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『誰も書かなかった厚生省』

水野 肇 20050707 『誰も書かなかった厚生省』,草思社,246p.


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水野 肇 20050707 『誰も書かなかった厚生省』,草思社,246p. 1600+税 ISBN-10: 4794214197 ISBN-13: 978-4794214195[amazon]

■内容

(「BOOK」データベースより)
 昭和十三年、厚生省が内務省から独立してすでに七十年近くが経つ。公衆衛生の改善に始まった日本の厚生行政は、戦後の社会の変化、 医療の急速な発達にともないさまざまな問題を抱え込んできた。医療費の急激な増加、医療過誤・薬害事件の頻発、高齢社会への対応、国民皆保険制度への批判、 さらに国民皆年金制度の破綻等々、国民の社会保障を支える基盤には難問が山積している。その現状を生み出した背景を、 GHQの時代から現在に至る医療政策を点検しつつ検証するのが本書である。つねに同時代として最前線で取材してきた著者にしか書けない、 厚生省の知られざる実態が浮き彫りにされる。

■目次

プロローグ 社会保障切り捨て政策
 宰相にいちばん近い椅子
 衣食足りてこその健康願望
 社会保障政策に無関心な小泉内閣

第1章 結核対策と厚生省
 亡国病を撲滅せよ
 隔離対策にひそむ排除の思想
 特効薬ストマイ神話の真相
 ガン検診に伝わる統制主義

第2章 GHQの抜本改革
 サムス准将のDDT革命
 保健所制度の改編
 技官重視の厚生省人事
 サムスと武見太郎の確執

第3章 社会保障元年の教訓
 画期的だった皆保険と皆年金
 社会党が政権党になれなかった理由
 健康保険不要論

第4章 頻発する薬害事件
 戦前にはなかった薬害事件
 厚生省と製薬企業の関係
 HIV事件が残したもの
 医師の無知が招く薬害

第5章 医師の薬害責任
 スモン事件の特異性
 倍増されていった投薬量
 薬務局長の更迭
 スモンの和解交渉
 不問にされた医師たちの責任

第6章 高齢化社会の医療費
 高度経済成長が吸収してきた赤字
 医療費を襲う二重苦
 「点数表」騒動記
 薬価基準は利ザヤの温床

第7章 見直される社会保障制度
 ポスト経済成長時代の医療制度
 社会保障が許される人口規模
 厚生事務次官吉村仁
 「医療費亡国論」

第8章 審議会制度の限界
 「中医協政治部長」の逮捕
 腐敗を招く中医協の答申システム
 三者構成の不均衡
 中医協は必要なのか?

第9章 老人医療に本当に必要なもの
 見過ごされた高齢化社会の到来
 病院と家庭をつなぐ老人保健施設
 目指すは寝たきりゼロ
 「病院、冬の時代」での成功

第10章 介護保険をめぐる疑問
 老人医療を拒否した医師たち
 自己負担増の受診抑制効果
 「医療費増」についての疑問
 介護保険は新たな負担か

第11章 厚生省の失墜
 介護保険の五年後の見直し
 高齢化で増えつづける認知症患者
 民間活力に求められるモラル
 三施設統合と国税の壁
 岡光事件の伏線
 下された実刑判決
 尾を引く事件の後遺症

第12章 社会保険庁の特異性
 力がなくても務まるポスト
 社会保険庁の特異な組織事情
 「保険一家」とキャリアたち
 始末に負えない残骸か

第13章 開業医制度をめぐる確執
 五〇年におよんだ確執
 ファミリー・ドクターとかかりつけ医
 医局制度のゆがみ
 日本医師会が反対したふたつの理由
 地域に密着した開業医の育成

第14章 岐路に立つ戦後医療制度
 社会保障が迎えている危機
 総理に課された説明責任
 患者中心の医療
 健康寿命を生きる

エピローグ 厚生省はどこに向かうか

あとがき
参考文献
厚生省関連年年表



出版社/著者からの内容紹介
 半世紀にわたって日本の厚生行政を最前線で取材しつづけてきた著者がいま明かすその舞台裏。 山積みする医療問題・福祉問題を生みだした背景が鮮やかに描き出される。

内容(「MARC」データベースより)
 医療費問題、医療事故・薬害問題、高齢社会への対応等、重要問題が山積する日本の厚生行政。その現状を生み出した背景を、 GHQの時代から現在に至る医療改革を点検しつつ検証。厚生省の知られざる実態が浮き彫りにされる。

商品の説明
 厚生省(現厚生労働省)が戦後、日本の医療・保険行政をどのようにリードしてきたかを描いた好著。
 GHQ(連合国軍総司令部)による厚生行政改革から、結核との闘い、「国民皆保険と国民皆年金」の創設、スモンやサリドマイドなどの大型薬害事件への対応、 新たな老人医療制度の導入など、各時代の節目となった出来事の裏側を明らかにしている。
 著者は、昭和30年代から活動している医療ジャーナリストの草分け的存在。様々な審議会の委員も長年にわたって務めていたため、 取材対象である厚生省の各組織や官僚個人に対して、極めて近い立場にいたことが文章の端々からうかがえる。 政策の立案に携わった官僚の性格や物腰まで浮かんでくるようなインサイダー的記述が、この本の醍醐味だ。 同じ著者による「誰も書かなかった日本医師会」も併せて読むことをお薦めする。 (日経バイオビジネス 2005/10/01 Copyrightc2001 日経BP企画..All rights reserved.)

*作成:北村健太郎
UP:20080419
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