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『トラウマの声を聞く―共同体の記憶と歴史の未来』

下河辺 美知子 20060622 みすず書房,251p.

last update:20110406

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■下河辺 美知子 20060622 『トラウマの声を聞く―共同体の記憶と歴史の未来』,みすず書房,251p. ISBN-10:4622072181 ISBN-13: 978-4622072188  \2940  [amazon][kinokuniya] ※ t06

■内容

出版社/著者からの内容紹介
語れば語るほど、戦争の本質は見えなくなっていく。それは言葉が足りないからでも、洞察力の不足でもない。言葉を重ねるその裏に、共同体のトラウマが潜伏しているからだ。
身体に受けた傷を意味した「トラウマ」という言葉を、フロイトは「心の傷」として、精神医学の用語に転用した。トラウマ記憶は、出来事が起きている最中には記憶として登録されず、時を経てから症状として回帰する。この不思議なメカニズムは個人の心にのみ起こることなのだろうか。
本書はトラウマ概念を起点にして、国家や共同体が抱えもつ、集団のトラウマへと考察を広げていく。戦争、核、ジェノサイド……それらは歴史にどのように書き込まれ、忘却され、そして回帰するのだろうか。フロイト『モーセと一神教』、メルヴィル『白鯨』などのテクストを縦横に論じながら、共同体に潜在するトラウマの根深さに迫っていく。
精神分析の知見を現代を考える思考の道具として使い、批評の新たな地平を拓こうとする本書は、今起きている戦争をなおも忘れようとする世界への切迫したメッセージである。

内容(「BOOK」データベースより)
語れば語るほど戦争の本質が見えなくなるのはなぜか。共同体に刻まれたトラウマ記憶への洞察を来たるべきエシックスに架橋する、9・11以降の歴史の解読法。

■目次

1 トラウマ
(PTSDをめぐる時間の旅―忘れられたものからの声 トラウマという場所―われわれは現実界との出会いを希求しているのだろうか 集団のトラウマという発見―『モーセと一神教』と埋葬された記憶 「真の他者」の出現―テロリズムと共同体の記憶)
2 ジェノサイド
(「俺じゃない、エイハブはあいつだ」―ジェノサイドの欲望が宿る場所 「自由の帝国」と表象の全体主義―言葉のジェノサイド ジェノサイドと核―核と抑止のレトリック)
3 エシックス
(遠くから殺す/近くから書く―モダニズム国家と「ヒロシマ」 国家が殺されて歴史言説が誕生する―アンティゴネーがもたらすエシックス エシックスの囁き―デリダの正義の在るところ)

■引用

■書評・紹介

◆ 20050814 森岡正博 (書評)
    『熊本日々新聞』2005-08-14

■言及



*作成:大谷通高
UP: 20110406 REV:
トラウマ 身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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