『構造的差別のソシオグラフィ――社会を書く/差別を解く』
三浦 耕吉郎 編 20060331 世界思想社,336+vip.
last update: 20100713
■三浦 耕吉郎 編 20060331 『構造的差別のソシオグラフィ――社会を書く/差別を解く』,世界思想社,336+vip. ISBN-10: 479071182X ISBN-13: 978-4790711827 \3780 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
・出版社からの内容紹介(世界思想社ホームページより)
人が差別をするのではない,人の置かれた社会的立場性が差別をなさしめるのである――社会において人びとが互いに取り結ぶ複雑な関係性を仔細に観察しつつ記述することで,これまで社会学的認識から洩れ落ちてきた〈関係性の間隙〉を活写する.
■目次
序章 〈構造的差別〉のソシオグラフィにむけて――手紙形式による人権問題講義 三浦 耕吉郎 1
第I部 支援する論理・排除する論理
第1章 『セックスボランティア』を読んで安心した人たちへ――障害者に対するセックスケアの困難 横須賀 俊司 40
第2章 アチラとコチラのグラデーション――障害者介助の技術と介助者の日常 前田 拓也 63
第3章 ハンセン病者を嫌がり,嫌い,恐れるということ 好井 裕明 100
第II部 「不法」の場所へ/「不法」の場所から
第4章 「不法占拠」の系譜学――「不法」の脱構築 金菱 清 136
第5章 「不法占拠」を生きる人びと 三浦 耕吉郎 165
第6章 支援者からの撤退か,それとも……――野宿者支援における〈応答困難〉の現場から 山北 輝裕 205
第III部 〈沖縄〉――表象を超えて
第7章 ひとつの場所/いくつかのシーサー――宝塚市における沖縄出身者と「沖縄」 山口 覚 238
第8章 「ダイビングの島」の発展と変容――本土からの沖縄移住者の役割を中心に 圓田 浩二 274
第9章 穴の来歴――環境保全条例の制定に向けた島嶼社会の戸惑い 土屋 雄一郎 300
あとがき 三浦 耕吉郎 329
執筆者紹介 336
■引用
・「あとがき」より
いずれにしても,公共性の論理にせよ,優生保護法にせよ,ホームレス自立支援特別措置法にしろ,環境的正義論にせよ,これらにかかわる当事者の側に差別する意図はまったくなかったという点が重要です.このように,偏見,差別意識,あるいは差別する意図のないところで生みだされる差別,つまりは,はっきりとした「差別する人」がいないところで生みだされる差別.そしてなおかつ,私たちの生きる社会の仕組みや支配的価値観に内在しつつ生み出されている差別.そうした差別を,私たちは〈構造的差別〉と名づけてきたのでした.
では,このような〈構造的差別〉にたいして,私たちはどのように対処していけるのでしょうか.すくなくとも,従来の〈啓発の言説〉に頼ることに限界があることは明らかです(331).
■書評・紹介
◇岸 政彦 200704 「書評 三浦耕吉郎編『構造的差別のソシオグラフィ――社会を書く/差別を解く』」『部落解放研究』175: 88-91.
■言及
*作成:藤原 信行