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『「責任」ってなに?』

大庭 健 20051220 講談社(講談社現代新書1821),262p.

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last update:20160917

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大庭 健 20051220 『「責任」ってなに?』,講談社(講談社現代新書1821),262p.  ISBN-10:4061498215 ISBN-13:978-4061498211 740+税  [amazon][kinokuniya] ※ b p

■内容

私は悪くない。与えられた「役割」を果たしただけ。歯車だから。ああするしかなかった。「ほんとうの自分」は違うんだ。 ――これ、どこかおかしくないか。「責任と自由」「自分と社会」などのテーマを哲学的に分析、日本を覆う「構造的無責任」の源泉を明かす。

■著者紹介

1946年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専修大学文学部教授。倫理学、分析哲学専攻。

■目次

まえがき

第1章 責任という概念
どこか重苦しい言葉ではあるが……
応答を求める眼差し
エイリアンには呼びかけることができない
予期の共有――生活の文法
ミニマムな信頼関係
信頼されているから信頼する
人の間の特質
責任を担う
相手に委ね、応答を待つ
さしあたりのまとめ
理由への問の多様性
法的な責任との違い
政治的・社会的な責任との違い
宗教的な責任との違い
倫理的な責任

第2章 責任と自由――責任の条件
責任が存在するための条件とは
他のようにもできたか否か
因果的な決定論
人間の行為は因果的に決まっている?
両立不能論の困難
ムーアの常識
フランクフルトの荒業
出口の見えないディレンマ
決定論を超えて
能生理的な決定論
ミクロでは因果的、でもマクロでは……
責任の基本的な基準

第3章 責任の主題
何について責任が問われるのか
行為の責任
因果連鎖のどこで線引きするか
行為と無為の責任は同じ?
コストの非対称性
「危害原則」は基本原則たりうるか
加害行為を控えるだけでよいか
他人の行為・無為についての責任
誰かできる人がすればいい……?
責任の基準と責任の軽減
責任は軽いどころか、ない?
ああしかできなかった……?
「やむをえなかった」という自己弁護

第4章 責任の主体――誰が責任を負うのか
個人の責任・会社や国家の責任
行為に先立って与えられた諸前提
そのつど「……として」行為する
非対称性とミクロな権力
役割システムと個人
ささいな言動が将棋倒しの引き金となる
将棋倒しは誰のせい?
制度化された集団のメンバーとしての行為
集団の末端メンバーの責任?
つぶやきの扼殺(やくさつ)
集団そのものの責任
いまのメンバーは関与していないが
集団の同一性と責任
「歯車としての自分」と「役割を離れた自分」
下級兵士のつぶやき
自己意識の分裂

第5章 役割と自己――その切断
自己の二層性
仮面の“こちら側”にいる「ほんとうの自分」?
固有名と一人称代名詞
大庭健と私は別個の存在?
私はたまたま大庭健であるにすぎない?
遠足日誌
風景描写と地図描写
Nくんのおかしさはどこにあるか
対応づけはすでになされている……
当たり前のことからどんでもない結論へ
他人の観点からものを見る……?
他者の抹消

第6章 じわじわとひろがる解離傾向
「自分探し」と解離症状
いわれのない自己卑下と過大な自己評価
いまの学校は軍隊に似ている……?
いじめの蔓延による他者への絶望
解離未満の「役割と自分」の切り離し

第7章 国家という集団――戦争責任
「永久の恥さらし」
非人道的な戦時犯罪
日本とドイツの比較
ドイツの場合
日本の場合
歴代政府と市民の態度
国旗と国歌
自国民の犯罪をみずから問い続ける
日独の保守政党の体質
戦後補償の違い
賠償を値切って再進出の足がかりとする
巨大な幼児

第8章 責任の空洞化
現場指揮官の自決
トップは生き続け、悲劇が繰り返される
参謀=官僚の無責任
「なりゆき」の論理
自分はあのときたまたま……
密室での暴力
右翼と軍によるテロリズム
保守政党・右翼・やくざ
軍へのとりこまれ
財界の暗部へ
経済活動の深部に根を張るやくざ・右翼
闇の力によってゆがんだ空間

終章 人間として生きるために
集団の責任と個人の責任のあいだ
ふるまいのフィードバックと学習
フィードバック回路の狭隘化
機能システムとしてのコード
立場をわきまえ、余計なことは考えない?
思考能力の摩耗
人間として生きるための空気穴

あとがき

■関連書籍

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:山本 晋輔 *増補:北村 健太郎
UP:20090723 REV:20160917
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