『義務教育を問いなおす』
藤田 英典 20050810 筑摩書房,318p.
■藤田 英典 20050810 『義務教育を問いなおす』,筑摩書房,318p. ISBN-10: 4480062432 ISBN-13: 978-4480062437 \945 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
「BOOK」データベースより
いま、義務教育制度の見直しが急ピッチで進められている。だが、その方向は正しいのだろうか。義務教育は子どもと社会の根幹に関わるものだ。その在り方が歪むなら、社会もまた歪んでいく。本書では、教育社会学の第一人者である著者が、義務教育の意義を問いなおすことを出発点として、“強者の論理”に従った改革プランの問題点を整理し、「公の営み」としての義務教育改革を提言する。教育の再生を考える人のための基本文献。著者渾身の一冊。
■目次
序章 問われるヴィジョン――どのような教育と社会の未来を構想するのか
揺れる義務教育
二一世紀の義務教育問題
問われる教育・社会の将来ビジョン
競争原理と共生原理をどう調整するか
本書の構成
第1章 危機に瀕する日本の教育
第1の危機と第2の危機
信頼の低下と公教育のアイロニー・不幸・パラドックス
通俗的な「危機」論の誤謬性・問題性
事実誤認・偏見に基づく「危機」論
国家主義的・新自由主義的イデオロギーに基づく「危機」論
〈強者の論理〉による教育システムの再編
早期選別と人材浪費
教育基盤の構造変容
教育システムの組織原理
知識基盤の変容と共通教育の揺らぎ
情報空間の変容と地位基盤の揺らぎ
「教育原理」現象の続発と秩序基盤の揺らぎ
外面規律の揺らぎと内面規律の弛緩
意味基盤・インセンティブ基盤の変容
現代の価値選択と将来世代への責任
第2章 公教育・義務教育の意義と役割
公教育・義務教育をめぐる争点
誰が教育費を負担すべきか
子どもの「教育を受ける権利」
内的事項外的事項区分論
教育の内容・水準の適正化と教育行政の役割
地域住民の教育意志と教育行政・学校運営への参加
親の教育要求と学校選択制の是非
公教育・義務教育の存立基盤としての〈社会〉
教育の公共性とその基盤
なぜ教育機会は平等でなければならないか
義務教育の意義・役割
当事者主義による開かれた学校づくり
第3章 二一世紀の義務教育問題
義務教育改革「二〇〇五年問題」=「二一世紀の義務教育問題」義務教育費国庫負担制度・総額裁量制の意義
政治主導による教育論抜きの「義務教育費負担金の一般財源化」論
義務教育の地域格差の拡大
経済成長の基盤としての教育機会の平等
持続的な社会発展の基盤としての義務教育
国と地方の役割分担はどうあるべきか
教育軽視のツケは誰が払うのか
地方教育行政における都道府県と市町村の関係
学校評価とモラル・ハザードの危機
イギリスの学校で起こっていること
学校評価のタイプと教育の包括性
成果主義的・管理主義的な教員評価と教師の協働性の行方
学校選択制の導入状況とその政治主導性
公教育の公開性・共生性とその揺らぎ学校選択制導入論・支持論の理由
義務教育の〈強制性・画一性〉に対する批判と学校改革の行方
学校選択制と学校秩序化の弊害
学校選択性の三つの基準
学校選択制の制度的帰結が孕む問題
学校選択制に関する権利論的検討精神的自由と個性の尊重
教育基本法「改正」論の危険性
法令主義と権力主義
エリート主義・〈強者の論理〉による教育の再編
第4章 「ゆとり教育」の是非と行方
矛盾に満ちた改革とその帰結
「ゆとり教育」政策から「学力重視」政策への転換
「ゆとり教育」政策に関わる三つの基本的な矛盾・歪み
思考停止状態のなかでの歪み
「ゆとり教育」政策が孕む矛盾
「ゆとり教育」の変質
「ゆとり教育」の変質を隠蔽・正当化した「新学力観・新学習観」
〈知識の核〉のない「総合的な学力の時間」
ヴィジブル・ペタゴジーとインヴィジブル・ペタゴジー
グループ学習の落とし穴
努力・時間の軽視と〈教書の論理〉による教育再編
第5章 グローバル化時代の学力形成
歪んだ「ゆとり教育」政策の帰結
欧米諸国の改革動向
TIMSSインパクトとTIMSS調査の変遷
PISAショック、そしてTIMSS二〇〇三のインパクト
日本の子どもの学力は低下したのか(1)
日本の子どもの学力は低下したのか(2)
〈強化学力〉か〈生産学力〉か
フィンランドの教育から学ぶべきもの
総合制教育と職業教育・生涯教育との整合性
〈与件+α〉型経済と〈+α〉型経済
知識のグローバル・スタンダード化と国際学力比較調査
グローバル化時代の学力形成
「ゆとり教育」の成果か混乱の表れか
教科・学年によって異なる「習得学習」・「探究学習」の是非とバランス
「ゆとり教育」と学力格差の拡大
学校選択制・複線型システムなどの是非
中等教育終了資格試験・留年制度の是非
「学校での失敗と闘う」
ボトム・クオーターの教育が教育の成否と社会の将来を左右する
学力調査・学力テストの意義と実施上の留意点
終章 未完のプロジェクト――二一世紀の教育課題と改革・実践の指針
歪んだ改革の責任を誰が取るのか
改革幻想・改革至上主義と決別すべき時
経済発展・高学歴化と学習の意欲・習慣
「生きる力」の三要素
〈豊かな経験〉の三要素
「努力主義の崩壊」と歪んだ外発的動機づけ
〈名誉の対価性〉と〈努力と賞賛のカルチャー〉の再構築
潜在的カリキュラムと制度設計の準則
学校教育の三つの基本的役割とホーリスティックな教育
学校教育に対する過剰な要求と過少の信頼
〈誠実と信頼〉のロジック
教育:未完のプロジェクト
あとがき
参考文献一覧
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治