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『刑法39条はもういらない』

佐藤 直樹 20060615 青弓社,254p.

last update:20110221

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■佐藤 直樹 20060615 『刑法39条はもういらない』,青弓社,254p. ISBN-10:4787232584 ISBN-13:978-4787232588  \2730 [amazon][kinokuniya] ※ d/m01b

■内容

精神障害者の犯罪責任を免除する刑法39条。その起源を刑法史に探り、「理性的な人間像」と対立する「非‐人間としての精神障害者」という問題性を指摘する。責任能力を認めないのは精神障害犯罪者を「人間」と見なしていないと批判して、39条の廃止を訴える。

著者プロフィール

佐藤 直樹(サトウ ナオキ)●著…1951年、仙台市生まれ。九州大学大学院修了。九州工業大学情報工学部教員。専攻は刑事法学、現象学、世間学。著書に『「世間」の現象学』『増補版 大人の〈責任〉、子どもの〈責任〉』『〈責任〉のゆくえ』(いずれも青弓社)、『世間の目』(光文社)、『共同幻想としての刑法』(白順社)、共著に『世間学への招待』(青弓社)など。

■目次

はじめに──私がキレた理由

第1章 日本の責任能力制度──「生物学的」方法と「心理学的」方法

 1 「生物学的」方法は生物学的か
 2 裁判所がいちばんエライ
 3 ほとんどが起訴前鑑定で責任無能力とされる
 4 心神喪失者等医療観察法をめぐって
 5 「犯行」がなくて「犯行時」が存在するか
 6 犯罪は「つくられる」ものだ
 7 フッサール現象学の「方法的独我論」とは
 8 「刑法学説」のムナシサ

第2章 狂人は自分の病気によってすでに十分罰せられている──近代以前の責任能力

 1 犯罪も刑罰もなかった時代
 2 なぜ「結果責任」だったのか
 3 ゲルマン部族法・ザクセンシュピーゲル
 4 カロリーナにおける「内面」の発見
 5 狂気はあたりを歩きまわっていた

第3章 「自由意思─理性的人間像」の成立 ──重商主義の時代の責任能力
 
1 テレジアーナ・ヨセフィーナ・プロイセン一般ラント法
2 刑法における「自由意思─理性的人間像」の成立
3 刑罰と労働が結びつけられた
 4 精神障害者の「大いなる閉じ込め」
 5 社会と刑罰から排除された精神障害者

第4章 純化する「自由意思−理性的人間像」──自由主義の時代の責任能力

 1 「自由意思─理性的人間像」を必要としたのはなぜか
 2 カント=フォイエルバッハと「犯罪と刑罰の等価交換」
 3 フォイエルバッハのバイエルン刑法典
 4 ヘーゲルの「価値的応報刑論」とは
 5 ヘーゲル学派と諸ラント法
 6 英米法におけるマクノートン・ルール
 7 著者としての「メタ自己」の発見
 8 露出する近代的主体の限界点

第5章 「あいだ」としての精神病──「生物学的」方法批判

 1 身体疾患を「要請」されてきた統合失調症
 2 「あいだ」としての精神病
 3 精神病はメタファである
 4 サズのダラム・ルール批判
 5 近代における「因果関係」論の成立
 6 心身二元論の陥穽
 7 ホントに精神病が「原因」といえるのか

第6章 フィクションとしての「他行為可能性」──「心理学的」方法批判  

1 責任非難の根底にある「他行為可能性」
 2 日本には個人も意思決定も存在しない
 3 フィクションとしての「他行為可能性」
 4 「心理学的」要件は「内面」に存在するか
 5 「心理学的」方法と精神異常抗弁廃棄論
 6 責任能力論とメンス・レア
 7 刑法三九条の廃止に向けて

第7章 日本の責任能力をめぐる判例──「了解可能性」という方法

 1 日本には社会も権利も存在しない
 2 「ゆるし」としての起訴便宜主義
 3 「混合的」方法はタテマエにすぎない
 4 心神喪失で無罪が認められたケース
 5 完全責任能力となったケース

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:三野 宏治
UP:20110221 REV:
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