『日本の不平等』
大竹 文雄 20050524 日本経済新聞社,306p. ASIN: 4532132959 3360
Last Update:20100831
■大竹 文雄 20050524 『日本の不平等』,日本経済新聞社,306p. ASIN: 4532132959 3360 [kinokuniya]/[amazon] ※,
■内容
出版社 / 著者からの内容紹介
長期不況を経て拡大したようにみえる日本の経済格差の実態を分析。賃金構造や再分配政策に対する人々の意識を明らかにし、IT化、世代サイズ、成果主義など話題のトピックにも言及する、不平等問題研究の決定版。
内容(「BOOK」データベースより)
なぜ、所得格差は拡大したのか。技術革新、グローバル化、それとも高齢化が要因か。日本の所得格差を、データを駆使して実証分析。再分配政策、世代サイズ、成果主義、年功賃金など注目のトピックにも幅広くアプローチする、不平等問題研究の決定版。
■目次
第1章 所得格差は拡大したのか
1 日本は不平等化が進んでいるのか
2 所得格差は拡大したのか
3 日本はアメリカよりも不平等か
4 生活保護世帯は増えているのか
5 世帯構造の変化による見せかけの不平等
6 女性の社会進出が不平等をもたらす?
7 生涯所得の格差を測る
8 不平等度上昇は
所得獲得のタイミングが不平等度を変える
年齢が高いほど同一年齢内の所得格差は大きい
不平等度の変化の要因を探る
9 資産格差は拡大したのか
資産格差の推移
金融資産格差は拡大した
資産格差は相続が原因か
第2章 誰が所得格差拡大を感じているのか
1 高まる不平等論
2 所得格差に関する意識調査
3 所得格差に関する人々の認識の決定要因
4 回帰分析の推定結果
過去5年間の所得格差拡大を誰が認識しているのか
今後5年間の所得格差拡大を予想しているのは誰か
所得格差拡大を問題だと考えるのは誰か
第3章 人口高齢化と消費の不平等
1 消費で不平等を測る
2 消費の不平等度を世代効果と年齢効果に分析する
3 世代効果と年令効果の計測
データ
世代効果と年齢効果の推計結果
4 国際比較:アメリカ、イギリス、台湾、そして日本
5 人口高齢化の不平等度への影響
1980年代の消費不平等度の上昇の半分は高齢者の影響
高度成長期は世代効果が不平等度を引き下げた
6 結果の解釈
補論 推定モデルの導出
第4章 所得不平等化と再分配効果
1 所得の不平等化を引き起こす要因
2 データと分析的フレームワーク
『所得再分配調査』について
分析的フレームワーク
3 分析結果
1980年代の不平等化の20%〜40%は人口高齢化効果
再分配効果は年齢内ではなく年齢間の重要性が増した
4 政策的なインプリケーション
第5章 誰が所得再分配政策を支持するのか?
1 所得再分配に対する意識
2 所得再分配政策に対する支持・不支持の決定要因
(1)所得水準
(2)予想将来所得と階層間移動性
(3)所得不平等度と所得不確実性
(4)機会の平等についての認識
(5)所得、消費、階層移動の履歴および失業体験
(6)リスク回避度
(7)年齢
(8)失業の可能性
(9)利他主義
(10)外部性
(11)政治的要因、行動的要因
3 推定モデルとデータ
モデルと推定方法
データと記述統計
4 推定結果
基本モデル
リスク態度
失業
年齢と失業
消費・所得水準の変化
消費階層間の流動性
所得階層別推定
格差の認識
失業の理由、利他主義
機会の平等と階層上昇性
5 結果とインプリケーション
変数の説明
第6章 賃金格差は拡大したのか
1 先進諸国の賃金格差
格差拡がる英米
デジタル・デバイドは本当に起きたのか
大陸ヨーロッパと日本
2 グループ間賃金格差は拡大したのか
若年層で拡大する学歴間賃金格差
縮小する年齢(勤続年数)間賃金格差
縮小した男女間賃金格差
グループ間賃金格差の変動はなぜ生じたのか
3 グループ内賃金格差は拡大したのか
産業間賃金格差
企業規模間賃金格差
産業間・規模間格差はなぜ発生するのか
労働者構成と賃金格差
企業間で賃金格差は拡大しているのか
企業内賃金格差
4 なぜ格差拡大を実感するのか
大卒中高年での賃金格差は拡大
パートタイム・フルタイム格差
5 1990年代の年間賃金格差
年間賃金の賃金格差は拡大したのか
同じ属性を持った労働者における年間賃金格差
1990年代における男性の実質賃金は全階層で低下
6 賃金格差拡大の幻想と未来
第7章 ITは賃金格差を拡大するか
1 ITが労働市場に与える影響
2 ITと賃金格差
3 ITは職業紹介をどう変えるか
4 コンピューター使用は賃金を高めるか
推定モデル
データ
推定結果
学歴とコンピューター・プレミアム
コンピューター・トレーニングの効果
結果の解釈
5 技術変化への対応力の有無が格差を生む
第8章 労働市場における世代効果
1 世代効果
2 世代の違いが賃金に与える影響
(1)世代のトレンド的な質の変化
(2)世代のサイズが賃金に与える影響
(3)世代による学卒就業時点での採用動向が賃金に与える影響
(4)賃金以外の世代効果
3 推定方法とデータ
データ
世代効果の推定
世代効果の要因分析
4 推定結果
(1)世代効果の時系列的推移
(2)世代サイズと採用動向が賃金に与える影響
(3)賃金プロファイルの傾きと世代効果
5 就職時点の景気が生涯賃金を左右する
第9章 成果主義的賃金制度と労働意欲
1 成果主義的な賃金制度
2 モデル
成果主義的賃金制度のもとでの労働者の労働意欲決定
3 データと変数の作成
「職場に関するアンケート」データ
労働意欲をどうやって測るか
4 順序プロビット・モデルによる推定
推定モデル
全サンプルおよび賃金制度導入の有無別推定
ホワイトカラーの上位・中下位別推定
職種別・職位別・年齢階層別・企業規模別分析
5 成果主義的賃金制度に対する労働者の認識
成果主義的賃金制度の認識の決定要因
賃金制度、人事制度についての労働者の認識の違いと労働意欲
6 成果主義的賃金制度を機能させるための条件
第10章 年功賃金の選好とワークシェアリング
1 名目賃金の下方硬直性
2 年功賃金の経済学的説明
人的資本仮説・供託金仮説・生計費仮説
年功賃金の行動経済学的説明
シカゴ科学産業博物館見学者へのアンケート
3 賃金カットか人員整理か
一律賃金カットのメリット
一律賃金カットのデメリット
4 アンケートの結果
賃金プロファイルの選択
危険度回避
賃金カット
5 年功賃金を選好するのは誰か
6 賃金カットに賛成するのは誰か
7 心理学的要因が名目賃金の下方硬直性をもたらす
参考文献
初出一覧
事項索引
人名索引
■引用
■書評・紹介
■言及