『高齢者施設の未来を拓く―個室化、ユニットケアの先にある人間本位の施設』
原 慶子・大塩 まゆみ 20050901 ミネルヴァ書房,226p.
last update:20110311
■原 慶子・大塩 まゆみ 20050901 『高齢者施設の未来を拓く―個室化、ユニットケアの先にある人間本位の施設』,ミネルヴァ書房,226p. ISBN-10:4623044386 ISBN-13:978-4623044382 \2625 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
介護保険施設になることで、終の棲家ではなくなった特別養護老人ホーム。その特養をはじめ、高齢者の福祉施設の意義はどこにあるのでしょうか。現在主流になりつつあるユニットケア・個室化などは、様々な問題点を解決しようという、とだえることのない現場での息長い取り組みから生まれました。本書は、高齢者施設のこれからを考える上で、その先にあるさらに豊かな施設福祉をめざし、実践を続けている現場の取り組みを、施設経営の立場から紹介します。
内容(「MARC」データベースより)
特別養護老人ホームをはじめとする高齢者の福祉施設の意義はどこにあるのか。現在主流になりつつあるユニットケアや個室化など、さらに豊かな施設福祉をめざし実践を続けている現場の取り組みを、施設経営の立場から紹介。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
原 慶子
1945年生まれ。1969年同志社大学文学部社会学科社会福祉学専攻卒業。社会福祉法人新生会理事長、有料マチュアホーム穏和の園園長
大塩 まゆみ
1954年生まれ。1977年同志社大学文学部社会学科社会福祉学専攻卒業。1994年同志社大学大学院文学研究科社会福祉学専攻博士課程後期修了(社会福祉学博士)。福井県立大学看護福祉学部社会福祉学科教授、同大学院看護福祉学研究科・地域経済研究所教授(兼任)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに
序章 福祉・保健・医療サービスと高齢者施設
1 福祉が文化になった社会
「オールドオールド」と「ヤングオールド」
日本では最低保障が基準
物理的ケア・精神的ケア・社会的ケア
完全個人対応のスウェーデン
日本での福祉文化
2 養老院→老人ホーム→高齢者集合住宅
養老院
老人ホーム
高齢者集合住宅
3 特別養護老人ホームと老人保健施設はなぜ制度化されたか
特別養護老人ホームの創設
老人保健施設の創設
4 介護保険法と高齢者施設体系
社会福祉基礎構造改革と介護保険法
介護保険の特色
高齢者施設の変化
5 理想的な高齢者集合住宅
在宅か高齢者ホームか
今後の老人ホームと高齢者集合住宅の方向
これからの高齢者サービスとは
人智学に根ざした医療サービスを提供する療養施設
人間本位のケアとは
第1章 高齢者総合福祉コンビネーションシステム――愛を基としたヒューマンケアコミュニティ(新生会)
1 榛名荘結核療養所の設立
「この身を捧げて同じ病に苦しむ人々を支えたい」
療養所建設に向けて
2 財団法人榛名荘と社会福祉法人新生会
3 コンビネーションシステムの確立
軽費老人ホームA型「榛名春光園」
特別養護老人ホーム設立の決断
「老人福祉法」制定時の特別養護老人ホームの問題点
梅香ハイツ群の完成
1980年時における「将来の老人ホームのあり方」
4 移転新築事業のスタート
軽費A型「榛名荘光園」の移転新築
ジョージが丘三ホームの建築
文化としての福祉の創造
もう一つの福祉と文化
「桜が丘三ホーム」新築事業
フィリアの丘「榛名憩の園」の移転事業
5 新生会48年の歩みを支えた福祉哲学
6 これからの新生会――我をより高き崖下に置いて
HALCコミュニティセンター
ボランティア研修施設「心泉の家」
魂の共同体として成長すること
第2章 地域社会と共存する高齢者福祉施設――施設ケアとコミュニティケア(聖隷福祉事業団)
1 聖隷における高齢者福祉事業の現況
高齢者介護・福祉サービス――1991〜1999年
高齢者介護・福祉サービス――1999年〜
在宅事業の多角的経営
有料老人ホーム事業
入居者の高齢化と要介護者の増加への対応
特定施設入所者生活介護の指定
企業・自治体との共同事業
グループホーム事業
今後の展望
2 聖隷における人材育成
法人研修
目標参画システム
3 ターミナルケアへの取り組み
ターミナルケアのニーズ
ターミナル面談
生活の連続性・全体性の尊重
4 第三者評価について
第三者評価受審
第三者評価のしくみ
課題――評価機関の不足
課題――評価結果の全面開示
課題――訪問調査の精度
課題――評価項目・内容の再検討
課題――介護サービス情報の公表
第3章 福祉と医療の狭間に立って――社会福祉法人経営の老人保健施設(天竜厚生会)
1 天竜厚生会の軌跡60年の歩み
結核後保護所として出発
先人たちの軌跡
施設の複合化
「在宅」へのシフト
2 これからの高齢者施設
施設入所が求められるわけ
老人保健施設での事例
どこで死にたいのか
高齢者のリハビリ
ICFの概念
3 ISOの意味
ISO取得のメリットは
リスクマネジメント
4 高齢者の変化とこれからの施設のあり方
新しい高齢者の時代
施設のあり方の変化
ソーシャルワーカーへの期待
豊かな時代の福祉サービス
第4章 小規模社会福祉法人の経営戦略――介護保険下での特別養護老人ホーム単独施設(相生会)
1 施設紹介
施設の概要
施設の経営理念
2 施設運営における諸問題――費用負担の構造
介護保健施設の自己負担額
グループホームの自己負担額
3 施設運営における諸問題――行政指導の問題点
背景
厚生労働省(旧厚生省)の通知をめぐる自治体職員間の解釈の不一致
評議員会設置をめぐる自治体の対応不一致
自治体の監査指導担当者の資質の格差
食品衛生等にかかる監視指導をめぐる問題
感染症にかかる訪問指導をめぐる問題
県への申し入れ
4 小規模社会福祉法人における経営戦略
ホテルに学ぶ施設運営
リスクマネジメント
リスク認知のバイアス
介護におけるEM関連技術の導入
社会福祉法人と民間企業
5 健康権と介護保障
人権の歴史
健康権の内容と現状
健康権と社会保障運動
6 今後の展望
日本にもある模範とすべき福祉モデル
介護の実態認識のずれ
人権保障実現にむけて
第5章 高齢者コミュニティにおける快適な建築環境――居住福祉の観点から
1 3Kから3Qの空間へ
特別養護老人ホームの今昔
「新型特養」をめぐって
2 居住福祉の目標は「自尊と自己実現」ニーズの実現
居住環境の積極的快適性を求めて
環境のハード・ソフト・ハートの側面
居住環境と労働環境
居住水準の政策化の登場
特養の居室の基準面積
居住密度はプライバシー・人間の尊厳を左右する因子
3 個の空間確保(個室化)の立ち遅れ
個室定員は1割強
個室の少ない理由
多床室での個人領域の創出工夫の事例
個室は孤独か
4 高齢者居住施設の量的充足状況
高齢者居住施設は機能分化・専門化を軸に展開
高齢者居住施設の現況ストックと充足状況
特養の待機者ニーズと新規ニーズ
個室化対応需要
5 特養の建築環境の整備方向
耐震上の概念のある特養は4軒に1軒
震災リスクマネジメント
建築環境整備を左右する運営主体(法人)の設立と経営哲学
阪神大震災で新しい居住の形を提起する社会福祉法人の例
領域感とアメニティの高い空間形成
センチュリー(100年)対応・パッシブ・内装の本質化
コミュニティに開かれた施設
第6章 官民一体で構築する高齢者福祉サービス――デンマークにおける高齢者在宅支援と住居施策
1 高齢者福祉発展の社会的背景
3つの要因
積極的な女性の社会参加
高齢者の捉え方の変化
2 高齢者福祉の三原則
連続性の原則
自己決定の原則
自己資源開発の原則
三原則はどのように生かされているか
住む環境を大きく変えない
3 高齢者の住居形態
プライイェムの新設禁止
高齢者住宅
介護型住宅
保護住宅
プライイェム
プライイェムの数、入居者とも衰退
高まる高齢者住宅の需要
保護住宅も減少
年齢別で見た居住形態の変化
4 在宅生活を支えるサービス
訪問看護
ホームヘルプサービス
住宅政策
補助器具の貸し出し
配食サービス
予防訪問
5 注目される高齢者共同住宅
住人予定者同士が話し合いで計画を練る
地域住民の交流の場としても活用
住人の連帯と共感が安心感に
6 デンマークの取り組みから学ぶこと
住居はQOLを高める重要な要素
住居に欠かせない人間本位の視点
終章 未来の高齢者福祉施設づくりにむけて
1 社会福祉法人をとりまく現況
高齢者向け「住まい」の多様化
対人サービスの質向上とは
最低基準を最適基準に
2 現状を打開するにはどうすればよいのか
経営とサービスの質のバランス
社会福祉事業の成功とは
民間事業所との倫理観の差
社会福祉事業の特質としての使命・信頼・愛他精神
良い高齢者福祉施設とは
大切なのはスピリット
3 良い施設づくりへの秘法とヒント
福祉施設は、理想郷(ユートピア)に
時代ニーズ・社会の要請をキャッチ
社会福祉の専門技術の活用
4 未来志向の福祉サービス
過酷な3Kから快適な10Kへ
第三者評価と情報開示の標準化
今後の課題
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志