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『関係性による社会倫理学』

西谷 敬 20060610 晃洋書房,336p.


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■西谷 敬 20060610 『関係性による社会倫理学』,晃洋書房,336p. ISBN-10: 4771016933 ISBN-13: 978-4771016934 4200 [amazon] ※

■内容(「MARC」データベースより)
「関係性は、究極的には、自と他の関係に帰着する」という関係性による社会倫理学の基礎の上に成立するさまざまの社会的徳、つまり関係的諸徳について論じて、現実の社会における人間のあり方とあるべき仕方を解明する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
西谷 敬(にしたに・けい)
1937年神戸市に生まれる。京都大学文学部哲学科卒業。同大学院文学研究科博士課程修了。奈良女子大学名誉教授。龍谷大学文学部特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

序論
第1章 徳と倫理学の立場
第2章 関係性と自己の問題
第3章 関係性の構造と社会倫理学
第4章 友情とケアの倫理
第5章 信頼と忠誠
第6章 責任

■引用

第4章 友情とケアの倫理

 「ケアと正義をそれぞれ適用領域が異なるから、つまり一方は私的、家族的領域で通用するのに、他方は、公的、政治的領域で通用するから、相補的であるということは、あるいは正義は普遍的規則を述べるのに対して、ケアは具体的対象ないし関係における個別的な事例に関わるから、両者は相補的であるというのも、余りにも常識的な見解であるように思われる。このような私的と公的、普遍的と個別的の区別よりも、ケアの倫理は、他者に依存するものとのわれわれの関係に適用されるのに対して、正義の倫理は、自律した成人間の関係に適用されるとキムリッカは論じている。このような適用領域の区別は確かにあるとしても、二つの倫理の根本的区別は、むしろパースペクティヴの違いがあると考えられる。ギリガンは、ケアと正義の倫理の相違は、パースペクティヴの違いであるとしながら、両者が相補的であることを主張している。さらに進んで、ケアと正義の倫理は、パースペクティヴの違いであるけれども、両者を綜合使用とする立場がみられる。この立場に立つフリードマンを取り上げて論じることにする。
 フリードマンは、ケアと正義が両立するだけではなく、このことによって二つの道徳的関心は、実際に混じり合うことを主張する。お互いを公平に取り扱おうとする人は、またお互いにケアしあっている。」([204])

■言及

◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房 文献表


UP:20071205 REV:
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