HOME > BOOK >

『タックスよ、こんにちは!――茶の間で語らう親子のために』

石 弘光 20060715 日本評論社,203p.


このHP経由で購入すると寄付されます

石 弘光 20060715 『タックスよ、こんにちは!――茶の間で語らう親子のために』,日本評論社,203p. ISBN-10: 4535555028 ISBN-13: 978-4535555020 1470 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

■広告・紹介

内容(「MARC」データベースより)
なぜ税金を払うのか? 仕組みはどうなっているのか? 小学6年生あるいは中学1年生程度の生徒諸君を念頭においた、わかりやすい税金の本。テーブルを囲み親子で話し合って欲しい、そんな願いをこめてやさしく説く。

タックスよ、こんにちは!
政府税制調査会会長である著者が、小学6年生~中学1年生レベルの生徒を念頭に、税金の仕組みや税金が必要な理由などを分かりやすく解説する。実際の納税者でありながら、税金の知識に乏しく、正確に理解していない親の世代も読者と想定し、望ましい税金のあり方などを示す。
最初に、税金は身近な日常生活を支える公共サービスの代価であり、国を支える社会的インフラだと説明する。日本では税金と公共サービスを別個に考え、「少ない税金」と「多い公共サービス」を求める傾向が強い。このように「納税者」意識が希薄なのは、欧米社会のように市民革命を起こし、自分たちの手で新しい国を作った経験がなく、国を築き上げた自覚や責任感が乏しいことが原因と指摘する。

次に所得税、法人税、消費税など主要な税金の仕組みを説明、人口が減少し、少子高齢化が進む日本でどのような税制度を構築すべきかを考察する。北欧型の高福祉・高負担の方向に持っていくのか、米国型の自助努力を基本とする低福祉・低負担で良いとするのかは国民の選択だと指摘。できるだけ多くの人に「広く」「公平に」税金を負担してもらい、オールジャパンで社会を支えるには、消費税の役割を高めることが不可欠と結ぶ。
(日経ビジネス 2006/09/04 Copyrightc2001 日経BP企画..All rights reserved.)

■目次

01 私たちのくらしと公共サービス―なぜ、タックスは必要なのか
02 タックスってなに?―誰が、どう払うのか
03 人の懐から支払うタックス―所得税のはなし
04 会社の儲けから支払うタックス―法人税のはなし
05 毎日の買い物から支払うタックス―間接税のはなし
06 地域社会のために支払うタックス―地方税のはなし
07 明日のタックスのために―みんなで支え合う社会を目指して

■引用

03 人の懐から支払うタックス―所得税のはなし
 「急激な累進税率は、それが法定通りに機能すれば所得再分配効果の点で、大きなメリットを発揮します。一般に、日本の旧野党を代表する革新政党や労働組合は、この形式上のメリットに目を奪われ、社会的公平確保の理由に、最高税率の引き下げや累進制の緩和そのものに、強く反対しています。しかしながら今日では、所得税の累進税率はそのメリットより、デメリットの方が現実にはより注目されるようになっています。<0077<
 累進税率のデメリット
 それでは累進税率のデメリットとは、何でしょうか。次の3点が、特に重要と思われます。
 まず第1に、法定上急激な累進税率の仕組みを形式的に作っても、実際にその通り実行することはほとんど不可能といえます。[…]
 第2に、累進税率が急激なほど経済活性化を阻害する危険がでてきます。いま述べたように手取りの利子率が減少するようですと貯蓄意欲が失われるかもしれません。また労働意欲も大きなダメージを被る可能性があります。かりに限界税率を75%とすると、1万円をざ残業<0078<で稼いでもその付加的な所得のうち7500円はタックスになります。手取り所得は2500円にすぎず、これではおそらく多くの人々は、労働する意欲を失ってしまうでしょう。その例は極端かもしれませんが、この傾向が社会全体に広がると、国の経済成長の足を引っぱる状況になります。
 第3に、累進課税を急激にし最高税率を高めるほど、脱税や節税を誘うことになります。」(石[2006:78-79])


UP:20081112 REV:20090801
石 弘光  ◇  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)