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『差別とハンセン病――「柊の垣根」は今も』

畑谷 史代 20060111 平凡社(平凡社新書).221p.

last update:20110217

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畑谷 史代 20060111 『差別とハンセン病――「柊の垣根」は今も』,平凡社(平凡社新書).221p. ISBN-10: 4582853072  ISBN-13: 978-4582853070 \760+税 [amazon][kinokuniya] ※ lep

■内容

その療養所は柊の垣根で囲まれていた。迎えてくれた元ハンセン病患者の尚幸さんは、これまでの壮絶な人生と、家族との関わりを淡々と語ってくれた。 そして聖書のサマリヤ人の譬えをひいて、ハンセン病患者の真の「隣人」とは誰か、とたずねた。「隣人」になるために、私たちに出来ることはなにか。 丁寧な取材と鋭い問題意識から書かれた、『信濃毎日新聞』連載の渾身のルポルタージュ。

■著者略歴

1968年長野市生まれ。早稲田大学文学部卒業、同大学院文学研究科中退。信濃毎日新聞社報道部を経て、現在文化部記者。 介護保険制度導入前夜の高齢者介護の実態を追い、新たな介護の思想を模索した「介護のあした」(99年度新聞協会賞受賞)、 現代の子育ての苦悩と、支援のあり方を探った「育ちそだてる」など連載企画の取材を担当した (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)。

■目次

序章 ハンセン病の現在
国を訴えた元患者たち/ハンセン病とは何か/意外な答え/サマリヤ人はだれか/与えられた机/訪ね歩いて

I 柊の垣根

第一章 秘密

「おじちゃん」を見つけた/拒んでいた対面/始まりは差出人住所のない小包/出会いは「神の導き」/「行っていい?」「来なくていい」/「死んだおふくろ」を思う /もうひとつの出会い/問題の「重さ」胸に/「子どもたちを信じてみよう」/初めて対面した叔父と夫/「おじちゃんは悪くないのに」/過去の苦しみ

第二章 「生きる」戦前編
「ひょっとしたらおれも」/病名の告知/激痛と屈辱/病人宿/空々しさと痛みに耐えかねて/隔離運動/病院への列車/「収容」/あすはわが身/つかの間の楽しみ /心構えは「皇軍兵士」玉音放送に「助かった」

第三章 「生きる」戦後編
新憲法で実感/結婚を決意/「選択肢はなかった」/患者の子ども、誰が育てたか/「おっかあをもらい、救われた」/新薬に長蛇の列/妻の死/孤独に襲われ泥酔 /幻想か救いか/「ごみのように」隔離/予防法改正に敗北/「ローマの決議、県民に伝えて」/本当の安らぎ遠く/繰り返し思い浮かべる「影」

第四章 願い
「私たちはここにいるのに」/勝訴に心晴れて/なお歩む「うそだらけの人生」/周りの視線におびえて/取り戻せぬ兄弟の時間/"優しいおじさん"のままで /社会復帰を願って/行き場のない補償金/寄り添い続ける「隣人」を探して

第五章 隣人として
自問は続く/尻込みから始まった交流会/宿泊拒否に抗議/ネット掲示板で触れた「闇」/「そっとして」の真意くんで/忘れられぬ授業/いつかきっと「本当の友だち」 /「おれでよかったら、会うよ」

第六章 内田博文さんインタビュー
放置しておけない世界/時間が「人質」/検証は被害者の立場で/人は過ちを犯す/責任の軽重/マスメディアの構造的な問題/「善意」が支える人権侵害 /残されている課題/差別に「第三者」などあり得ない/キーワードは「人間の尊厳」


II 資料編 ハンセン病問題――検証会議報告書はどう答えたか

熊本地裁判決の到達点と限界

1 強制隔離政策の変遷と差別意識の形成
近世、近代のハンセン病観/「内地雑居」がきっかけ/隔離政策の開始/「絶対隔離」への移行/戦後に完成した全患者収容/政策の担い手は変化/機を逸した政策転換 /らい予防法の「目的」/抑え込まれた患者運動/らい予防法の廃止は、なぜ遅れたのか

2 無らい県運動
戦前の無らい県運動/「皇恩」と「民族浄化」/皇室の役割/戦後の無らい県運動/無らい県運動が生み出した差別の特性

3 被害の実態
断種と堕胎/ハンセン病患者の断種合法化は戦後/二十九体は出生後に死亡/触れたのは深淵の一部/入所者の八割超が「自殺を見聞き」

4 各界の責任
医学・医療界――国策を無批判に支持/法曹界――「見ざる、聞かざる、言わざる」の姿勢/福祉界――隔離政策に「依存」/教育界――隔離政策と表裏一体 /宗教界――人権侵害に覆い/マスメディア――人権侵害に無力

ハンセン病問題関連年表

あとがき

写真提供:高松宮記念ハンセン病資料館・信濃毎日新聞社

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:長谷川 唯 増補:北村 健太郎
UP: 20090729 REV: 20110217
ハンセン病 leprosy  ◇医学史・医療史  ◇ナラティヴ・物語  ◇ライフヒストリー/生活史  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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