『ジブンサイセイのススメ』
アルブラスト細胞イキイキプロジェクトチーム 編 20060331 幻冬舎メディアコンサルティング,181p.
last update:20131208
■アルブラスト細胞イキイキプロジェクトチーム 編 20060331 『ジブンサイセイのススメ』,幻冬舎メディアコンサルティング,181p. ISBN-10:4344995414 ISBN-13:978-4344995413 ¥1200+税 [amazon]/[kinokuniya] ※ sjs
■内容紹介 (「amazon.co.jp」より)
糖尿病からシミ・シワ、髪の悩みまで…。誰もがかかえる悩みを解決するカギは「自分の細胞」にあった! 老化したり、傷ついた細胞を、健康で若々しい「自分自身の細胞」と入れ替えることで治す。こんないたってシンプルな治療法が、「第三の医療」として注目されている「再生医療」です。
本書では、再生医療の基礎知識から、国民病ともよばれる歯周病、アンチエイジングまで、再生医療の現在と未来をわかりやすく紹介。
健康や美容に関心を持つすべての方に!
内容(「BOOK」データベースより)
再生医療はじめの一歩。ワタシをよみがえらせるのは、私自身。ジブンの細胞を使って治る、若返るユメの治療法。
抜粋
高齢化の進む今日の日本では、「かつて克服してきた病気」とは性質のまったく違う、糖尿病や認知症といった「現代の不治の病」が蔓延しています。こうした病気はかつての感染症とは違い、「ジブン自身の細胞自体」から起こっているのでクスリでは完全に治すことはできません。
つまり、「ジブン自身の機能をサイセイさせる治療」すなわち「再生医療」以外では、来たるべき時代の病気には太刀打ちできないのです。 (あとがきより)
著者について
アルブラスト細胞イキイキプロジェクトチーム
再生医療ベンチャーのアルブラスト。組織工学を駆使した再生医療材料の製品開発に取り組んでいる。歯槽骨と角膜再生を2大プロジェクトに神戸医療産業都市を拠点に活動。
【監修者】
上田 実(名古屋大学大学院医学系研究科教授・東京大学医科学研究所教授)
木下 茂(京都府立医科大学眼科学教室教授)
島崎 潤(東京歯科大学眼科教授)
抜粋
高齢化の進む今日の日本では、「かつて克服してきた病気」とは性質のまったく違う、糖尿病や認知症といった「現代の不治の病」が蔓延しています。こうした病気はかつての感染症とは違い、「ジブン自身の細胞自体」から起こっているのでクスリでは完全に治すことはできません。
つまり、「ジブン自身の機能をサイセイさせる治療」すなわち「再生医療」以外では、来たるべき時代の病気には太刀打ちできないのです。 (あとがきより)
■目次
プロローグ
「生きている」だけでなく「活きていく」ために! 002
Stage 1 私で、ワタシがよみがえる? 〜再生医療って?
時代は「再生医療」を求めてる 012
● これからは「細胞コンシャス」でいこう!
● 60兆個の細胞がワタシの身体をつくっている
● リフレッシュしながら秩序を守る細胞のフシギ
● 「1億3千万人総細胞老化時代」がやってくる
● 未熟だから可能性がいっぱい!
● 今、最も大きな期待を集める「再生医療」
● これまでの病気の治し方は、もう古い?
「細胞」×「再生医療」をもっと知ろう! 021
● プラナリア、2つに切ったらプラナリア×2
● オーガナイザーに導かれてできる私たちの手足
● 「同じ器官」をつくる重要な遺伝子とは?
● 幹細胞は、カラダに蒔かれた大切な「タネ」
● 骨髄には幹細胞のストックがいっぱい!
● プラナリアや赤ちゃんのように復活する?!
● サイトカインは必要不可欠な細胞の調整サポーター
● 住み心地に敏感。マイホームのような「足場」を
「移植」の限界から「サイセイ」のミライをさぐろう 034
● さまざまな移植医療は命を救う最終手段
● 臓器移植、あなたはどこまでOKサイン?
● 次に闘う相手は「拒絶反応」
● 待ったなし! にもかかわらずドナー不足
● 最新テクノロジーを駆使した人工臓器
● ワタシの細胞は、ワタシにやさしい。ワタシを待たせない
● カラダのすみずみまで再利用するアメリカの「銀行」
● 常にストック不足が問題の日本の「銀行」
● 「ティッシュエンジニアリング」の考え方とは
● 機能重視だからこそ、オーダーメイドの治療ができる
「ES細胞」や「クローン」とはどう違う? 045
● どんなモノ、どんなカタチにもなれる「ES細胞」って?
● 20世紀最後に出会ったヒトES細胞
● デザイナーベイビーはやっぱり欲しい?
● それでもやっぱりコワすぎる、クローン人間
Stage 2 歯が! 目が! 人生が! 今、まさにサイセイ中! 〜再生医療の現場から
実用化をめざす3つのグループ 052
● ヒトはさまざまなパーツでできている
【第一グループ】皮膚・骨・角膜のサイセイ 053
● 再生医療の一元祖…皮膚
● 部分的なサイセイはすでに実用化…骨
● 高齢化社会の切り札になる?…軟骨
● 皮膚とならぶ再生医療のトップランナー…角膜
【第二グループ】臓器のサイセイ 062
● まるごとサイセイは超難題!…心臓
● 部分的なサイセイで機能回復をめざす…心筋
● 臓器としてはめずらしく高い再生能力…肝臓
● その他の臓器
【第三グループ】脳・脊髄など中枢神経系のサイセイ 066
● 医学界の常識をくつがえす「神経のサイセイ」
● 神経細胞は情報伝達のネットワーク
● 「神経細胞のサイセイ」で難病の治る日がやってくる
優等生は「歯」と「角膜」 070
● 「小さな変化」が与える「大きな喜び」
「かむこと」は「生きること」の基本 072
● かめる喜びと健康のカンケイ
● かめない人から老いていく
● 年齢と歯の本数は反比例
● 「歯周病」は「国民病」
● 今の治療法、問題アリ?
● 国民の救世主となる「歯科の再生医療」
● 世界をリード、日本独自の「かむ」ための再生歯科
● 脳に効く! 「ジブン本来の歯」
● まずは歯の一部、そして将来は…
歯槽骨がサイセイする仕組みって? 080
● 事前の検査と手術の説明
● 骨髄液を採取する
● 採取した骨髄液の培養・分化
● 主役を引き立てるサポーターたち
● シンプルで痛みもなし
● 日帰りまたは短期入院
● 「普通の生活」でサイセイを待つ
● ほぼ半年で念願の歯が!
【細胞イキイキプロジェクト現場レポート #01】 090
【ワタシのサイセイストーリー歯槽骨篇】神様からもらった「3度目の歯」 092
「光を取り戻す」ことが「生きるチカラ」に! 100
● 閉ざされた目はココロも閉ざす
● 昼か夜かすらわからなくなる恐怖
● 「読み・書き」ができないことの苦しさ
● ココロの闇に再び光を取り戻す
「角膜再生」の現状 06
● 「角膜」って何?
● 角膜の病気を治す「角膜移植」
● 角膜はどうやって手に入れる?
● 「再生角膜」の登場
● 「角膜再生」はどのような病気に使えるの?
● 角膜内皮細胞のサイセイへトライ
角膜がサイセイする仕組みって? 116
● 角膜上皮細胞の採取は3パターン〜本人の角膜がベスト
● 羊膜で「足場」をつくる
● 約2週間で角膜が完成!
● 口の中の粘膜でもOK
● 手術時間はわずか1時間! 外来でも可能
● 負担も軽い術後の通院
【細胞イキイキプロジェクト現場レポート #02】 124
【ワタシのサイセイストーリー角膜篇】3度の再生手術でよみがえった生きる喜び 126
Stage 3 羊膜、それは母体が持つ、「奇跡のインターフェイス」〜再生医療の救世主
すべてのはじまりは「羊膜」との出会いから 140
● 「羊膜」のフシギ
● 羊膜は昔から特別なモノだった!
● 再認識された羊膜の効果
● 羊膜をカタチづくっているのは特殊なコラーゲン
鼓膜からスタートした「羊膜再生治療」 145
● はじめは鼓膜のサイセイから
● 角膜移植にもピッタリ
● 3つの手段で角膜を治す!
● 骨のサイセイもできる!
● 羊膜を使った再生角膜
● 羊膜には無限の可能性が!
● ガイドライン整備で安心
「命の源」がさまざまな恵みを生み出してる
生まれる前、そして未来をやさしく包み込む〜羊膜の秘めた一面! 152
● 産業廃棄物だった羊膜
● 羊膜研究のためのシステムづくり
● 最優先されるのは妊婦さん、患者さんの意思
● 廃棄物が21世紀医療の救世主に!
育むのは赤ちゃんだけじゃない〜羊膜から生まれる「コラーゲンシート」の活用 156
● 羊膜パワーを利用する
● 使いやすく安全な製品が誕生!
● 口の中の細胞を使ってもできる
● 「角膜内皮再生材料」をつくるために
Stage 4 サイセイ医療で変わるミライ〜「本来のジブン」へ
皮膚、角膜から臓器、神経へ…どんどん広がる応用分野 162
● 実用化の時代を迎える骨再生
● 心筋梗塞や心不全にも朗報!
● オーバルセルが肝臓を救う?
● 「中枢神経は再生不可能」は昔のことに!?
● 国民病にも朗報! の細胞治療
● 生活習慣病に「夢の医療」を!
お肌が! 髪の毛が! 広がる「夢」の今はどのへん? 170
● 再生医療はアンチエイジングの切り札
● ジブンの細胞を使ってプチ整形!?
めざすのは「本来のジブン」に戻してあげること 173
● 真に豊かな医療技術の実現を
● 再生医療で健やかに老いる
● ゲノム新時代をどう生きる?
● QOLの向上をめざす現代医療
● 無限に広がる可能性
エピローグ
「再生医療」は未来のアナタのために 180
■SJSに関連する部分の引用
(p113)
○ 「角膜再生」はどのような病気に使えるの?
角膜の3つの層のうち、今のところサイセイが可能なものは「上皮層」のみです。そのため、角膜上皮の疾患にあたる翼状片をはじめ、輪部疲弊症、スティーブンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡などがその対象となります。
なかでも、翼状片は高齢者に多い病気で、60歳以上が人口の5分の1を占める日本で、急速に患者数が増えています。
(pp145-147)
鼓膜からスタートした「羊膜再生治療」
○ はじめは鼓膜のサイセイから
羊膜は、そのまま傷に貼り付けても、その部分の細胞をサイセイさせますが、羊膜の持つチカラを、さらに別の方法で活かす方法が模索されてきました。そして、「足場」として非常に優れている羊膜のうえで、さまざまな器官になりうる「幹細胞」を増殖させることができれば、失った機能を再び取り戻すことができるのではないかという考えが生まれたのです。近代的な再生医療の幕開けといえるでしょう。
最初にサイセイする器官として選ばれたのは「鼓膜」でした。鼓膜が破れた患者さんから、残っている鼓膜の細胞を採り、それを羊膜の上で培養して、再び患者さんの鼓膜に戻し、聴力を取り戻すことに成功したのです。[p146>
【眼類天疱瘡(がんるいてんぼうそう)】
角膜上皮細胞が脱落する進行性の瘢痕性疾患。角膜や結膜の細胞に対する抗体ができる自己免疫疾患が原因と考えられ、視力障害を引き起こすこともある。点眼薬の副作用でも同様の症状を生じることがある(偽眼類天疱瘡)。
○ 角膜移植にもピッタリ
次に選ばれたのが、角膜のサイセイでした。
常に外界に接している透明な角膜の上皮は、毎日新しいものに変わりますが、「眼類天疱瘡」や「スティーブンス・ジョンソン症候群」といった角膜の正常な機能を阻害する病気にかかると、この角膜再生ができなくなります。そして、結膜上皮が角膜上皮の代わりに角膜表面をおおってしまうと、角膜が白く濁り、著しい視力の低下をまねきます。
この治療には、他人の角膜を使った「角膜上皮移植」などが行われますが、ドナーの絶対数が少ない日本では、なかなかすべての患者さんに移植を行うことはできません。そこで考えられたのが、ドナーの角膜を培養して増殖させて利用することだったのです。
1996年、京都府立医科大学と東京歯科大学が共同で羊膜の研究をはじめました。それは、羊膜から出されるグロースファクター(増殖因子)を利用する目的で行われたのですが、研究を進めていくうちに、角膜や結膜を成長させるグロースファクターと似ていることがわかりました。[p147>つまり羊膜は、角膜や結膜の細胞を増殖させるのに、非常に適していたのです。
【スティーブンス・ジョンソン症候群】
突然の高熱とほぼ同時に全身の皮膚と粘膜に赤い発疹や水疱を生じる疾患で、その多くは薬剤の内服や点滴が引き金といわれている。年齢・性別に関係なく発症し、炎症の後遺症として、眼の表面に瘢痕が生じる場合もある。
○ 3つの手段で角膜を治す!
羊膜を使った具体的な目の治療法としては、角結膜上皮の基質として使われる「羊膜グラフト」、カバーとして使われる「羊膜パッチ」、代用品として使われる「羊膜スタッフ」という3つの方法があります。
「羊膜グラフト」は、翼状片などの病気によって混濁した角膜に羊膜を施すことで、角膜本来の機能を取り戻す方法です。
「羊膜パッチ」は、角膜の潰瘍などの病変部を羊膜でおおうことによって、傷が治るように働きかけるもので、「羊膜スタッフ」は、重い潰瘍などの場合、角膜の欠けた部分の代わりに羊膜を使用するものです。これらの方法は、いずれも、角膜のサイセイを図るために行われます。
*作成:植村 要