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『「責任」はだれにあるのか』

小浜 逸郎 20051031 PHP研究所,PHP新書,232p.

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last update:20160315

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小浜 逸郎 20051031 『「責任」はだれにあるのか』,PHP研究所,PHP新書,232p. ISBN-10:4569646271 ISBN-13:978-4569646275 欠品 [amazon][kinokuniya] ※ c0101

■内容

何か不祥事が起こるたびに責任追及の声が高まっている。政治家、企業、マスコミ、学校が悪い、と。だが、そもそも「責任」とは何か。正しい責任のとり方とは。人は責任をどこまで負えるのか。JR脱線事故やイラク人質の「自己責任」論争、「戦争責任」など公共的な問題から、男女、親子における個別の責任問題までを人間論的に考察。被害者―加害者というこじれた感情をどう克服するか。法や倫理では割り切れない「責任」の不条理性を浮かび上がらせる。「求められる責任」と「感じる責任」を真摯に追究した書。

■目次

なぜ「責任」を論じるのか
  ある裁判の結末/無責任な責任追及の声/「そのつど」性と人倫感覚/難問とどう向き合うか

第1部 責任はだれにあるのか――自由主義社会における「責任」
  1 法的責任以前の責任とは
    @性関係における男女の責任
     男と女の責任は対等か/男に責任を負わせる根拠/強姦か和姦か――割り切れない双方の感情/現実的な対処策
    A学校と教師の責任
     校門を閉めれば安全か?/学校は地域のシンボル空間だった/学校というイメージの変容/責任を学校に押しつけるな!/子どもの教育はだれがするのか/教師には権限もゆとりもない/教師、親、地域社会のコンセンサスの確立
    B少年犯罪における親の責任
     親の養育責任とは/子どもの犯罪に対する親の責任/なぜ親の責任を問うことは難しいのか/「求められる責任」と「感じる責任」

  2 責任は免除されるのか
    C大人と子どもの責任の違い
     年少者の性の乱れはだれの責任か/少女売春は「自己責任」といえるのか/「子どもの人権」は成り立つのか/「権利」ではなく「権理」が妥当
    D刑法第39条について
     心神喪失と新進耗弱者による犯罪/精神障害者は犯罪を犯しやすいのか?/人権擁護と社会防衛の折衷案/道徳的な糾弾よりも理性的な補償を

  3 集団責任と自己責任
    Eメディアの責任と風評被害について
     過剰な被害者報道こそ規制すべき/JR福知山線事故におけるマスコミの責任追及/風評被害はなぜ起こるのか――情報社会の構造/適切な耳のふさぎ方
    Fイラク人質問題と「自己責任」について
     ガス抜きにすぎなかった「自己責任」論議/「責任」という概念がわかっていない日本人/「自己責任」を振り回す愚かさ

  4 国家と国民の関係における責任
    G近代国家における責任
     ホッブズズの契約国家観/国家と国民に対する責任/国家に対する「道徳的責任」は必要ない
    H戦後国民に戦争責任はあるのか
     戦後世代の二つの立場/中国とアメリカに対する責任の違い/東京裁判と天皇免責の不当性/引き継ぐべき政治的責任、負うべきでない道徳的責任
    I昭和天皇の戦争責任を考える
     民主主義の成熟のために/昭和天皇有責論のロジック/昭和天皇に責任意識はあった/戦後の責任はだれが引き継いだのか/主権者としての国民の自覚

第2部 「責任」とは何か――その原理を探る
  5 「責任」を論じることの難しさ
   丸山眞男の「無責任体系」/大日本帝国だけが無責任だったのか?/責任問題の曖昧さと難しさ/ナチスに服従した責任とは?
  6 哲学は「責任」をどう考えてきたのか
   カントの定義/凡人の意志や行動を律するもの/有福孝岳の責任論/ヤスパースの「罪」の分類/「政治的責任」は国民にもおよぶ/「道徳的責任」も逃れられない/思考のツールとしての四分類/フランクルの責任概念/過去こそが責任をリアルにする/これらの問題点――共同関係という現実的観点の不足/責任を追及せずにはいられない存在/人間の振る舞いの非合理性/偶発的な事故に巻き込まれたとき/過去と未来の現前性/「未来」をリアルに生きる視点
  7 責任の原理
   なぜ不条理なのか/グラデーションとしての「生」/言語による楔を打ち込む/絶対的責任概念は成り立たない/ニーチェ――キリスト教道徳は奴隷道徳だ/責任における未来と過去――責任を「まかす」と「問う」/責任とその近接概念との関係――道徳は内的領域/カントの道徳命題/外的領域――法、ルール、規則/責任概念は何によって支えられているのか――共同体の倫理/ヘーゲルのカント批判/道徳→良心→人倫へのステップ/「人倫」から「責任」が浮かび上がる/責任をめぐる正しい洞察――第2部のまとめ/責任は無限に引き受けるべきではない/責任の比重――当事者の「権能」による

エピローグ 自由と責任の関係について――偶然性の承認
  「責任」概念が成り立つ背景/責任がおよぶ範囲と比重/「偶然の積み重なりによる不幸」という感覚/「自由」と「責任」の中途半端さ/「人倫の精神」も絶対ではない

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:奥坊 由起子
UP:20160315 REV:
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