透していることから、20代の若者たちは一般的には怠け者が多いと思われがちかもしれない。本書は、事実はその正反対であると告発するユニークな視点の書だ。東京大学大学院生の著者が「バイク便ライダー」として働いた経験を基に、現代の若者、特に「団塊ジュニア」と呼ばれる世代がワーカホリック(働き過ぎの人間)となり、その弱みにつけ込む経営者から低賃金重労働を課せられて搾取を受けていると力説する。
バイクやガソリン代は自腹で、「荷物を何個届けたか」のみで支給される歩合制の報酬のために、バイク便ライダーたちは命を削るような働き方をしているという。さらに不幸なことに、それを「おかしい」と感じ取る知識や経験にも乏しい。著者は同じような搾取の構造が、SE(システムエンジニア)や介護士の世界にも存在すると指摘し、本書を通じて彼らに情報交換の重要性と連帯を叫ぶ。
社会学的な見地から、団塊ジュニアが経験してきた激烈な受験戦争とその後の就職難についても考察を加える。そうした体験により、与えられた職務に盲目的に挑む従順な性格が醸成された可能性が強いのではないかという推察にも行き着いている。
(日経ビジネス 2007/01/22 Copyrightc2001 日経BP企画..All rights reserved.)

出版社/著者からの内容紹介
「好きを仕事に」の落とし穴とは!?
東京大学の若き社会学者が、バイク便ライダーの仕事を1年間体験した。そこで出会ったのは、ニートでも俺様でもない働きすぎの同僚たちだった。広がる不安定雇用と新たな搾取の実態を詳しく分析。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

阿部真大[アベマサヒロ]
1976年生まれ。岐阜県岐阜市出身。東京大学大学院後期博士課程在籍。専攻は労働社会学・家族社会学・社会調査論。大学休学中のバイク便ライダー体験をもとに、団塊ジュニア世代が直面する労働・雇用問題を、社会学的な知見を駆使して考察した『搾取される若者たち―バイク便ライダーは見た!』がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

はじめに
 ゆけ!バイク便ライダー!
 まとまったお金が欲しくて…
 職場で見つけた僕たちの世代の問題
 この本の楽しみ方

第一章 いま、若者の職場があぶない!
 自己実現系ワーカホリックの時代
 ワーカホリックが不安定就業と結びつくとき
 不安定な仕事に就く若者の増加
 「極限型」としてのバイク便ライダー
 「負け組」が支えるベンチャー企業
 バイク便ライダーの仲間たち
 バイク便ライダーの一日

第二章 仕事にはまるライダーたち
 一 二種類のライダーたち―時給ライダーと歩合ライダー
  いざ、バイク便ライダーの世界へ!
  かっこいい時給ライダー・かっこ悪い歩合ライダー
  歩合ライダーがかっこよく見える?
 二 ミリオンライダー
  「負け組」の英雄
  「歩合の精神」を阻む者
  ミリオンライダーのもう一つの姿
 三 時給ライダー
  時給ライダー、登場!
  真夜中のスピードレース
  楽してこなす仕事
  時給ライダーのバイク
  仕事の趣味化
 四 歩合ライダー
  ミリオンライダーのもう一つの姿
  すり抜けの達人
  加速するゲーム
  新しいバイクの世界@――ロッシには負けない!
  新しいバイクの世界A――細いバイクじゃないとマジじゃない!
  新しいバイクの世界B――捕まるのは下手のしるし!
  仕事による趣味の更新
  歩合ライダーと時給ライダーの距離

第三章 終わりは突然やってくる
 一 時給から歩合へ―ワーカホリックへ向かうライダーたち
  ワーカホリックの落とし穴
 二 あるライダーの変化
  趣味のバイク・仕事のバイク
  仕事から趣味へ
  休日出勤
 三 「自己実現系ワーカホリック」の副作用
  危険な副作用
  「好きなことで死ぬ」からいい?
 四 ライダーズ・ハイ!
  疲れない!気持ちいい!
  壊れる体

第四章 職場のトリック
 一 ワーカホリックのからくり
  巧妙な職場のトリック
 二 職場のトリック@――コーチのトリック
  頼れるコーチ、配車係
  歩合ライダーにとってはGOOD!時給ライダーにとっては…?
 三 職場のトリックA――制服のトリック
  二つ目のトリック
  越えられない客との壁
  あいつら・俺ら
  「俺たち」を見てくれ!
  東京を塗り替えろ――赤坂コーナーと電通サーキット
  かっこ悪いユニホームがかっこよくなる?
 四 職場のトリックB――安定雇用のトリック
  ある「隠居」との出会い
  リアルを消し去れ!
  職場の「熱」を冷まさぬために
 五 誰のトリック?
  わなをかけたのは誰だ?
  職場のトリック

最終章 目覚めよ!雑草世代―リスク管理と連帯
 一 職場の誘惑に抗するために――処方箋の提示
  不十分な処方箋
  正しい処方箋
 二 素直で好戦的な世代
  最後のなぞ
  競争世代の団塊ジュニア――受験戦争と就職氷河期を乗り越えて
  親が好きな団塊ジュニア‐ニューファミリーの功罪
 三 僕らの弱さを強さに変えて
  団塊ジュニアを肯定する
  誰と戦う団塊ジュニア?
  「連帯」という強さ
 四 バイク便ライダーたちへ

おわりに
調査法についての補足
参考文献
謝辞

■引用

■書評・紹介

◇橋口 昌治 20090910 「格差・貧困に関する本の紹介」立岩 真也村上 慎司橋口 昌治 20090910 『税を直す』,青土社,350p. ISBN-10: 4791764935 ISBN-13: 978-4791764938 \2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

■言及



*更新:樋口 也寸志
UP:20090826 REV:20110610
「若年者雇用問題」文献表 ◇格差・貧困に関する本の紹介身体×世界:関連書籍 2005-2009  ◇BOOK
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