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『Webアクセシビリティ――標準準拠でアクセシブルなサイトを構築/管理するための
考え方と実践』

Thatcher, Jim/Burks, Michael R./Heilmann, Christian/Henry, Shawn Lawton/Kirkpatrick, Andrew/Lauke, Patrick H./Lawson, Bruce/Regan, Bob/Rutter, Richard/Urban, Mark/Waddell, Cynthia D. 20060426 Web Accessibility:Web Standards and Regulatory Compliance, Apress
=20071026 渡辺 隆行・梅垣 正宏・植木真監修,UAI研究会翻訳プロジェクト,毎日コミュニケーションズ,656p.


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■Thatcher, Jim/Burks, Michael R./Heilmann, Christian/Henry, Shawn Lawton/Kirkpatrick, Andrew/Lauke, Patrick H./Lawson, Bruce/Regan, Bob/Rutter, Richard/Urban, Mark/Waddell, Cynthia D. 20060426 Web Accessibility:Web Standards and Regulatory Compliance, Apress=20071026 渡辺 隆行・梅垣 正宏・植木 真監修,UAI研究会翻訳プロジェクト,『Webアクセシビリティ――標準準拠でアクセシブルなサイトを構築/管理するための考え方と実践』,毎日コミュニケーションズ,656p. 3800+税 ISBN-10: 4839922209 ISBN-13: 978-4839922207 [amazon]

■内容紹介(MYCOM BOOKSより)
世界の専門家11人が執筆し、日本の第一人者たちの翻訳した、Webアクセシビリティ解説書の決定版の登場です。

「Webアクセシビリティ」というとき、基本的な考え方や理論から、実際の制作の場でどうすればよいかという問題、さらにそれがビジネスや法制度的にどうなっているのか、などなど非常に広範な内容が含まれます。
本書はテーマや内容ごとに、それぞれの分野の専門家が執筆することで、質量ともに「Webアクセシビリティ大全」とでも呼ぶべき、本格的な書籍となっております。
大きく3部構成となっていて、第1部でWebアクセシビリティの基本を解説し、第2部で技術に関する具体例を豊富に提示し、第3部で米国と世界各国の法律と政策を詳細に説明しています。
特に第2部では、スクリーンリーダーやブラウザなどの話から、コンテンツ、ナビゲーション、データ入力をアクセシブルにする方法、さらにCSS、JavaScript、Flash、PDFに関するアクセシビリティ、アクセシビリティ・テスト、WCAG2.0など、様々な話題を扱っています。

「本書は、Webの専門家が、Webアクセシビリティを本格的に勉強する際に最適な本である。したがって、本書が想定する主な読者は、Web制作者、Webサイトの管理者、地方自治体や企業をはじめとする各組織のWeb担当者など、何らかの形でWebサイトの制作や運営に関わる方々である。しかし本書は、それ以外に、授業やセミナー、あるいは社内勉強会のテキストとしても有用であろう。アクセシビリティ担当ではないからこの本は必要ないと考えるのではなく、是非まず第1章を読んで欲しい。そして、机の横に置いて、必要に応じて残りの章を読んでいただきたい。Webアクセシビリティは、画像に代替テキストを付与することではないし、チェックツールでテストして合否を判定することでもない。Webアクセシビリティは、多様なユーザー、さまざまな技術、ガイドラインや政策や法律、などを総合的に考慮しなければならない複雑なプロセスである。この本を日本語で出版することで、日本のWebアクセシビリティ向上を促進できればと願っている。」(「日本語版翻訳者による序文」より)

2006年7月に米国で出版された「Web Accessibility: Web Standards and Regulatory Compliance」の日本語版。
サイトの運営者/制作者双方必携のガイドブックです。

執筆したのは、以下の世界の専門家11人です。
Jim Thatcher、Michael R. Burks、Christian Heilmann、Shawn Lawton Henry、Andrew Kirkpatrick、Patrick H. Lauke、Bruce Lawson、Bob Regan、Richard Rutter、Mark Urban、Cynthia D. Waddell。

翻訳を行ったのは、「UAI研究会 翻訳プロジェクト」の以下のメンバーです。
渡辺 隆行/東京女子大学・現代文化学部
梅垣 正宏/アクセシビリティ・コンサルタント
植木 真/(株)インフォアクシア
中村 精親/(株)ミツエーリンクス
四方田 正夫/富士ゼロックス(株)
榊原 直樹/(株)ユーディット
山口 俊光/(独)国立特別支援教育総合研究所
平野 一成/OpenOffice.org
今井 麻理子/(株)ユーディット
関根 千佳/(株)ユーディット

■著者について
渡辺隆行(Takayuki Watanabe)
東京女子大学現代文化学部コミュニケーション学科教授。ITRC UAI分科会主査、(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター 情報アクセシビリティの国際標準化調査研究委員会・Webアクセシビリティ部会主査。
1998年までは原子核・素粒子実験の研究に従事。1999年秋から、日本の全盲の視覚障害者のための日英2ヶ国語音声化システムBilingual Emacspeak Platformの開発に取り組んだ。2003年後半からはWebアクセシビリティに研究の主眼を移し、調査・研究に基づいてWebアクセシビリティを議論・推進することを目指している。

梅垣正宏(Masahiro Umegaki)
アクセシビリティ・コンサルタント。
(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター 情報アクセシビリティの国際標準化調査研究委員会・Webアクセシビリティ部会副主査、普及・評価手法調査部会主査。福祉情報技術コーディネーター一級。
ネット系ライター、福祉機器開発メーカー勤務を経て、現在コンサルタントとして活動。JIS X8341-3、-4の開発に関わった。いくつかの大学で非常勤で教鞭をとる。専門は、認知心理と障害者支援技術で、Webアクセシビリティ、視覚障害者支援の研究と普及に取り組んでいる。

植木真(Makoto Ueki)
株式会社インフォアクシア 代表取締役社長。ITRC UAI分科会副査、(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター情報アクセシビリティの国際標準化調査研究委員会・Webアクセシビリティ部会委員、普及・評価手法調査部会委員。W3C/WAI WCAGワーキンググループメンバー。
Webアクセシビリティのコンサルタントとして、主に大手企業サイトを対象に、サイト診断、ユーザーテスト、ガイドライン作成、教育・研修などを行うほか、海外の専門家と協業して各種チェックツールの開発にも取り組んでいる。また、Webアクセシビリティのポータルサイトも運営。

■目次
序文:アクセシビリティの課題
日本語版翻訳者による序文
著者紹介
翻訳者紹介

Introduction はじめに (Bruce Lawson・平野 一成 訳)
1 ― なぜ、アクセシビリティを気にしなければならないのか
2 ― アクセシビリティとは何か?
3 ― なぜアクセシビリティの本をもう1冊書いたのか
   3-1 今の流行はCSSとXHTMLのコンビネーション
   3-2 Webは成長し大人になった
   3-3 我々は新しいテクニックを学んだ
4 ― アクセシビリティは、三脚椅子だ
   4-1 Web標準
   4-2 セマンティックなコード
5 ― 今どきのやっかいな問題
   5-1 アクセシビリティはデバイス非依存と同義ではない
   5-2 タンゴは2人で踊るもの
   5-3 「ユーザーエージェントが……するまでは」
   5-4 認知障害
6 ― 本書について
7 ― この本の規則
8 ― では、始めよう

第1部 Webアクセシビリティの影響を理解する
第1章 Webアクセシビリティを理解する (Shawn Lawton Henry・渡辺 隆行 訳)
1 ― Webアクセシビリティとは何か?
   1-1 Webアクセシビリティの例:代替テキスト
   1-2 Webアクセシビリティの他の例
2 ― Webアクセシビリティは機会均等に不可欠
3 ― 障害者以外への利点
   3-1 高齢者
   3-2 読み書きが不得手な人、その言語に堪能でない人
   3-3 ネットワーク接続の帯域が狭い人、古い技術を使っている人
   3-4 Webの初心者
4 ― 相互依存している Webアクセシビリティの構成要素
   4-1 構成要素の解説
   4-2 実装サイクルにおけるアクセシビリティ
   4-3 アクセシビリティ対応が弱い部分の補償
   4-4 構成要素をまとめる
5 ― Webアクセシビリティ実現の方法
   5-1 今すぐに始めよう
   5-2 問題を理解するところからはじめる
   5-3 障害者を制作プロジェクトに加える
   5-4 アクセシビリティとユーザビリティの関係を理解する
   5-5 ガイドラインの重要な役割を理解する
   5-6 既存サイトのアクセシビリティ問題
6 ― Webアクセシビリティに関する有害な思い込み
   6-1 文字だけにすればよいという思い込み
   6-2 アクセシブルなサイトは冴えなくてつまらないという思い込み
   6-3 アクセシブルにするのは大変でお金がかかるという思い込み
   6-4 Web制作者だけがアクセシビリティに責任があるという思い込み
   6-5 全盲の視覚障害者だけがアクセシビリティの対象であるという思い込み
   6-6 評価ツールを使えばアクセシビリティを判断できて標準に適合しているかどうかもわかるという思い込み
   6-7 ガイドラインはアクセシビリティに不十分だという思い込み
7 ― ビジネス面から見た付加的な利点
   7-1 技術面の利点
   7-2 経済的な利点
   7-3 Webアクセシビリティのビジネスケース
8 ― はじめよう
9 ― まとめ

第2章 法律およびガイドライン概論 (Cynthia D. Waddell・植木 真 訳)
1 ― 公共政策の進化
2 ― 何が問題なのか?
3 ― アクセシブルでないWebデザインに対して起こされた訴訟
   3-1 カリフォルニア州サンノゼ市に対するADA訴訟
   3-2 マグワイア氏 対 シドニー・オリンピック組織委員会
4 ― アクセシブルなWebデザインのガイドラインと法律の策定
   4-1 法令と規制
   4-2 業界標準、勧告および実践ガイド
   4-3 W3C WAI(Web Accessibility Initiative)
   4-4 WCAG 1.0の優先度
   4-5 リハ法508条:Webアクセシビリティスタンダード
5 ― まとめ

第3章 大企業におけるアクセシビリティの実装 (Mark Urban and Michael R. Burks・植木 真 訳)
1 ― アクセシビリティ・チームを組織する理由
2 ― アクセシビリティ・チームの構成
3 ― アクセシビリティ・チームの権限
4 ― アクセシビリティ・チームの業務範囲、ゴール、および役割
   4-1 アクセシビリティの「気づき」
   4-2 フィードバック
   4-3 品質保証
   4-4 サポート
   4-5 法的事項
   4-6 標準規格
   4-7 対外的な窓口
5 ― 実装へのアプローチ
   5-1 初期評価(現状把握)
   5-2 実装プラン
   5-3 アクセシビリティ・チームへの移譲
6 ― まとめ

第2部 アクセシブルなWebサイトの実現
第4章 アクセシブルな技術の概要 (Andrew Kirkpatrick・中村 精親 訳)
1 ― HTMLとXHTML
2 ― カスケーディング・スタイルシート(CSS)
3 ― JavaScript
4 ― Flash
5 ― ポータブル・ドキュメント・フォーマット(PDF)
6 ― 同期化マルチメディア統合言語(SMIL)
7 ― QuickTime、 Windows Media、 および RealPlayer
8 ― スケーラブル・ベクター・グラフィックス(SVG)
9 ― Java
10 ― XMLとXSL
11 ― まとめ

第5章 支援技術:スクリーンリーダーとブラウザ (Jim Thatcher・山口 俊光 訳)
1 ― スクリーンリーダー
   1-1 スクリーンリーダーはWebページをどのように処理するのか
   1-2 スクリーンリーダーの具体例
2 ― 音声ブラウザとテキストブラウザ
   2-1 音声ブラウザ
   2-2 テキストブラウザ
3 ― 画面拡大
4 ― ブラウザでWebサイトのアクセシビリティをチェックする
   4-1 ページ分析サイト
   4-2 ページのテストをするためのブラウザ設定
   4-3 ツールバーとフェイブレット
   4-4 WAT-Cについて(執筆:植木 真)
5 ― まとめ

第6章 アクセシブルなコンテンツ (Jim Thatcher・梅垣 正宏 訳)
1 ― アクセシブルなWeb開発のためのガイドライン
   1-1 WCAG 1.0
   1-2 WCAG 2.0
   1-3 リハビリテーション法508条スタンダード
2 ― 画像への等価テキストの使用
   2-1 等価テキストのガイドラインと標準
   2-2 画像の分類
   2-3 アクセシブルな画像のリンク
   2-4 位置情報や文脈の果たす役割
   2-5 アクセシブルなイメージマップのホットスポット
   2-6 アクセシブルな画像ボタン
   2-7 整形や装飾のための画像の使い方
   2-8 多くの情報を伝える画像の扱い方
   2-9 画像の等価テキストのまとめ
3 ― 音声の等価テキストを用いる
   3-1 音声のガイドラインと標準
   3-2 書き起こしテキスト(トランスクリプト)
4 ― 色の使用
   4-1 情報を伝えるための色
   4-2 色のコントラスト
5 ― アクセシブルなテーブルを作る
   5-1 レイアウトテーブル
   5-2 データテーブル
   5-3 Caption 要素と Summary 属性
   5-4 支援技術とテーブル
   5-5 アクセシブルなテーブルのまとめ
6 ― フリッカー(明滅)の問題
   6-1 フリッカーのガイドラインと標準
   6-2 Blink要素とMarquee要素
7 ― まとめ

第7章 アクセシブルなナビゲーション (Jim Thatcher・梅垣 正宏 訳)
1 ― ナビゲーションの考察
2 ― 読み上げ順序
3 ― 見出しナビゲーション
4 ― ナビゲーションリンクのスキップ
   4-1 ナビゲーションリンクのスキップ機能を実現する
   4-2 支援技術でテキストのまとまりをスキップする
5 ― アクセシブルなフレーム
   5-1 フレームはどのように機能するか
   5-2 支援技術はフレームをどのようにサポートしているか
   5-3 フレームとフォーカス
   5-4 フレームのまとめ
6 ― アクセシブルなイメージマップ
   6-1 クライアントサイド・イメージマップ
   6-2 サーバーサイド・イメージマップ
   6-3 複雑なクライアントサイド・イメージマップ
   6-4 イメージマップまとめ
7 ― レイアウトとナビゲーション
8 ― アクセシブルなリンク
   8-1 リンクナビゲーション
   8-2 リンクテキスト
9 ― まとめ

第8章 アクセシブルなデータ入力 (Jim Thatcher・梅垣 正宏 訳)
1 ― データ入力フォームのガイドライン
2 ― アクセシブルなフォーム
   2-1 フォームのコンポーネント
   2-2 フォームはどのように読み上げられるか
   2-3 ラベルの配置
   2-4 アクセシブルなフォームのよい例
3 ― フォームの必須のフィールド、エラー、ヘルプ
   3-1 必須のフォームフィールド
   3-2 フォームの検証
   3-3 フォームフィールドのヘルプ
4 ― PDFフォーム
5 ― ろう者のためのフォームのアクセシビリティ
6 ― 時間制限のある入力
7 ― 日本語環境でのフォームの読み上げテスト
8 ― まとめ

第9章 アクセシブルなWebページのためのCSS (Richard Rutter・中村 精親 訳)
1 ― スタイルシートはアクセシビリティにどのように貢献するか
2 ― CSSの基礎
   2-1 インラインスタイル
   2-2 埋め込みスタイルシート
   2-3 リンクまたはインポートしたスタイルシート
   2-4 ユーザースタイルシート
   2-5 ブラウザスタイルシート
3 ― 色と背景
   3-1 背景と文字色
   3-2 背景画像
   3-3 前景と背景のコントラスト
   3-4 情報伝達の他の方法
4 ― 文字とフォント
   4-1 文字サイズ
   4-2 マージンとインデント
   4-3 フォントファミリー
   4-4 文字および単語の間隔
   4-5 大文字/小文字
   4-6 書字方向
5 ― 画像置換テクニック
   5-1 CSS有効かつ画像非表示
   5-2 Scalable Inman Flash Replacement(sIFR)
   5-3 使用すべきではない画像置換テクニック
   5-4 img要素を使うことの是非
   5-5 画像置換の誤用
6 ― レイアウトと位置指定
   6-1 レイアウトのサンプル
   6-2 ナビゲーションデザイン
   6-3 フォーム要素のための見えないラベル
   6-4 ビュレットのスタイル
   6-5 空のテーブルセル
7 ― 代替スタイルシート
   7-1 代替スタイルシートの仕様
   7-2 スタイルシートの切り替え
   7-3 ズームレイアウト
8 ― 非視覚系メディア
   8-1 聴覚用CSS
   8-2 ページメディア
   8-3 メディア固有のスタイルシート
9 ― テストとバリデーション
10 ― まとめ

第10章 アクセシブルなJavaScript (Christian Heilmann・中村 精親 訳)
1 ― JavaScriptの歴史
2 ― 何故JavaScriptは悪評を立てられてしまったのか
3 ― JavaScriptについて考慮すべきこと
   3-1 ユーザーは何を必要としているか
   3-2 動的なJavaScriptのためのガイドライン
4 ― 控えめなJavaScript
   4-1 ふるまいのレイヤーとしてのJavaScript
   4-2 インタラクティブ性
   4-3 ルック・アンド・フィール
   4-4 新しいウインドウ
   4-5 要素の可視性
   4-6 時代遅れのテクニックと代替方法
5 ― アクセシブルなフォームとJavaScript
   5-1 フォームの拡張
   5-2 フォームの検証
6 ― まとめ

第11章 アクセシブルなFlash (Bob Regan and Andrew Kirkpatrick・植木 真 訳)
1 ― ユーザーの要件
   1-1 カギとなる質問
   1-2 利用事例のシナリオ
2 ― 技術的要件
   2-1 Flash Player のバージョン
   2-2 プラットフォームとブラウザ
   2-3 スクリーンリーダー
3 ― アクセシブルなFlashデザインの重要な考え方
   3-1 コントロールのラベル
   3-2 コントロールの役割
   3-3 コントロールの状態
   3-4 コントロールの構造
4 ― Flashアクセシビリティのベスト・プラクティス
   4-1 等価テキストを提供する
   4-2 状況を伝える
   4-3 音声読み上げ順序を制御する
   4-4 アニメーションを制御する
   4-5 キーボードで操作可能にする
   4-6 段階的に情報を公開する
   4-7 コンポーネントのアクセシビリティを有効にする
   4-8 キャプションを提供する
   4-9 音声再生のコントロールを提供する
   4-10 よく考えて色を使用する
   4-11 ロービジョンのユーザーをサポートする
   4-12 Flashをアクセシブルに埋め込む
5 ― まとめ

第12章 PDFのアクセシビリティ (Andrew Kirkpatrick・植木 真 訳)
1 ― Adobe Readerのアクセシビリティ機能
   1-1 ドキュメントの色を変更する
   1-2 ドキュメントのサイズを変更する
   1-3 読み上げ
   1-4 アクセシブルなメディアのサポート
   1-5 支援技術のサポート
2 ― タグ付きPDF
   2-1 Microsoft Wordでタグ付きPDFを作成する
   2-2 InDesign CS2でタグ付きPDFを作成する
3 ― アクセシビリティの修復と最適化
   3-1 タグ付けされていないPDFドキュメントに対処する
   3-2 スキャンしたドキュメントをアクセシブルにする…
   3-3 タグ付けを修正する
   3-4 Acrobatのアクセシビリティ・チェック機能を使う
4 ― アクセシブルなPDFのフォーム
5 ― まとめ

第13章 アクセシビリティ・テスト (Jim Thatcher・榊原 直樹・山口 俊光 訳)
1 ― どのようなテストが可能か?
   1-1 等価テキスト
   1-2 マルチメディアと同期した代替情報
   1-3 色分け(カラーコーディング)
   1-4 スタイルシート
   1-5 冗長なテキストリンク
   1-6 クライアントサイド・イメージマップ
   1-7 テーブルヘッダ
   1-8 複雑なテーブル
   1-9 フレーム
   1-10 フリッカー値
   1-11 テキストのみのページ
   1-12 スクリプト言語
   1-13 アプレットとプラグイン
   1-14 オンラインのフォーム
   1-15 スキップナビゲーション
   1-16 時間制限のある応答
2 ― アクセシビリティチェックソフトウェア
3 ― テストファイル
   3-1 テストスイート
4 ― Dreamweaverのアクセシビリティチェック機能(執筆:植木 真)
   4-1 [アクセシビリティ]ダイアログボックス
   4-2 [HTMLレポート:アクセシビリティ JIS X 8341-3(日本工業規格)]機能
5 ― まとめ

第14章 WCAG 2.0 の紹介 (Mark Urban and Michael R. Burks・四方田 正夫 訳)
1 ― 標準規格vsガイドライン
2 ― WCAG 2.0のアウトライン
3 ― WCAG 2.0の中には何があるか?
   3-1 原則とガイドライン項目
   3-2 達成基準
   3-3 技術文書
4 ― WCAG 2.0 ガイドライン項目の使用例
5 ― WCAG 2.0の利点と懸念
   5-1 利点
   5-2 懸念事項
6 ― リハ法508条とWCAG
7 ― まとめ

第15章 サイト改善のケーススタディ:大学のWebサイトのリデザイン (Patrick H. Lauke・中村 精親 訳)
1 ― 改善前のサイト
   1-1 問題点
   1-2 最初の修復
2 ― リデザイン
   2-1 初期の企画段階における決定
   2-2 サイト構造.現状調査
   2-3 ページテンプレートの作成
   2-4 動的にする
   2-5 テストとサイトの公開
3 ― このデザインは元の問題を解決したのか?
4 ― ここに至るまでの問題と学んだ教訓
5 ― 新しいデザインの実装
6 ― まとめ

第3部 アクセシビリティに関する法律と政策
第16章 米国のWebアクセシビリティに関する法律の詳細 (Cynthia D. Waddell・四方田 正夫 訳)
1 ― 障害をもつアメリカ人法とインターネット
   1-1 リハビリテーション法504条(1973年)
   1-2 アクセシブルなWebのためのADAにまつわる思い込み
   1-3 ADAのインターネットへの適用
   1-4 州および地方自治体のWebサイトのアクセシビリティ
   1-5 ADAにおける不服申し立て処理の紹介
   1-6 現在のADA判例法
   1-7 ADAに基づくいくつかのアクセシブルなWebの申し立て
   1-8 オンラインバンキングにおける決着
   1-9 Webサイトと税金詐欺
   1-10 WebサイトとUSDOJ市民アクセスプロジェクト
   1-11 旅行サイトにおける合意協定
2 ― 電気通信法255条(1996年)
3 ― 電子情報技術アクセシビリティスタンダード(リハビリテーション法508条)概要
   3-1 大統領への連邦政府アクセシビリティ現状報告
   3-2 米国アクセスボードによるスタンダードへのガイド
   3-3 Web制作者はいつリハビリテーション法508条の規則に従うか?
4 ― Web制作者と方針立案者のための法律に関する最新の話題
   4-1 ルール設定に関する米国運輸省告示
   4-2 電子フォーム
   4-3 アプレット、プラグイン、アプリケーション
   4-4 PDFとWebに掲載される文書
   4-5 マルチメディア、音声放送、字幕
   4-6 アクセシブルでないサイト外コンテンツへのリンク
5 ― まとめ

第17章 世界のアクセシビリティに関する法律と政策 (Cynthia D. Waddell・関根 千佳・榊原 直樹・今井 麻理子 訳)
1 ― オーストラリア
   1-1 障害者差別禁止法
   1-2 政府のWebサイト規格
   1-3 銀行と AIMIAのWebサイト
2 ― オーストリア
3 ― ベルギー
   3-1 BlindSurfer プロジェクト
   3-2 アクセシブルなWebサイトのためのフランダース計画
   3-3 ワロン政府
4 ― ブラジル
5 ― カナダ
6 ― デンマーク
7 ― 欧州連合
   7-1 eEuropeとi2010イニシアティブ
   7-2 EU Webアクセシビリティ・ベンチマーキング・クラスター
8 ― フィンランド
9 ― フランス
10 ― ドイツ
11 ― 香港
12 ― アイルランド
13 ― イタリア
14 ― 韓国
15 ― ルクセンブルク
16 ― オランダ
17 ― ニュージーランド
18 ― ノルウェー
19 ― ポルトガル
20 ― シンガポール
21 ― スペイン
22 ― スウェーデン
23 ― タイ
24 ― イギリス
25 ― まとめ

付録
付録A 用語集 (平野 一成 訳)

付録B リハ法508条電子情報技術標準ガイド (平野 一成 訳)

付録C  PAS 78 アクセシブルなWebサイトの委託制作実践ガイドの概要 (Bruce Lawson・平野 一成 訳)
   1 PAS 78が作成された背景
   2 PAS 78は標準規格ではない
   3 PAS 78の手引き
   4 PAS 78のインパクト
   5 PAS 78の法的インパクト

付録D 日本のスクリーンリーダー (山口 俊光)
1 ― 日本国内におけるスクリーンリーダーの利用状況
2 ― 日本語固有の問題
3 ― 95Readerの使用
4 ― PC-Talkerの使用
5 ― まとめ

付録E 日本におけるWebアクセシビリティの最新動向 (植木 真)
1 ― JIS X 8341-3の制定
2 ― JIS X 8341-3の特長
   2-1 特長 1:高齢者、障害のある人及び一時的な障害のある人
   2-2 特長 2:日本語特有の問題点もカバー
   2-3 特長 3:企画から保守・運用に至るまでの要件
3 ― みんなの公共サイト運用モデル
4 ― 民間企業における取り組み
5 ― 今後の課題
   5-1 WCAG 2.0などとの国際協調
   5-2 評価手法の検討

■紹介・引用

序文:アクセシビリティの課題
 Tim Berners-LeeがWebを創ったとき、非常に明確な目標がいくつか頭にあった。もちろん、情報の共有を可能にする技術を創り出すことが主な目標であったが、おもしろいのはBerners-Leeの考え方が常にWebの人間的な面に関係しているところだ。つまり、Webを使うのは人間であり、機械ではないのだ。

 アクセシビリティは、Webデザインにおけるホットな話題になってきた。しかし、アクセシビリティは常に、Web本来の考え方、Webを創り出した人の頭の中にあったのだ。広い意味でいえば、アクセシビリティというのはWeb上のページヘアクセス可能にすることである。アクセシビリティは、障害の話ではない。Webによって共有が可能となった情報に誰でもアクセスできるようにするにはどうしたらいいか、という話である。
 アクセシビリティとWeb標準がどのように関係しているか、そしてその逆についても、多くのことが言われてきた。現実として、アクセシビリティは、関連するWeb標準に依存している側面もある。しかし、アクセシビリティ自身が、技術や作品となり、そして実践されるようになっているのも事実である。アクセシビリティは高度な専門知識を必要とする分野だ。また、解決の難しい多くの問題をはらんだ分野でもある。ある人にはアクセスしやすいだろうと思って作ったページが、ひょっとすると、別の人にはアクセスしづらいページになってしまうかもしれないからだ。

 さらに、アクセシビリティに関する思い込みや、Webデザイナーや開発者にとってアクセシビリティが何を意味するかという話が世間に多くあふれている。ある人にとって、アクセシビリティは単に画像に代替テキストを追加することを意味している。彼らは何年か前にはそう教えられていたのだから、そう考える人が多いのも無理はない。また、アクセシビリティは、後から付け加えるものだと考える人もいる。つまり、アクセシビリティはサイトを構築した後に付け加えられるものだという考え方だ。また、誉められることではないが、アクセシビリティを不必要なサービスあるいは不適切なサービスを売りつけるチャンスだと考える連中もいる。疑うことを知らない顧客なら、このような連中の言うことを信じて、彼らは本当に正しいことをしてくれているのだと思ってしまうだろう。自分の得ているものが、自分の依頼しているものと一致しているのかどうかを消費者として検証する方法が顧客にはないのが現実だ。

 うれしいことに、業界内では、本当のアクセシビリティとは何かということを考えることはもちろん、うまく構築されたWebサイトの制作および長期的ビジョンにとって何故アクセシビリティがそんなに大切なのかということに対する認識も高まってきた。これは、Web Standards ProjectのAccessibility Task Force(ATF)、World Wide Web Consortium(W3C)といった団体のおかげだ。また、アクセシビリティについてプログを書いたり、Accessifyといったフォーラムに参加して書き込みをしたりしてきたWebデザイナーやWeb開発者のおかげでもある。また、事実、個人的な見解は別にして、多くの組織や企業がアクセシビリティのガイドラインに従わなければならなくなってきた。世界各国が法的にそれを組織や企業に求めるようになってきたからである。

 今みなさんが手にしているこの本が、みなさんの希望となり手助けとなることは間違いない。この本は、アクセシビリティに関する思い込みを打ち破り、現実世界での実用性に沿った理解を深め/
てくれる。Webのプロフェッショナルにとっては、複雑なアクセシビリティの世界を把握することのできる一冊である。世界の第一線で活躍する複数のアクセシビリティの専門家たちのスキルと考え方を組み合わせたことで、この本はWebデザイナーと開発者にとって必携のハンドブックとなることは間違いない。アクセシブルなWebサイトを最初から作ることだけでなく、既存のサイトをアクセシブルにすることにも役立つことだろう。この本には、アクセシブルなサイトのデザインに関する世界各国の法律についても多くの情報を盛り込んでいる。サイトのアクセシビリティをテストする仕事は簡単ではないが、この本では正しいテスト方法を詳しく解説している。

 この本を手にしているみなざんは、私と同じように、今自分が作っているサイトが最高のエクスペリエンス〈使用感)をサイト訪問者に提供しているかどうか、サイトをアクセシブルにできているかどうか、長期間にわたってアクセシブルなサイトを維持管理できるかどうかが気になっている人だと思う。もしそうであれば、「Webアクセシビリティ」というこの本は、常に手元に置いておきたい手引きになるはずだ。Webのプロフェッショナルにとっては、常に参照すべき座右の書になるだろう。

 2006年5月
 アリゾナ州トゥーソンにて
 Molly E.Holzschlag(モーリー・E・ホールシュラーク)
(p14-15)

日本語版翻訳者による序文
 本書は、2006年7月に米国で出版された「Web Accessibility:Web Standards and Regulatory Compliance」(friends of ED)を和訳したものである。実は「Constructing Accessible Web Sites」(Apress)という題名の本が、ほぼ同じ著者で2002年に出版されている。翻訳者らはこの本も持っていて、よい本なのでぜひ日本で紹介したいと思っていた。そこにこの本の改訂版である原著が出版され、後述するように翻訳プロジェクトを立ち上げて和訳を出すことになった。それは原著がAmazonで五つ星の評価を受けていることからもわかるように、巷にあるWebアクセシビリティの解説本とは一線を画した、Webアクセシビリティ大全とでもいうべき本格的な書籍であることによる。

 Webアクセシビリティが世界的に注目されたのは、1999年にW3C(World Wide Web Consortium)がWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)1.0を出してからであろう。日本でも2004年6月に、JIS X8341-3「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ」が公示された。JIS X8341-3は、日本版WCAG1.5とでも言うべきガイドラインであり、WCAG1.0の欠点を補い、日本固有の事情も考慮しながら、サイト制作のプロセスまで踏み込んでWebアクセシビリティ向上に必要な要件をまとめたものである(翻訳者のうち、渡辺、梅垣、植木がJISの策定に参加している)。これにより日本の公共サイトはJISに準拠することが求められ、JISの解説本やJISに準拠しているというチェックツールも複数登場した。W3CでもWCAG1.0の見直し作業が精力的に行われ、2006年4月に1回目の最終草案(Last call working draft)が公開されており、おそらく2008年度中にW3Cの正式勧告になるのではないかと思われる(翻訳者のうち、植木と渡辺がWCAG2.0の策定作業に参加している)。

 Webコンテンツのアクセシビリティ・ガイドラインはこのように整備されたが、世の中にあるWebサイトのアクセシビリティはそれほど進んでいない。これについては本書の第1章で詳しく議論されているが、日本固有の事情として、翻訳者(渡辺、梅垣、植木)らの調査によって、日本で普及しているスクリーンリーダーは、欧米と比べて、Webの構造を利用した効率的な読み上げ機能が低いことがわかっている。Ajaxに代表されるダイナミックなインタラクションが普及しつつある今日、このままでは日本のWebアクセシビリティが欧米で実現しているレベルから取り残されてしまうという危機感を我々は持っている。

 本書は、各分野の専門家が、第1部でWebアクセシビリティの基本的な話を解説し、第2部で技術に関する具体例を豊富に提示し、第3部で米国と世界各国の法律と政策を詳細に説明している。つまり本書は、Webの専門家が、Webアクセシビリティを本格的に勉強する際に最適な本である。したがって、本書が想定する主な読者は、Web制作者、Webサイトの管理者、地方自治体や企業をはじめとする各組織のWeb担当者など、何らかの形でWebサイトの制作や運営に関わる方々である。しかし本書は、それ以外に、授業やセミナー、あるいは社内勉強会のテキストとしても有用であろう。アクセシビリティ担当ではないからこの本は必要ないと考えるのではなく、是非まず第1章を読んで欲しい。そして、机の横に置いて、必要に応じて残りの章を読んでいただきたい。Webアクセシビリティは、画像に代替テキストを付与することではないし、チェックツールでテストして合否を判定することでもない。Webアクセシビリティは、多様なユーザー、さまぎまな技術、ガイドラインや政策や法律、などを総合的に考慮しなければならない複雑なプロセスである。この本を日本語で出版することで、日本のWebアクセシビリディ向上を促進できればと願っている。
(中略)
 原著同様、第1章を本書のサポートページ(http://book.mycom.co.jp/support/e2/wdb/)で公開している。本書購入者で電子データを希望される視覚障害者の方への情報もこのページに掲載してある。
(p16-17)


*作成:櫻井 悟史
UP:20080322
BOOK
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