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『見えない世界の物語――ピアで語る心の病――』

共同作業所ピアセンターあかり 編 20060120 現代書館,ページ数. 236p.


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■共同作業所ピアセンターあかり 編  20060120 『見えない世界の物語――ピアで語る心の病――』,現代書館,236p. ISBN-10: 4768434541 ISBN-13: 978-4768434543 \1800 [amazon][kinokuniya] ※ m

■内容
そううつ病、うつ病、統合失調症、強迫性神経症、乖離性神経症、アルコール依存症、摂食障害…病名は一緒でも、症状、抱える問題は個々様々。心の病を抱えて生きる人々の人生、家族との関係、医療とのかかわり、病とのつき合い方を、当事者がインタビュー。

[著者紹介・編集担当者より]
「ピアセンターあかり」は、精神障害者の作業所。当事者自身が様々な精神障害をもつ人の生の声と向き合い、様々な困難を抱えながら生きる彼らの等身大の姿を描き出すことにより、無知ゆえにつくられた歪んだ精神障害者像を変え、自らもエンパワーされていく。(猫)

■目次
はじめに  牧野秀敏 p.1

第一部 インタビュー p.19
 家族を守っていけるように強くなりたい
            U・K(そううつ病) p.20
 正社員とか責任の重い仕事は長続きしないんですよ
            大須賀龍一(非定型精神病) p.30
 ぼくたちはプレッシャーに耐える壁が薄い
            高山太郎(乖離性神経症) p.39
 世間体を気にせず、自分らしく生きることが大事
            金子さか恵(非定型そううつ病) p.50
 精神病だという感覚は砂のなかの犬ですね
            リリィー(統合失調症・アルコール依存症) p.65
 定年まで職業人であることを全うする
            江川敬(うつ病) p.81
 幻聴はうそばっかりいっているから、信じてはだめ
            中居静 p.96
 摂食障害は自分の特徴、一生付き合うつもりです
            重田正彦(摂食障害) p.104
 前に向かおうとする精神力が自信に
            春 鳴(統合失調症) p.112
 人との付き合いを大切にしなくては
            輝 柳(統合失調症) p.138
 自分のように偏見をもたれている人の助けになりたい
            バイキンマン(うつ病) p.146
 本当の自分になりたい
            あゆあゆ(転換性障害) p.155
 病気になってから、人にやさしくなれた
            S・S(統合失調症) p.174

第二部 座談会 p.183
 自己紹介
 インタビューにかかわって感じたこと
   精神障害とは
   インタビューを受けた人もスッキリ!
   モヤモヤが消えていく
   同じように闘っている仲間がいる
   精神科医への不信と信頼
   私たちがめざしたもの
 デイケア、作業所の役割とは
   デイケアは通過点
   自己決定する力を奪っていないか
   居場所、存在を認めてくれる場所
 病気との付き合い方をめぐって
   自分のつらさを冷静に語れるリリィーさん
   共感を呼ぶリリィーさんの魅力
   医者がどこまで病気のことを理解しているか
   精神医療の限界
   苦しまなくて普通に生活ができるようにサポートを
   薬に勝つ
   精神医療に求む!
   医療とどう付き合うか
   具合の悪さを訴える、状態を記録する、自己管理
   薬には限界があるが、心の持ち方は変えられる
   親身になってくれる医者をインターネットで探す
   いかにがんばらないようにするか
   父が倒れたのをきっかけに好転
 これからどう生きたい
   メンタルなコントロール、そしてがんばりすぎず
   自立した生活に欠かせない障害年金
   目的を、夢そして希望をもって生きよう

■引用
「本書刊行の目的の一つは、精神障害者がイメージとして固定化されるのではなく、当事者が自らのかけがえのない体験を語ることで、一人の人間として、あるがままの姿を明らかなにすることにより、社会の人たちが精神障害者に出会い、その真実を知ってもらうことである。二つには、精神障害者が地域で安心して暮らしていくためにはどのような課題があるのかを明らかにすることである。」(牧坂 2006:1)

牧坂 私たちが『インタビューのお願い』〔本書p.5-7掲載:引用者補足〕の文章を近隣の作業所や自助グループ、デイケア、精神病院・心療内科などに配布したとき、ある精神科の医師から「当事者がそういうことをやって責任は持てるのか。相手の状態が悪くなったらどうするのか。誰が責任をとるんだ」という批判がありました。思いがけない批判に戸惑いましたが、逆に私たちが何をやろうとしているのかを再確認できました。そこで、私たちとして心がけたものっていうのは何だったのでしょうか。
 岡田 インタビューをやったことによって具合が悪くなってしまったら元も子もないですよね。いいたくないことも当然あるだろうし、だから、インタビューの始めに話したくないことは話さなくてもけっこうですと断っていましたね。実際、具合が悪くなったという話は聞いていません。
 牧坂 逆にすっきりした人の方が多いと思うんですよ。
 岡田 いままでの人生に一区切りして、新たに前向きに生きようって。このインタビューで、そうなったと思うんですよ。
 常広 過去の経験を話したことで、自分を整理できたっていう人が比較的多かったよね。」(2001:190 第二部 座談会より)

■書評・紹介

■言及



*作成:野口 陽平 
UP:20081210 REV:
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