『教養の歴史社会学――ドイツ市民社会と音楽』
宮本 直美 20060217 岩波書店,350p.
last update:20111021
■宮本 直美 20060217 『教養の歴史社会学――ドイツ市民社会と音楽』,岩波書店,350p. ISBN-10:4000225472 ISBN-13:978-4000225472 \6930 [amazon]/[kinokuniya] ※ s
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
19世紀ドイツにおいては、「教養」が他の国々とは異なって大きな位置を占めていた。それはどのようにして形成され、維持されたのか。本書は、バッハ復興運動やアマチュア音楽活動の展開、キャノン(正典)の誕生、音楽作法の完成などを跡付けつつ、「音楽芸術」の成立過程について究明。音楽現象の分析によって教養理念の内在的な論理を解明するとともに、音楽が社会的に担った意味を浮き上がらせる。音楽学の素養をもつ著者にして初めて可能となった、ドイツ社会の歴史文化をめぐる卓見的な考察であり、従来、歴史学と音楽学とでまったく別個に議論されてきたテーマを総合する、歴史社会学=音楽社会学の達成である。
内容(「MARC」データベースより)
19世紀ドイツにおけるバッハ復興運動やアマチュア音楽活動の展開、音楽作法の完成などを跡付けつつ、「音楽芸術」の成立過程を綿密に考証する。「教養市民層」研究に一石を投ずる、歴史社会学・音楽社会学の新しい達成。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮本 直美
1969年生まれ。東京藝術大学大学院音楽研究科音楽学専攻修士課程修了。東京大学大学院人文社会研究科博士課程単位取得退学。専攻=社会学(音楽社会学、歴史社会学、文化社会学)。日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学文学部助手。東京大学より学位取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
序章 ドイツの教養と音楽
第1節 教養というキーワード――ドイツの「市民」問題
1 教養という言葉の意味――ニーチェ的教養とゲーテ的教養
2 ドイツの市民層問題
3 「教養市民」と音楽
第2節 聖域としての音楽
1 自律性への信仰
(@)キャノン――偉大な作品群
(A)音楽社会学
2 分析対象となる「音楽」とは何か
第3節 本書の構成
第一章 教養を求める人々
第1節 市民のアイデンティティ――教養という希望
1 教養市民層――「特有の道」論争以後
2 市民的文化への視線
3 市民のアイデンティティ
4 教養と国家
第2節 大学教育は教養の証明か――資格と教養のずれ
1 大学教育と官僚
2 教養としての古典語――精神的貴族であるために
第3節 教養とは何か――手の届かない理想
(@)学識
(A)個人の人格的修養
(B)結果ではなく過程
(C)市民性
(D)非規定性
(E)外面よりも内面
(F)非政治的であること
(G)公務員の二つの顔
(H)教養の曖昧さ
第二章 教養のアリバイ――アマチュア音楽活動
第1節 サークル活動の中の音楽
1 教養の実践としての合唱
(@)ベルリン・ジングアカデミー
(A)リーダーターフェルと合唱サークル
2 合唱の機能――日々の積み重ねと協調
第2節 音楽祭の誕生――オラトリオ・ブーム
1 オラトリオの人気
2 オラトリオの定義
3 オラトリオと合唱
4 イベントとしての音楽祭
5 音楽祭と市民的共同性
第3節 教養の共同作業
第三章 目に見える教養――バッハ復興運動
第1節 天才の構築――教養市民の代表者
1 バッハの復活と受容――《マタイ受難曲》の再演
(@)一八二九年以前――秘儀的サークルの中のバッハ
(A)一八二九年以後――劇的復活
(B)一八五〇年頃――国民的英雄へ
2 バッハの受容
3 マタイ受難曲の意味――合唱を通しての教養
4 市民的天才の構築
(@)バッハに見出される市民性
(A)天才の概念と市民性
(B)国民的記念碑
5 天才と市民
第2節 天才にひれ伏す市民――観賞作法の成立
1 直接体験
2 教養としての音楽聴――聴衆の誕生
3 観賞作法が意味するもの
(@)主体的聴取
(A)作曲家―演奏家―聴衆
(B)市民の証明と同質性
第3節 教養の共同確認
第四章 音楽芸術の誕生――音楽批評から音楽学へ
第1節 音楽を語り始める市民
第2節 たどり着けないユートピア――音楽と教養
1 最も純粋な音楽――器楽
2 音楽と言語
(@)器楽の言語性
(A)絶対音楽
第3節 音楽を語る作法――音楽学への道
1 音楽と教養――教養段階
2 教養段階の制度化
第4節 不可侵な聖域としての音楽
1 音楽の語り方
(@)形式論
(A)作曲家論
2 音楽と大学
3 音楽の価値
第5節 音楽への信頼
第五章 音楽が暴く教養の正体
第1節 音楽と教養
(@)キャノンと人格
(A)天才
(B)音楽の聴き方
(C)音楽の自律化
(D)純粋な音楽
第2節 教養がドイツ市民社会にもたらしたもの
1 市民層と市民化
2 逆説としての本質化
3 教養と共同性――教養の「非個人性」
4 理念としてのドイツ
注
あとがき
参考文献
索引
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志