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『生き延びるための思想――ジェンダー平等の罠』

上野 千鶴子 20060207 岩波書店,277p.


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上野 千鶴子 20060207 『生き延びるための思想――ジェンダー平等の罠』,岩波書店,277p. ISBN-10: 4000221515 ISBN-13: 978-4000221511 2520 [amazon][kinokuniya] ※ a06 d01
上野 千鶴子 20121016 『生き延びるための思想  新版』,岩波書店,416p. ISBN-10:400600270X ISBN-13:978-4791766574 1300円+税 [amazon][kinokuniya]

■内容(「BOOK」データベースより)
「男女共同参画」でフェミニズムの課題は解決するのか。そもそもフェミニズムとは何か。「男なみ」をめざすことで袋小路に入り込んでしまった(リベラル)フェミニズムの思想的な落し穴を指摘し、国家暴力と対抗暴力とを問わず、社会のなかの暴力的な構成=男仕立ての「死ぬための思想」を根源的に批判。国家、暴力、ジェンダーという問題系をめぐる近年の議論を再構成し、「弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想」としてのフェミニズムの立場から、人間らしく生きるために今なにが問われているのかを明晰に論じる。幅広い活動を展開する著者の問題関心を結節するとともに、その思想的な中核を浮彫りにする重要な一冊。

■内容(「MARC」データベースより)
「男性並み」をめざすことで袋小路に陥ってしまった(リベラル)フェミニズムの思想的な陥穽を衝き、「弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想」としてのフェミニズムの立場から、国家・暴力・市民権を問い直す。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
◇上野 千鶴子
社会学者。1948年富山県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
 第T部
  一、市民権とジェンダー――公私の領域の解体と再編――
  二、女性兵士の構築
  三、対抗暴力とジェンダー
  四、「プライバシー」の解体――私的暴力と公的暴力の共依存をめぐって――
 第U部
  五、記憶の語り直し方
  六、「民族」か「ジェンダー」か?――強いられた対立――
  七、ナショナリズムを超える思想
  八、「国民国家」論の功と罪――ポスト国民国家の時代に『国境の越え方』を再読する――
  九、銃後史という思想
  十、アジア女性基金の歴史的総括のために
 補論 生き延びるための思想

■引用

◆2005 「生き延びるための思想」,『quarterly at』0→上野[20060207:229-256]
 「PPK運動って、ご存知ですか?「ピンピンコロリ」の略語。これを今、広めようとしている人たちがいて、長野が発信地だそうです。集団で、PPK体操とかやってるんですよね(笑)。
  効果あるんでしょうか(笑)。
<0235<
 筋トレやれ、とかいう介護保険法の改悪と同じ(笑)。だから私は、田中康夫知事に、PPK運動っって長野発とか言ってるけど、止めてほしい、これってファシズムですよ、って言ったんです。最初は田中さんもわたしの言ってることが分からなくて、「どこが?」って。つまり、どんな庶民も願う切実な願望というか、死ぬ前日までピンピンしていて、ある朝コロリと死ぬというのじゃダメなんですか、と。
 でも、予定通りになんか死ねませんよ。あなた、予定通りに生まれてきたわけじゃないでしょ。予定通りに死ねなんかしないのに、PPK運動を進めてきた人が、実際にはPPK通りにならなかったら、寝たきりになった時にどんな気持ちを味わうのか。その人は、自分の「尊厳」を守るために死ぬ方を選ぶのでしょうか。」(上野[2005→20060207:235-236])
 「今から思えば、わたしは有吉佐和子って偉かったって思います。あの方が『恍惚の人』(有吉[1972])を書いた時に、文芸評論家の平野謙と対談しています(2)。[…]平野謙さんが、オレは嫌だ、こんな状態になるくらいなら死にたいと、とっても「男らしい」ことをおっしゃた。それに対して、有<0236<吉さんは当時三〇代の終わりかなあ、きっぱり彼に言ったんですよね。
 「耄碌して、はたに迷惑かけても、私は生きてやろうと思います」と。おお、立派な人じゃ(笑)、って思っちゃいました。ですから、惚けて垂れ流しになってるわたしやあなたに、そのまんま生きていていいんだよって言ってあげるのが、思想の役目でなくして何なんだ、ということですよ。」(上野[2005→20060207:236-237])
 (2)有吉佐和子・平野謙「”老い”について考える」『恍惚の人』付録、『波』一九七二年六月号にも掲載。

■言及

◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房 文献表


UP:20071117 REV:2008331 20121009
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