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『生命倫理学と功利主義』

伊勢田 哲治・樫 則章 20060515 ナカニシヤ出版,276p. ASIN: 477950032X 2520


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■伊勢田 哲治・樫 則章 20060515 『生命倫理学と功利主義』,ナカニシヤ出版,276p. ASIN: 477950032X 2520 [amazon][kinokuniya] ※, be

■内容

(「BOOK」データベースより)
ハードなシーンでこそ功利主義の真価が発揮される。功利主義が生命倫理をどのように考察してきたのかがくまなくわかる初めての本。功利主義による生命倫理学の議論を全体として概観している。

(「MARC」データベースより)
功利主義とその批判者たちの論争や功利主義内部での論争、様々な医療倫理問題の事例から、功利主義が生命倫理をどのように考察してきたのかを詳しく解説。功利主義の真価に迫る。

イセダ テツジ カタギ ノリアキ

■目次

1 功利主義とはいかなる立場か
2 功利主義をめぐる論争
3 ヒト胚の研究利用
4 人工妊娠中絶
5 生殖技術―生殖補助技術と出生前診断
6 事前指示
7 遺伝子操作
8 功利主義と臓器移植
9 QALYと医療資源配分
10 守秘義務と医療情報

◆ナカニシヤ書店のHPより
 http://www.nakanishiya.co.jp/modules/myalbum/photo.php?lid=220
 http://211.9.219.130/modules/myalbum/photo.php?lid=220&cid=30

叢書【倫理学のフロンティア】 XVII 生命倫理学と功利主義 伊勢田哲治・樫 則章 編

2006年4月発行
税込定価 2520円
四六判 278頁  
ISBN4-7795-0032-X

功利主義の真価が発揮される生命倫理
ハードなシーンでこそ功利主義の真価が発揮される。功利主義が生命倫理をどのように考察してきたのかがくまなく分かる初めての本。

「まえがき」より
本書のもう一つの特徴は、功利主義による生命倫理学の議論を全体として概観したという点である。シンガー、ハリス、ヘア、グラバーといった個々の功利主義者による生命倫理学の本が存在し、また一部は翻訳されてもいるが、本書のそのような特徴をもったものは英語圏でも思い当たらない。その意味では非常にユニークな試みをすることができたと思っている。

<著者紹介>
伊勢田哲治(いせだ・てつじ)
メリーランド大学大学院終了。Ph.D.(哲学)京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。科学哲学・倫理学専攻。名古屋大学助教授。『哲学思考トレーニング』(筑摩書房、2005年)、『認識論を社会化する』(名古屋大学出版会、2004年)、『疑似科学と科学の哲学』(名古屋大学出版会、2003年)。

樫 則章(かたぎ・のりあき)
大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。倫理学専攻。大阪歯科大学助教授。『生命倫理と医療倫理』〔共編著〕(金芳堂、2004年)、『グローバリゼーションの倫理学』〔共監訳〕(昭和堂、2005年)、『道徳の哲学者たち―倫理学入門【第二版】』〔共監訳〕(ナカニシヤ出版、2001年),他。

<目 次>

まえがき
1 功利主義とはいかなる立場か
 1 功利主義の一般的特徴
 2 功利主義の利点
 3 功利主義の諸形態
 4 本書の編集方針について
2 功利主義をめぐる論争
 1 直感的規則との整合性
 2 例外的状況における直感的規則の侵犯
 3 行為者中立性
 4 単純加算による人びとの融合
 5 植民地総督府功利主義
 6 選好の個人比較
 7 功利主義的思考と生命倫理学
3 ヒト胚の研究利用
 1 はじめに
 2 ヒト胚研究の現状
 3 ヒト胚研究をめぐる「倫理的」論議
 4 批判の議論
 5 建設的な議論
4 人工妊娠中絶
 1 はじめに
 2 シンガーの中絶擁護論
 3 シンガーの中絶擁護論に対する批判的検討
 4 可能な解決
 5 おわりに
5 生殖技術――生殖技術と出生前診断――
 1 生殖技術とその規制
 2 生殖技術と功利主義
 3 功利主義者たちの議論の評価
 4 まとめ
6 事前指示
 1 はじめに
 2 シジウィック―或る人の将来の善全体
 3 グリフィン―十分な情報を得た上での欲求
 4 「マーゴのロゴ」
 5 ドゥウォーキン―決定的利益―
 6 ドレッサー―現在の利益説―
 7 結語
7 遺伝子操作
 1 遺伝子操作と新しい倫理問題
 2 功利主義とリベラリズム
 3 遺伝子操作への一般的な反論
 4 設計的態度
 5 遺伝子操作の効用の再考
8 功利主義と臓器移植
 1 臓器移植の現行の制度
 2 功利主義と臓器移植制度
 3 ドナー不足の問題をどう解決するか
 4 まとめ
9 QALYと医療資源配分
 1 はじめに
 2 QALY値の利点
 3 QALYの利点
 4 QALYの限界・問題点
 5 結論
10 守秘義務と医療情報
 1 なぜ守秘義務を検討しなければならないか
 2 守秘義務とはどのような義務か
 3 なぜ守秘義務は守られるべきか
 4 守秘義務は解除できるか四六判
 5 守秘義務の暗黒面

あとがき/引用文献/事項索引/人名索引

 

■長岡茂夫 「事前指示」,伊勢田・樫編[2006:121-142]

6 事前指示
 1 はじめに
 2 シジウィック――或る人の将来の善全体
 3 グリフィン――十分な情報を得た上での欲求
 4 「マーゴのロゴ」
 5 ドゥウォーキン――決定的利益
 6 ドレッサー――現在の利益説
 7 結語

 6 ドレッサー―現在の利益説―
 「第一に、永続的に無意識の患者においては、生存において苦痛は存在しないはずだが、他方延命から得られる利益も存在しない。この場合には家族の負担や苦痛、社会にとってのコストを原理原則にしたがった形で考慮に入れること<0140<も許される。[…][Dresser and Robertson 1989]。」(長岡[2006:140-141])

□言及

◇立岩 真也 2008 『良い死』,筑摩書房 文献表

  「末期」のあり方を事前に決めておくことは「事前指示(advanced directives)」などと言われて、関連の業界・学会ではよく話題にされる。自分の代わりに決める人を指定する場合と、内容を指示する場合とがある。後者について指示する内容は様々でありうるが、実際には、「延命処置」の停止、死の方に向かう指示がそこに大きな部分として含まれる◇11。」
 「(11)関連文献として、シジウィック、グリフィン、ドゥオーキン、ドレッサーの議論を紹介・検討している長岡茂夫[2006]。また服部[2004]では、賛成派・反対派の論点が、ごくごく簡単にだが、整理されている。賛成派と批判派・慎重派の人の名も、事前指示についての著作情報とともにあげられている。賛成派としてあげられる人たちは、R・ドゥオーキン(安楽死に関しては Dworkin[1994=1998])、H・クーゼ(Kuhse[1987=2006]、編書に Kuhse ed.[1994=1996]、また Kuhse[1997=2000]の一部でも論じられているその主張を『唯の生』第一章ですこし紹介する)、A・ブキャナン、D・W・ブロック(安楽死を主題とする本ではないが Buchanan, Brock, Daniels & Wikler[2002]がある)、J・ハリス。これまでもよく紹介され、よく知られている人々である。他方、批判派・慎重派の側の人たちのはそうでない。このことは、日本に紹介されてきた論・論者に一定の傾向があることを示しているかもしれない。」

浅井 篤 20060515 「QALYと医療資源配分」,伊勢田・樫編[2006:193-217]
 1 はじめに
 2 QALY値の利点
 3 QALYの利点
 4 QALYの限界・問題点
 5 結論

 「本章では医療資源を配分するための方法の一つ、Quality-adjusted life-year(質調節生存年数、以後<0193<QALYと略記する)に基づいた方法論について検討する。QALY値を勘案した医療資源配分は功利主義――特に選好功利主義――的な手法であり、希少な医療資源の配分問題について明快な回答を与える。この方法では結果的に効用が最も大きくなる仕方で医療資源の配分が目指される。一方深刻な限界や問題点があり、さまざまな指摘や批判を受けている。」(浅井[2006:193-194])
 「重要なのは人びとの選好であり、社会の人びとがどのような医療制度を政治的に選択するかである。私は、人びとは弱者切捨てには<0216<原則的に反対するが、その主張は「共倒れ」の兆候が現れた時点で微妙に変化し始める、と想像する。」(浅井[2006:216-217])

  cf.資源QOL

■言及

◇立岩 真也 2008 『良い死』,筑摩書房 文献表

 「では誰にどれほどの義務があるか。無限の、と言いたい人はいるだろう。とくに誰がどれだけを出すのか受け取るのかを巡る争いを悲しい思いで見ている人はそう思うだろう。ただ、人々がそれぞれそれほど苦労せずに生きていられるように、というのが目標であるなら、そのための支出・負担を無限に求めることは目標に反する。そのための支出・負担もまたそれぞれに適当に配分され、あまり辛い人がいるのはよくないということになるだろう。この場面では損得の計算が求められ認められることになる◇23。」
 「(23)計算はきわめて雑駁に乱暴になされる。あるいは、ありうる反論を想像して慎重になされる、あるいはなされることが予告されるにとどまる――ために、ときに賛成するにも反対するにも手がかりが足りないことがある。
  「重要なのは人びとの選好であり、社会の人びとがどのような医療制度を政治的に選択するかである。私は、人びとは弱者切捨てには原則的に反対するが、その主張は「共倒れ」の兆候が現れた時点で微妙に変化し始める、と想像する。」(浅井[2006 : 216-217])   とはいえ、いま引いた文章は、以下のように設定されるその目的に即せば、有用な情報を与えてはいる。
  「本章では医療資源を配分するための方法の一つ、Quality-adjusted life-year(質調節生存年数、以後QALYと略記する)に基づいた方法論について検討する。QALY値を勘案した医療資源配分は功利主義――特に選好功利主義――的な手法であり、希少な医療資源の配分問題について明快な回答を与える。この方法では結果的に効用が最も大きくなる仕方で医療資源の配分が目指される。一方深刻な限界や問題点があり、さまざまな指摘や批判を受けている。」(浅井[2006:193-194])」


UP:20061128 REV:20070503,1218 20090111
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