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『児童虐待と動物虐待』

三島 亜紀子 20050617 青弓社,214p.


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三島 亜紀子 20050617 『児童虐待と動物虐待』,青弓社,青弓社ライブラリー38,214p. ISBN: 4787232452 1680 [amazon][kinokuniya] ※

■目次

 はじめに
 第1章 虐待とは何か 013
 第2章 虐待にさかのぼる 058
 第3章 苦痛のスクリーニング
 第4章 虐待は家族を変える
 終章  苦痛の除去と専門家

■引用

 はじめに

「数年前、ある福祉系の学会で本書と同様の題目を掲げて報告をした。このとき、その学会で子どもと動物を同時に論じることに意味があるのか、と嫌悪感をあらわにした発言を受けた。」(p.9)

 第1章 虐待とは何か 013

 「保護が必要な子どもはこの社会のどこかにいて、児童養護施設の一部は老朽化が進んだ冷たい鉄筋でできいて、職員は厳しい労働条件のなかで働いていることは事実である。<0047<そして子どもも、なんらかの制約のなかで生活を余儀なくされている。こうした現状を改善しようとするとき、児童虐待問題が盾とされる。クレイム・メーカーはその盾の根拠を数字に表すことなどによって社会的に確固たるものにする人であり、構築主義者はその盾をまやかしの盾だと言う人である。筆者が東北の山間部にある児童養護施設を訪ね歩き、ボロボロのその姿を見たとき、激務に体を壊した職員の話を聞くとき、盾を盾として利用してもいいのではないかと思ったものだ。ただ、クレイム・メーカーはある程度自覚的である必要はあると思うのだが。」(pp.47-48)

 終章  苦痛の除去と専門家

「パノプチコンを考案したジェレミー・ベンサムの弟子ジョン・スチュワート・ミルは、弱者に向けられた暴力に対して厳然たる態度で臨む<195<が、そこに動物も含まれていたことはあまり知られていない。ミルは『経済学原理』(一八四八年)のなかで、家庭内の虐待問題について論じた。彼は「教育の問題においては、政府の干渉は正当」だとの主張に並んで、次のように悲嘆する。

 児童のために行なわれる法律的干渉に与えられうる根拠は、あの不幸な奴隷の場合や、もっとも残酷な人々の犠牲となる下等動物の場合にも、同様の強さをもって当てはまる。防衛手段をもたない生物に対して加えられる残虐に対し政府が見せしめのための刑罰を課することは、政府の領分を逸脱した事柄に対する干渉である。すなわち家庭内の生活に対する干渉であるとされてきたが、これは、自由の原理に対する最大の誤解に基づくものでけある。家庭の暴君の家庭内における生活こそは、法律の干渉することがもっとも必要とされる事柄の一つである(10)。

 ミルは、教育の問題と同じく、家庭内の虐待を「不干渉主義の原理」の「例外」としたのだった。彼は、いまでいう児童虐待問題やドメスティック・バイオレンスなど、家庭ないさまざまな暴力に対して積極的に「法律の干渉」が必要であると説いている。
 「不干渉主義の原理」の「例外」については次項にゆずるとして、ミルの文章では、「児童」と「奴隷」「下等動物」が同一カテゴリーに奇妙なかたちで共存していることに注目したい。」(pp.195-196)
 「(10)ジョン・スチュワート・ミル『経済学原理』第五巻、末永茂喜訳(岩波文庫)、岩波書店、一九六三年、三一六ページ」

■紹介・書評


◆立岩 真也 2005/08/25 「『児童虐待と動物虐待』」(医療と社会ブックガイド・52)
 『看護教育』46-08:(医学書院)[了:20050629]

■言及


◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房 文献表


UP:2005 REV:
三島 亜紀子  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK 
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