『辺境の想像力――エチオピア国家支配に抗する少数民族ホール』
宮脇 幸生 20060228 世界思想社,513p.
■宮脇 幸生 20060228 『辺境の想像力――エチオピア国家支配に抗する少数民族ホール』,世界思想社,513p. ISBN-10: 4790711749 ISBN-13: 9784790711742 \6500 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
エチオピア西南部に生きるクシ系農牧民ホール。彼らは、いかにしてみずからの「辺境性」を引き受け、支配に抵抗し、中央をまなざしてきたのか。「国家」と「伝統」の間に立つ彼らが直面している辺境のジレンマを明らかにし、新たな生き残りの試みを描き出す。
内容(「MARC」データベースより)
エチオピア西南部に生きるホールの人々が、いかにして自分たちの集団アイデンティティを維持してきたのかを探る。「国家」と「伝統」の間で彼らが直面する辺境のジレンマを明らかにし、新たな生き残りの試みを描き出す。
著者略歴(「BOOK著者紹介情報」より)
- 宮脇 幸生
- 1958年島根県生まれ。京都大学大学院文学研究科(社会学専攻)修士課程修了。大阪府立大学人間社会学部助教授
■目次
辺境のジレンマ
序章 構築される辺境
1 辺境と抵抗
2 辺境の他者
3 奇妙な出会い
4 歴史化される辺境
5 構築される「場所」とアイデンティティ
第I部 空間のイデオロギー
第1章 ホールの地へ
1 環境
2 ホールとは誰か
3 周辺の諸民族
4 調査の概要
第2章 サバンナと氾濫原のコスモロジー――正堯の実践を通して見たホールの生活空間
1 生態環境の分類
2 サバンナと放牧
3 氾濫原と農耕
第3章 権力・身体・空間――ホールの家父長制支配と空間の構築
1 ホールの社会制度
2 男と女
3 定住集落の空間構成
4 身体と空間
5 祈りと創造の空間
第4章 敵の血は甘い――戦いのイデオロギーと外部の創出
1 ホールの戦い
2 殺人と儀礼
3 儀礼の構造
4 鏡像としての敵
5 戦いとイデオロギー
第5章 美しき祝福と呪詛の力――カウォットをめぐる象徴の構造
1 カウォットとは何か
2 カウォットの両義性
3 交換する主体と交換される主体
4 外部の力の馴化
5 象徴と想像
第II部 出来事の歴史
第6章 移動と混交の民族史――トゥルカナ湖周辺(1800‐1900年)
1 オモ川西岸からウェイトへ――ホール(1800‐1850年)
2 マルレとアルボレの生成(1800-1880年)
3 象牙と首長――アルボレの首長制とソマリア交易の影響(1850‐1895年)
第7章 帝国のはざまで――エチオピアへの併合と辺境の紛争(1897-1935年)
1 エチオピア帝国の成立
2 帝国の侵入
3 帝国の辺境――エチオピア西南部の紛争
4 ウェイト渓谷への帰還と伝統の再興
5 国家支配と伝統
第8章 帝国統治の崩壊――イタリア占領と地方統治システムの変容(1936‐1941年)
1 イタリア統治とエチオピア西南部
2 イタリア統治と仲介者の権力
3 イタリア統治と民族間関係
第9章 アムハラの毒――エチオピア革命とホールの近代(1974-2002年)
1 農耕社会の周辺化と牧畜社会の辺境化‐エチオピア西南部
2 戦いの時代
3 仲介者の系譜
4 国家・戦争・アイデンティティ
第10章 光と闇――エチオピア革命とホールの近代(1974-2002年)
1 国家の浸透
2 外部の力
3 ハイエナの時代‐民族自治とEPRDFの支配(1991-2002年)
4 国家・近代・伝統
第III部 抵抗と救済
第11章 喪失と救済――帝国の侵略と支配をめぐる歴史記憶
1 帝国の侵入
2 空間の配置と時間の再帰
3 記憶とアイデンティティ
第12章 風の精霊たち――アヤナ 依霊カルトと家父長制支配への抵抗
1 アヤナの組織
2 内部の力と外部の力
3 抵抗と欲望
4 アヤナの想像力
第13章 ネットワークをつむぐ者――ある仲介者の伝統と近代を融合する試み
1 仲介者の誕生
2 想像の空間
3 交錯する「場所」
注
おわりに
エチオピア西南部地域年表
参考文献
人名一覧
語彙一覧
索引
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志