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『何のために生きるのか』

五木 寛之・稲盛 和夫 20051121 致知出版社,262p.

last update:20140508

■五木 寛之・稲盛 和夫 20051121 『何のために生きるのか』,致知出版社,262p. ISBN-10: 488474733X  ISBN-13: 978-4884747336 \1429+税 [amazon][kinokuniya]


■内容

内容紹介
昭和7年生まれの2人が初対面。
その瞬間から、理屈ぬきで親しみを感じ合える 「ソウルメイト」として、対話は静かに進んでいきました。
いま年間約3万2千人もの自殺者を生んでいる「豊かな」日本。
そんな中で、現代人は何を失ってしまったのか。
その真相が、貧しく苦難に満ちていた2人の青少年時代との対比の中に、また、日本人の精神的バックボーンを形作ってきた仏教思想をたずねる中で浮き彫りにされていきます。
五木氏は、「いま、井戸を掘らなければいけないのは、アフガンの荒野もそうだけれど、日本人の渇ききった『こころ』にこそ井戸を掘り、水分を含んだ?みずみずしい『こころ』を取り戻す必要がある」と本書に述べています。
作家・五木寛之として歩んできた道とその出発点となった凄まじいまでの戦争体験。「他力」という生き方

一方で、京セラ創業前夜から今日に至るまでの実業家・稲盛和夫氏が歩んできた道と、仏道修行のことなど。
お互いの飾らぬ言葉で、人生の真実が語られていきました。
稲盛氏は、「運命はこころのありようによって変えられる。
こころが呼ばないものは、決して周囲に現象として現れない。
それが真理というものではないかと思っています。
だから、こころをまず美しく変えていくことが大事なのではないかと思うのです」と述べています。
「自力か他力か、人生の目的は何か」
一流の2人が人生の根源的テーマにせまった本格的人生論です。

■目次

第一章 同時代を歩んだソウルメイトとして
第二章 こころが乾いてしまった日本人
第三章 いま、宗教の力を問い直すとき
第四章 新しい浄土の物語をつくる
第五章 人生の転機から見えてきた「生き方」
第六章 ポジティブとネガティブの出合う場所
第七章 他力の風を受けて生きる

■引用

◆二十世紀は、知的なものの活躍、あるいは知的な活動によって、すばらしい展開を遂げて、科学技術の進展をもたらしました。その結果、確かに物質文明はここまで豊かになったけれども、その一方で、”情”とか”こころ”が忘れられてきてしまった。しかし、実はこころの動きがいちばん大事なんですね。知的な活動の大本も、実はこころの動きから始まる。ほんとはこころをもっと大事にしてくるべきだったという気がしてなりません。[2005:31]

◆本来、いのちを捨てるなんてたいへんなことだと思います。もし少しでもこころを整理したら、自殺なんて決着の付け方をする必要はないと気づくはずです。失敗をして、なにもかも失ってしまったとしても、そこから裸一貫で出直せばいいんです。/そういうことを誰も教えてくれないから、毎年すごい数の方々がたったひとつしかない大切ないのちをなくしてしまっていると思うんです。[2005:58]

◆実は、京都賞の特徴は「思想・芸術部門」なんです。これまで先端技術や基礎科学といった、いわゆる知的なところだけが発達してしまった結果、現在のような”こころ”が失われてしまった状態になったと私は考えています。そこで、第三部門として思想または芸術という分野、つまり”こころ”に関する分野において貢献された方を顕彰する賞をつくったというわけです。…”京都賞の受賞者は、単に業績のみならず、謙虚にして人一倍の努力を払い、道を究める努力をし、世界の文明、科学、精神的深化のために貢献した人でなければならない”という「京都賞の理念」にある一節に立ち返り、判断していただいています。[2005:153-154]

◆考えてみれば、この世の中に自力でやれることはそう多くはありません。他力を受けなければできないことがほとんどです。けれども、他力を受けるためには自力で帆を揚げなくてはいけない。その帆を揚げる作業とはなにかというと、それは自分自身のこころをきれいにして、利己まみれのこころではなく、人さまのために何とかしてあげようという美しい優しい思いやりのあるこころにすること。つまり利他のこころを持つということ。利他というこころで帆を揚げておけば、必ず利他の風を受けられますよ、というふうに理解したいですね。[2005:238-239]

◆私は運命というものは変えられると思っているんですよ。運命はこころのありようによって変えられる。…善きことを思い、善きことを行えば、人生はいい方向へ変わっていくし、悪いことを思い、悪いことを行えば、悪い結果が生じる。人生とはそういうものだと考えています。[2005:249-250]

◆…私は、運命というのはこころによって変えられると思っているのです。そのこころが信念にまで高まったものであれば、それによって運命は変えられる。そのために最初に来るものが布施なんですね。…布施というのはいろいろあるわけです。お金がなくても布施することはできますね。微笑みかけるとか、優しい言葉をかけるということでもいいわけです。人さまのためになにかをしてあげる、人さまに親切にしてあげる。それでいいんですね。それを自分の人生のなかで日常茶飯事のこととして行う。人さまに嫌味なことを言わない、悪さをしない、善きことをしてあげたいと思う。これが布施になるのですから、ただそれを日常のこととして行えばいいわけです。/そして、次は精進ですから、一所懸命働きなさい、と。働くことは人間をつくります。…/その次は忍辱ですから、耐え忍びなさい、と。人生には辛いことがいっぱいあるけれど、そのなかで耐え忍ぶんですよ。不平不満は言わないで、耐えるんですよ。そうすればきっとあなたの人生うまくいきますから、とお釈迦さんは教えているわけですね。/それから持戒。戒律を守りなさい。やってはいけないというルールを重んじて、ベーシックなことを守らなくてはいけませんよ、と。[2005:253-255]

■書評・紹介

■言及




*作成:片岡稔
UP:20140415 REV: 20140508
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