『身体の文化史――病・官能・感覚』
小倉 孝誠 20060410 中央公論新社,251p.
■小倉 孝誠 20060410 『身体の文化史――病・官能・感覚』,中央公論新社,251p. ISBN-10: 412003724X ISBN-13: 978-4120037245 \2730 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
禁断の恋、魅惑の香り、薄幸な運命が生んだ伝説を読み解く。
文学、医学書、作法書などの身体表層を解読し、近代以降に誕生した社会的規範や文化的価値観の変遷を精査する最新研究成果。
■目次
プロローグ
第1部 女性の身体とジェンダー
第1章 近代フランスにおける「女らしさ」の規範と表象
なぜ身体の表象を論じるのか
医学の言説
女と病
束縛される身体
礼儀作法の書の戦略
見られる身体――文学における女の表象
見つめる女の運命
結語
第2章 タブーと侵犯――恋する女の身体
純愛ブームの背景
不倫と文学
不倫の代償は不平等である
人妻と青年の物語
『ボヴァリー夫人』の争点
第3章 ゾラにおける女・身体・ジェンダー
自然と社会の呼応
身体の政治性
身体とジェンダー
見つめられる女たち
第2部 身体感覚と文化
第1章 五感のヒエラルキー
感覚の価値は変化する
認識論と感覚
一九世紀の医学書における五感の位置づけ
現在の状況
第2章 めくるめく香りに魅せられて――嗅覚と文化
悪臭から花の香りへ
差別と排除を媒介するにおい
においとセクシュアリティー
フェティシズムの誘惑
フェロモンの神秘性
ボードレール、ユイスマンス、ワイルド
エミール、ゾラあるいは香りの氾濫
グルヌイユの倒錯
ロールの歓喜
現代日本文学と香り
第3章 レアリスム文学と身体
バルザックからフローベールの世代へ
セクシュアリティーとジェンダー
においの風景
身体と社会
民衆の身体
身体の生理学
病の表象
ヒステリー的身体
第3部 病はどのように語られてきたか
第1章 「病人」の誕生
健康という神話
疫病の時代
近代の病とその神話化
現代の病の風景
医師像の変遷
新たな病人の誕生へ
第2章 コレラからアルコール中毒へ
病を読む
コレラあるいは集団のドラマ
シュー作『さまよえるユダヤ人』
天然痘とアルコール中毒―処罰としての病
民衆の病弊
第3章 結核と文学
近代の災厄
結核と社会的想像力――結核にまつわる表象と神話
ロマン主義的な神話の崩壊へ
第4章 スティグマの表象――エイズと現代文学
エイズの意味づけ
ドミニック・フェルナンデス『除け者の栄光』
エルヴァ・ギベールとエイズの表象
あとがき
初出一覧
注
作品名索引
作者名索引
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治