『近代・戦争・国家――動員史観序説』
畠山 弘文 20060425 文眞堂,383p.
last update:20101028
■畠山 弘文 20060425 『近代・戦争・国家――動員史観序説』,文眞堂,383p. ISBN-10:4830945419 ISBN-13:978-4830945410 \3675 [amazon]/[kinokuniya]※
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
「輝かしい近代」の背後にある国家動員の論理を暴く、21世紀型社会科学の試み。
内容(「MARC」データベースより)
「輝かしい近代」の背後にある国家動員の論理を暴く、21世紀型社会科学「動員史観」の概要書。戦争を軸に近代500年の歩みをトータルかつ統一的に再解釈、社会科学の社会経済中心的な一国史パラダイムの転換を図る。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
畠山 弘文
1956年函館生まれ。1979年東北大学法学部卒業。1986年東北大学大学院法学研究科修了(法学博士)。この間、ロンドン大学LSE校留学。明治学院大学法学部着任、現在、政治学科教授。この間、レスター大学治安研究所、カルフォルニア大学バークレー校客員研究員。専攻・講義科目は政治学・政治社会学・国家論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
序章 動員史観への長い助走
1 本書の性格
2 もう1つの《感受性》としての動員史観
3 隠れたねらい―理論と生活の共振
4 批判的権力理論としての動員史観―二つの特徴
5 社会理論としての動員史観―二つの特徴
6 本書の構成
第1部 動員史観へのご招待―近代、よい子、動員
第1章 動員史観への序奏
第1節 動員の産物としてのわれわれ?
1 虎穴に入らずんば虎児を得ず?
2 自然って何?
3 大きな力って何?
4 最初のアダルト・チャイルド森鴎外?
5 動員って何?
6 動員社会としての現代社会
第2節 一億総よい子化社会
1 動員という視点
2 動員されて棄てられて―《自主的に活動しなさい》という呪縛
3 文化的動員解除としてのブルセラと援助交際?
4 一億総よい子化社会―ブルセラ女子高生対体育会系男子学生
5 《何のための動員?》―リースマンのひそみにならって
第3節 動員の歴史社会学(1)
1 よい子の2DK
2 テニスコートの下の動員―昔陸軍、今自動車教習所
3 特権的な19世紀から例外としての19世紀へ―特徴1
4 政治理論としての国家論から社会理論としての国家論へ―
5 18世紀から20世紀へ―特徴3
6 社会経済史から軍事史へも―特徴4
7 内外の動員との格闘
第4節 動員の歴史社会学(2)
1 全般的鬱陶しさの経験
2 戦争が生んだ近代―近代理解の基本線
3 歴史における統治形態のインパクト(1)―動員の歴史的源泉
4 歴史における統治形態のインパクト(2)―有機体国家の登場
5 《戦争国家論》としての動員史観
第5節 孤独でデリケートな援助交際まで
1 絶対主義から援助交際まで
2 モダンとしてのカニ―上海の中華レストランにて
3 かくも長き動員―よい子の一生
4 変化への始動
第2章 「動員後」へのスルーパス―一九九七年ジョホールバルからの展望)
編者(畠山)から一言
序 書くにあたって
第1節 スポーツ社会学の起点とその広がり
1 ノルベルト・エリアスの議論
2 エリアスの限界
3 近代的文脈を知るために
第2節 動員史観で捉えるアジア最終予選
1 ワールドカップ出場まで
2 「動員史観」で捉える「ゾーンプレス」
3 「動員史観」で捉えるメディア
4 「動員史観」で捉えるよい子カズ
第3節 「動員後」にあるもの
1 ある違和感
2 「動員」を拒否する中田英寿
3 中田の視線の先にあるもの
最後に 「動員」解除への方向性
1 もう一つの流れ
2 「動員後」の過ごし方
第2部 一九世紀型社会科学からネオ・マキアヴェリ主義的冒険へ
第3章 社会科学の古典モデル
第1節 19世紀型社会科学
1 19世紀型社会科学という発想
2 啓蒙の産物としての社会科学
第2節 19世紀型社会科学のバイアス―《社会中心的な一国史的アプローチ》
1 イギリスというヘゲモニ―外部世界の消失
2 18世紀への反動形成―もう一つの外部世界の消失
3 近代における状態としての戦争可能性―国家と国際関係の連結
第3節 近代の新たな自己理解―21世紀型社会科学へむけて
第4章 日本におけるネオ・マキアヴェリ主義的精神の躍動―動員史観前史の試み
第1節 《怪物としての国民》の自覚
第2節 ネオ・マキャヴェリ主義的精神の《心の旅路》
第3節 21世紀型社会科学への遺言
第4節 ネオ・マキャヴェリ主義的精神の横溢
1 川勝平太―文明の海洋史観
2 木村雅昭―思想史的突破
3 野口悠紀雄―1940年体制論
第3部 第三の社会理論の実践としての動員史観
第5章 動員史観の理論枠組
第1節 総力戦体制という出発点
1 山之内靖の総力戦論
2 現代のノマドたちの社会運動論
第2節 動員史観の基本的な概念と枠組
1 《国家関連事項》
2 動員の基本的な型―動員体制の三層構造
3 動員史観における《モダンの条件》―近代のビッグバンとしての原動員と国家的動員
4 第三の動員体制としての《心の動員体制》―純正近代日本における人間動員体制
第3節 社会理論としての国家論、バージョン1と2―動員史観の理論基礎づけ
1 《社会理論としての国家論1》―統治の目的
T 統治の技法論―統治の問題構成
U 17,8世紀におけるポリス論―《生活する人間》の発見から《人口・住民》へ
V 統治の目的
2 《社会理論としての国家論2》―統治のメタ目的
T 《統治目的と国家の目的疑似パラドクス》
U 《統治のメタ目的としての国家の目的》論再考
V 《戦争国家論》
(1)近代戦争国家のさまざまな顔―徴税国家そして治安国家
(2)戦争国家イギリス―国家の軍事的起源と発展
第4節 フル動員としての近代生活―動員の考古学へ
1 今日的現象を解釈する第三の社会理論は可能か―動員史観成立の可能性
2 動員の考古学―二つの考古学
3 内なる動員―動員の考古学2
第6章 よい子という問題構成―動員の考古学
第1節 よい子の誕生と生態
1 近代社会からの脱出:全共闘バージョン―団塊世代の挑戦
2 近代社会からの脱出:成熟社会の戦略―学校的日常の憂鬱
3 何のための動員?:《体育会系》という生き方―動員のための動員
4 動員とその産物としてのよい子
第2節 組織による正常で過剰な動員―組織という絶望
1 強制された自発性:よい子生産工場―労働現場のよい子化圧力
2 何のためでもない動員:浮遊する動員―受験体制のよい子化圧力
3 組織による動員―繭としての動員組織、蚕としての動員人間
4 競争という現実原則―大状況
終章 動員史観の基本的性格―総括
第1節 基本的性格―動員史観の2つの顔
1 第一の顔
2 第二の顔
第2節 ネオ・マキアヴェリ主義社会理論―フェイズ1とフェイズ2
1 フェイズ1
2 フェイズ2
第3節 歴史社会学と動員史観
付録 見えざる手としての国家
はじめに
第1節 ネオ・マキアヴェリ主義的実践―多様で分散した試み
1 政治社会学としての政治学―19世紀の遺産
2 国家中心的アプローチへの先駆的な働き
3 ドイツ・リアリズムという伝統―《ウェーバー=ヒンツェ的パースペクティヴ》
第2節 《歴史のなかの国家論》―歴史社会学からの展望
1 国家権力の2つの顔
2 ウェーバー社会学の主題による変奏(1)―宗教社会学の問題設定から
3 ウェーバー社会学の主題による変奏(2)―国家社会学の問題設定へ
第3節 《ヨーロッパ的例外》の歴史社会学
1 統合のなかの多様性―《文化的統一性と政治的分断のユニークな結合》
2 経済発展における国家の性格―有機体国家の国内的条件
3 多様的国家システム―有機体国家の国際的条件
4 結論―ヨーロッパ的動態の例外性
第4節 近代世界と国家という問題設定―国家の政治理論から社会理論へ
1 政治理論としての国家論、社会理論としての国家論
2 近代世界と国家
3 《リサーチプログラム》としてのネオ・マキアヴェリ主義
第5節 ネオ・マキアヴェリ主義社会理論の射程
1 社会理論としてのネオ・マキアヴェリ主義―鳥瞰的整理
2 無自覚な比較は無意味である―比較論の前提をめぐる疑問
3 社会科学において歴史は異化の技法である―歴史と社会科学の対立の無効
4 おわりに
あとがき
付録―動員史観用語
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:竹川 慎吾 更新:樋口 也寸志