『新ホスピス宣言――スピリチュアルケアをめぐって』
山崎 章郎・米沢 慧 20060628 雲母書房,230p.
■山崎 章郎・米沢 慧 20060628 『新ホスピス宣言――スピリチュアルケアをめぐって』,雲母書房,230p. ISBN-10: 4876722021 ISBN-13: 978-4876722020 \1785 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
病棟化するホスピスはどこへ向かおうとしているのか。
ホスピス運動、コミュニティケア、ボランティアの可能性…。
切り拓かれるべき未来のために、対話をとおしてホスピスケアの普遍性を提言する。
■著者紹介
- 山崎章郎(やまざき・ふみお)
- 1947年、福島県生まれ。1975年千葉大学医学部卒業、同付属病院第一外科入局。1983年船医として南極海底調査船などに乗船。1984年八日市場市民病院へ。1991年聖ヨハネ会桜町病院へ。2005年ケアタウン小平クリニック開設。NPO法人コミュニティケアリンク東京理事長。また、日本ホスピス・緩和ケア協会会長、日本死の臨床研究会事務局長などを務める
- 米沢慧(よねざわ・けい)
- 1942年、島根県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。批評家。少子高齢社会の家族像を模索する「ファミリー・トライアングルの会」やAKIHIKOゼミを主宰。近年は看護・医療、生命を考える自主ゼミにも積極的に取り組む
■目次
まえがき
第1章 ホスピスケアの現在
1 ソンダースと痛みの治療
痛みを取る方法
モルヒネの副作用
幻覚との因果関係
モルヒネが効かないとき
ペインコントロールは医師の使命
痛みの放置は犯罪と同じだ
痛みを取れなければ訴えられる
アメリカの医療訴訟と日本の実態
2 ホスピス運動の現状
第一回、ホスピス国際会議
制度化するホスピスケア
医師としてのイロハ
医療施設化するホスピス
ホスピス運動の転位
3 緩和ケアにおける課題
がんセンターでの緩和ケア
“がん難民”が生まれる理由
つながっている安心感
生きる意味の喪失
4 「死の五段階説」から見えること
キューブラー・ロスから受けた影響
死を前提にした会話
臨床場面での対話と共感
専門家以外の受け止め手
蘇生術をしない医者
悲しみや恐れを隠さない
共通の話題を見つける
死後の世界のイメージ
患者に聞き、患者に学ぶ
第2章 “ケアタウン小平”構想
1 コミュニティケアの視点
家で最期を迎えたい
ホスピスケアの定義
“健康寿命”が問いかける課題
共に生きるということ
白衣を脱いだフリーランス・ドクター
キーワードとしての“ケアタウン”
2 在宅ホスピスという発想
アパート経営の課題
ボランティアが参加しやすい仕組み
NPO法人という事業形態
壁のないホスピス
顔が見えるチームケア
3 コミュニティケアの役割
エリアは半径三キロ
町に出てサポートする
ケアマネージャーとしての役割
チームをしっかり組んだ在宅ケア
トライアングルの三番目
生活を大切にする視線
4 施設・病院を在宅化する
施設が在宅ケアの場になる
開放型病床への往診
専門性をボランティアに活かす
第3章 スピリチュアルケアをめぐって
1 スピリチュアルペインの出現
生きる意味を見失うとき
四つ目のスピリチュアリティ
スピリチュアルペインに到達するとき
〈いのち〉の侵襲と深さの問題
通過点としての死
元気なうちに葬式がしたい
2 死生観を語れる場所
死の直前の自己肯定
教会でお葬式がしたい
まだ死にたくない
お気に入りの曲を選ぶ
死生観を語ったあとの悲観
3 スピリチュアルデスと感情の解放
感情の凍結と解凍
一五秒の愛の行為
自己と意識の変容
人間的ケア・動物的ケア・植物的ケア
4 認知症の人のスピリチュアルケア
認知症の人への対応
スピリチュアルペインとしての認知症
死を怖がる医療者
看取りのレッスン
ケアする人へのストレスへのサポート
コラム
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治