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『精神保健と福祉のための50か条』

中沢 正夫 20060208 萌文社,111p.


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中沢 正夫 20060208 『精神保健と福祉のための50か条』,萌文社,111p. ISBN-10: 4894911000 ISBN-13: 978-4894911000 1000+ [amazon][kinokuniya] ※ m.

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内容(「BOOK」データベースより)
障害者の生活を地域で支えるための新・50か条。30年のロングセラーを新しい時代に合わせて改訂したリニューアル版。
内容(「MARC」データベースより)
精神障害者の生活を地域で支えるための新・50か条を収録。1993年刊「精神保健と看護のための100か条」を、2005年刊「精神科看護のための50か条」と2分冊したもの。

■目次

【精神保健福祉活動の基本】
1条 怖くて肪問できないと思う方へ
2条 「精神」の仕事はとつつきにくく応すガしいという方へ
3条 ますケースをもて!!
4条 公衆衛生が基本にある
5条 「違いのわかる人」に
6条 記録について
【訪問―現場を知ることの大切さ】
7条 はじめてのの訪問
8条 訪問しやすいところから訪問する――攻めの訪問をしよう
9条 訪問拒否にあったとき
【接し方と働きかけの基本】
10条 約東を破らない、だまさない
11条 接し方についてのコツ(1)
12条 接し方についてのコツ(2)
13条 当事者にほれ5れた時の注意
14条 当事者もまた「社会人」である
15条 及び腰では信用を矢う
16条 働きかけの「段階論」にとらわれるな
17条 援助者は裁判官ではない
【生活臨床――再発を防ぐ、生活上のクセをつかむ】
18条 科学的な生活療法技術を身につけよう
19条 生活特徴の見つけ方
20条 統合失調症の生活の仕方のクセを知ろう
21条 患者係、選定の重要さ
22条 当面の働きかけの組み立て方
【生活支援とは】
23条 「働く」ことのもつ治療的役割
24条 就職のときの注意
25条 順応と訓練のかねあい――職えらび
26条 恋愛について
27条 統合矢調症と結婚
【仲間づくりの場/作業所・デイケアへのつなげ方】
28条 デイケアについて
29条 小規模作業所・授産施設について
30条 グルーブホームについて
31条 誰が責任者か
【家族に対して】
32条 不治でないことを家族に説くこと
33条 退院は治療のはじまりになることを説くこと
34条 家族と患者の関係
35条 家族の態度をかえることが大切
36条 家族社会心理教育(家族教室)
37条 家族会に対する関わりあい方
【地域生活支援の作戦】
38条 ケース・カンフアレンスを組繊せよ
39条 チームワークについて
40条 援助者の交代について
41条 医療機関との連絡
42条 どんなとき入院を考えるか――目的を明確にした入院を
【薬】
43条 生活リズムの大切さ
44条 薬は万能ではない
45条 薬の副作用と精神症状
46条 妊娠・飲酒などと「薬」
47条 服薬管理が必要なとき
【その他の病気など】
48条 うつ病に対する働きかけ
【補遺】
49条 「人権を守る」ということ
50条 舞台は一体どっちへ向かっているのか

■引用

18条 科学的な生活療法技術を身につけよう

 「さて、どういう生活上の変化が、いったい、当事者の病状を悪化させるのでしょう。それがその人のアキレス腱です。
 親が死んだとたん、かえって病気がよくなったり、失恋してケロッとしていたり、どうも”大ショック”と思われるものに対しては、全部の当事者が反応しません。逆に私たちから考えるととるにたらないようなことであっけなく病気が悪化します。この「とるにたらないような生活の出来事」をまとめてみますと、当事者のアキレス腱が浮かび上がります。たとえ、他人から見れば「とるにたらぬこと」でも、そこをつかれるとあっ<0044<という間に悪化してしまうのです。
 それを『生活特徴』といいます。大きくわけると三つあります。@縁談、恋愛、性生活など主に異性との関わり合いによって生じる出来事、A財産、損得、借金など……生活の経済的側面を代表するもの、B学歴、資格、男らしさ、出世など社会的地位に関する出来事です。誰にとっても、生きる”よりどころ”であり、”張りあい”であり、評判を落としたくない点(その人の価値意識)です。
 統合失調症者は、ここをつかれるとあっという間に再発するのです。そして、このことに多くの当事者自身は気づきません。だから一人ひとりの当事者のこの生活特徴をつかまなくてはなりません。これが在宅生活指導のキーポイントです。このアキレス腱を見つけてしまえば指導や助言がしやすくなります。」(中沢[2006:44-45])

19条 生活特徴の見つけ方

 「「生活臨床」は、その人固有の「悪化・再発につながるアキレス腱」をつかみ、再発予防・悪化防止をしようとする、きわめて非特異的な生活療法(対処能力学習)です。そのよき実践者になるためには、「障害者の生活を動かせる」援助者の力量と、タイムリーな<0047<働きかけが肝要です。詳細は、平山朝子他編『精神分裂病患者の看護』――慢性疾患看護シリーズ3(日本看護協会出版部)、臺弘編『精神分裂病の生活臨床』(創造出版)参照。」(中沢[2006:47-48])

29条 小規模作業所・授産施設について

 「一九八〇年代からはじまった、精神障害者の小規模作業所(のち多くが小規模授産施<0069<設へ)は、地域格差はあるものの、きわめて急速に全国化し、急増しています。
 その成功の秘訣は、@働きたいという当事者の要求を真正面から受けとめたこと、A市民に問題を投げかけて市民のカを引き出したこと、B既成の概念にとらわれない運動形態と人材を使ったこと、にあります。多くのところでPSWや保健師などがカを貸していますが、そのカをはるかに飛躍させ、誰もが無視できない勢力へと発展しました。今や保健センターに代わって地域での精神障害者の生活支援の中心勢力、かつオぺレーションセンターになったといってもよいでしょう。
 「出る杭は打たれる」ではありませんが、ニ〇〇五年の国会で「障害者自立支援法」が成立してしまいました。そのため、前記のデイケアや、精神障害分野にかぎらず、授産施設もすべて大後退をする可能性があります。自立支援法というより自立阻止法ともいうべきこの悪法を今後、どうするのかが、生活支援にとって生死の分かれ道になっています。
 障害者が地域で生活していけるためには、医・職・住・友・遊がいるといわれてきました。医は居住地にある医療機関、とくに開業している医師、職はまがりなりに小規模作業所、住はグループホームという具合です。このなかで一番中心になっているのは作<0070<業所です。作業所は作業が行なわれるだけでなく、行き場のない当事者のたまり場になり、つきあいや遊びの教習所であり、そして何よりも地域の中で障害者が生活していくのに必要ないろいろなシクミをつくりだしていく運動の拠点です。その活動を通して地域のもつ障害者に対するこだわりを溶かしていっています。その結果、かっては再入院となった人を、ここで多く食い止めているのです。
 今、変わりつつある地域のサポート・ネットワークの中で生活支援の活動の幅は広がり、昔に比べて楽になっていっています。かって精神障害者は、入院か外来の選択をするしかなかったんのに、今では、デイケア、患者クラブ、作業所、たまり場、生活支援センターと、いくつもの選択肢をもっています。
 保健師やPSWなどの行政職員は、自分の地域の中のネットワークづくりに公人としても一市民としても参加することが大切です。」(中沢[2006:69-71])

■言及

◆立岩 真也 2013/11/** 『造反有理――身体の現代・1:精神医療改革/批判』(仮),青土社


UP:20130513 REV:
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